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2人のWeb3.0インフルエンサーが語る“伝える楽しさと業界のリアル” のろいちゃん×さなまる 対談

2024/09/29Iolite 編集部
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2人のWeb3.0インフルエンサーが語る“伝える楽しさと業界のリアル” のろいちゃん×さなまる 対談

Web3.0業界ならではの特殊な事情や抱える悩み、そして秘めた想いを激白。

——お2人が現在の活動を行おうと思ったきっかけはなんですか?

さなまる:私はもともとUUUMの社員YouTuberをやっていて、投資のチャンネルのMCをしていたんです。その時に「次に何がきますかね?」という話題になって、「メタバースがくるんじゃないか」という話に。そこからサンドボックスのLANDを知り、NFTってなんだろうと思って調べたりウォレットを作ったことが始まりです。ちなみに、最初に買ったNFTは「KawaiiGirlNFT」です。

のろいちゃん:Web3.0に関する投稿はもともとのアカウントでやってたの?

さなまる:Web3.0とは関係のないもともとのアカウントで投稿していたんですけど、ある時、送金詰まりを起こして送金したはずのトークンが届かないことがあったんです。その時にパニックになり、それを今のXに投稿した時、「ウォレットって何?」「イーサリアムって?」といった反応が返ってきたんです。それで自分の視聴者さんに今の段階でWeb3.0に関する情報を届けるのは難しいと思いアカウントを切りわけた感じですね。それこそ、のろいちゃんは何がきっかけで今の活動を始めたんですか?

のろいちゃん:もともと、5年前くらいからクリプトは触っていたんですがWeb3.0自体を知ったのは実は2年前くらいと最近で。2年前に縁あって「CryptoBar P2P」で働き始めてからWeb3.0を始めて知ったんですよね。その時お客さんで来てくれていたWeb3.0ゲーム関連のお客さんから、Web3.0ゲームとはなんぞやを教えてもらったりしていました。

そこから自分で調べるようになって、「Axie Infinityというゲームでフィリピンの人が家を建てた」というニュースを拝見し、「これだ!」と思いました。もともと自分のルーツがフィリピンにあるのもあって、貧困をどうにかできないかと考えていた自分には革命的な出会いでした。

難しいイメージのある業界だからこそ“楽しい”側面を伝えることが私たちの使命

——Web3.0自体はどのように捉えているのでしょうか?

さなまる:私自身、Web3.0は「学校みたいだな」と感じています。たとえば「Web3.0学校」というものがあったとして、そこにはNFT組や暗号資産組などがあるとします。すると大きなイベントなどが開催された時、横のつながりで学校中からいろいろな人が集まって、何だか文化祭みたいで楽しいなと感じるんです。

のろいちゃん:Web3.0自体は、今はコンテンツベースでどのゲームが儲かるとか、エアドロが~とかいっていますが、本質的なところでいうと、インフラだと思っています。インターネットの時代が来てそれが当たり前になったように、Web3.0の「非中央集権的な思想」やブロックチェーンが当たり前になっていくんだと思います。

——では、Web3.0の良さや現状を伝える上でお2人が思う自身の役割や難しさを感じる部分を教えてください。

のろいちゃん:1番はこの業界の言葉そのものですかね。この業界の言葉って難しいじゃないですか。業界の人は当たり前のように使いますが、やはり一般層には伝わっていないというか。なんだか業界の人たち自身がWeb3.0領域に入ろうとしている人たちのハードルをあげているように感じます。

私の役割は、それを噛み砕いて一般の人にも伝わるようにすることであり、それが仕事だと思っています。たとえば、「フリーミント」とかも業界の人はわかるけど、一般の人はわからないじゃないですか。これを「無料でNFTを獲得できる」のように、誰もがわかるようにしていかないとと思います。

さなまる:私も同じで、この業界に入るまでの過程が難しいと感じます。ウォレットを作ってこのチェーンに対応してみたいなのも複雑ですよね。私がWeb2.0から入ったからというのもありますが、小学1年生でもわかるように説明をすることが私の役割なのかなと。

私はMCのお仕事もさせてもらいますが、知っている人同士の会話って時にレベルが高すぎて聞いている側が追いついていないなと感じることがあります。ですので、周りの反応をみながら聞いている側の立場になって疑問を投げかけたり、例え話などを交えることも意識しています。

のろいちゃん:リアルの場だとまだいいんだけど、AMA※とかだと空気感がわからないんだよね。それはMCの難しいところだなと感じます。

——ユーザーへの寄り添い方は難しいところがありますよね。

のろいちゃん:私は、私が知らないことはほかの人も知らないというスタンスでいます。これは私だけかもしれませんが、AMAをする時、あえてそのプロジェクトのことをまったく知らない状態で臨むようにしています。そうすることで、何も知らないユーザーの皆さんと同じ目線でプロジェクトと向き合うことができるので、ユーザーが気になること、質問などに寄り添うことができます。

——逆に調べないというのは盲点でした。ちなみに、Web3.0領域のインフルエンサーは「ここが違う」と感じる部分はありますか?

さなまる:Web3.0では特に情報のキャッチアップが必要だなというのは感じます。今日あったことが明日には違う状況になっているというのが日常茶飯事の業界ですので、自ら情報を取りにいかなければいけないというのは如実に違うポイントかなと。たとえば動画を作ったものの、1週間後に状況が変わってしまって出せなくなったなんてこともあります(笑)。

——先ほど、のろいちゃんから「調べすぎない」という話もありましたが、それを踏まえると情報をどこまでキャッチアップするのかというのはバランスが難しいようにも感じます。

さなまる:バランスは難しいですね。最低限知っておかなければいけないことはもちろん調べつつ、その情報の性質によってはあまり深く踏み込みすぎない、みたいな感じでしょうか。

のろいちゃん:それでいうと、私はAMAの時など限定された場合のみ、事前に情報を入れないようにしていますが、基本的にかなりの時間をかけて調べます。ただ、やっぱり自分だけでは到底リサーチが追いつかないので、国内外いろいろな方のリサーチを参考にさせてもらっています。そういった情報をかみ砕いて、わかりやすく楽しく発信するのが私の仕事だと思っています。

——調べるというところに関連すると、お2人には日々さまざまなお仕事が案件として飛び込んでくるかと思うのですが、まだまだ不確実性の高いこの業界において何が仕事を引き受ける決め手や信頼につながるのですか?

のろいちゃん:いくつかのフィルターを設けていて、まずは私が信頼する人たちが知っているか、またはつながりを持っているかといったところをみます。Web3.0はどこまでいっても金融商品の性質を持っていますので、どのような企業が関わっているのかなど、広範にわたって自分のなかでの信頼を積み重ねています。

さなまる:私も同じような感じで、信頼している人や専門家の人たちに相談するなど、フィルターをかけるようにしています。

のろいちゃん:このテーマはある意味私が1番悩んでいることでもあって、一歩間違えれば私を信頼しているユーザーさんに大きな損害を与えてしまうかもしれない。この業界はまだまだ詐欺のようなプロジェクトもたくさんあるし、ちゃんとしたプロジェクトでも破綻してしまうのが現状としてあります。それをうまく回避してフォロワーのみんなに伝え続けるのは本当に至難の業です。

さなまる:しっかりとした会社やプロジェクトでも、サービス終了はつきものじゃないですか。そうなった時、結果的に損をしてしまった人たちも出てくると思います。その際に厳しい言葉を投げかけられたとしても、情報を発信した身としてはやはり受け止めなければいけないと責任を感じる部分はありますね。

——ちなみに気になったのですが、お仕事の報酬もトークンで支払われることが多いのでしょうか?

のろいちゃん:ケースバイケースですがありますね。プロジェクトのトークンで支払われることもあります。

さなまる:もちろん日本円や米ドルなどもあります。でも、暗号資産で受け取るとWeb3.0領域で活動しているありがたみというか、実感が湧いてきますね。暗号資産を応援しているからこそ、暗号資産を日常的に循環させていきたいという想いもあります。

のろいちゃん:ただ、プロジェクトのトークンで報酬をいただくと、私の存在そのものが売り圧力になってしまうので、複雑な気持ちもあります。プロジェクトとしては自分たちが作り出したトークンの方がマーケティング費用も従来と比べて抑えられるという事情もあるんでしょうね。

Web3.0を広く知ってもらうためにも伝える側のインフルエンサーを増やしていきたい

——現状のろいちゃんは個人で、さなまるさんは「CloneGirls」のメンバーとして組織での活動もあるかと思います。それぞれの良さや違いとしては何がありますか?

さなまる:組織だと役割分担ができるのは良いポイントだと思います。それぞれに得意分野がありますし、効率的に動けたりする部分もあります。私自身、メタバースプロジェクト・CloneGirlsのメンバーとして活動することに心地良さも感じますね。

のろいちゃん:個人の活動は孤独ではありますけど、やっぱり楽ですよ。意思決定がスムーズですし、仕事も進みます。動画制作も本当は外部に発注した方がいいんでしょうけども、自分でやった方が早いから自分でやってしまっています。

さなまる:動画は早ければ撮ってその日中に出すこともありますしね。私はその日にゲームがリリースされたとなった時には世界一早く動画を出したいと思ってるんです。世界一を目指すにはリリースが出て数分で編集を始めないといけないので気合が入りますね。ちなみに、のろいちゃんは最近法人を立ち上げたと思うのですが現在の状況はいかがですか?

のろいちゃん:意思決定のスピードは個人の方が当然早いけど、私が考えていないことをチームが生み出してくれるのは組織の良さだなと感じています。自分の考え方の選択肢が広がったなと感じます。

さなまる:ちょっと惚気になってしまいますが、私はCloneGirlsのチームワークがとても良いと感じていて、全員が気を遣いあえるところは外からみても魅力になっているんじゃないかなと思います。私たちは、Web3.0やクリプトを世界に広げるための活動を行なっているのですが、メンバーがみんなその想いを持っているからこそチームが長続きしていると思っています。

——ずばりお聞きするのですが、お2人にお仕事を依頼するクライアントは、何を求めていて、そしてどこに需要があるからこそ依頼されるのだと思いますか?

さなまる:なんとなくですが、少し難しく感じられるこの業界のことを、楽しく伝えられる存在としての珍しさは買われているのかなと。その上で、難しいことを噛み砕いて伝える能力というのは求められていると思います。

のろいちゃん:私もそれに近いと思っていて、どうしてもお金周りの話が尽きないこの業界で、「こんな楽しいものもあるんだよ!」と金融の側面ではない「ゲームとしての楽しさ」の部分を伝えるところが求められているのではないかと感じています。

それでいうと、さなまるちゃんやCloneGirlsって難しかったり堅いイメージのある業界に花を添える存在だと思うんです。「暗号資産ってこんな側面もあるんだよ!」と、より多くの人たちに伝えられる象徴みたいな印象を私は持っています。

さなまる:ありがとうございます。それでこそ、のろいちゃんはゲームのイメージが強いと思うのですが、そもそも女性で顔を出して配信をしているゲーマーってWeb3.0領域に関係なく本当に少ないんですよね。Web3.0領域に限っても、ゲームに特化したインフルエンサーといわれた時、のろいちゃんをすぐ想起する方が多いと思います。

——最後に、業界の最前線で活動しているお2人が今のWeb3.0領域に思うこと、または物申したいことなどはありますか?

のろいちゃん:問題提起に近いところですが、この領域のインフルエンサーや情報発信者って極端に少ないと思っていて、数年にわたって面々も変わっていないじゃないですか。この状況を問題視していて、発信者やインフルエンサーが同じということは、そのフォロワーもまた同じということです。ずっと同じプレイヤーしかこの業界にはいないんですよね。つまり、業界のなかで現在回っているお金は、ここ数年同じプレイヤー同士で取り合ってるだけだと思うんです。

これを何とかしたいと考えた時に、もっとインフルエンサーや発信者、クリエイターなどを増やすべきだと思っていて、今、私の会社ではWeb3.0ゲームマーケティング会社としてイベントやPR施策を企画する一方で、Web3.0のインフルエンサー、クリエイターを育成していく事業を行っています。こういった取り組みでWeb3.0により多くの人を巻き込んでいきたいですね。

さなまる:のろいちゃんと被るところがありますが、Web3.0関連企業は増えているけど、肝心な伝える側の人、そしてそれを受け止めるユーザーが全然増えないというのは課題だと感じています。ユーザーが興味を抱いても参考になるものが少ないため、次につながりにくいというのが今のWeb3.0業界だと思います。

のろいちゃん:業界全体として、Web3.0の想いや良さを上手に届けられていない感じがするよね。

さなまる:興味を持った人を跳ね返してしまうような雰囲気もあるなと。だからこそ、私自身がこれからWeb3.0を知るための通り道になれたらいいなという想いがあるし、興味がある人をもっと巻き込んでいかないとと思っています。

のろいちゃん:私個人としてはさなまるちゃんみたいな人を増やしていきたいんですよね。Web2.0とWeb3.0の架け橋になってくれる存在がたくさん増えるとこの業界はよりいい方向に進むのではないかと思っています。


※AMA「Ask Me Anything(何でもきいてください)」の略。SNSなどで開催される質疑応答の場のこと。


Profile

のろいちゃん Noroichan

YouTubeやXでの発信を中心とする日本を代表するWeb3ゲームインフルエンサー。Web3ゲーム「Axie Infinity」がフィリピンに大きな雇用をもたらしたニュースをきっかけにこの業界に参入。また、2024年、Web3ゲームをマスアダプションさせるマーケティング企業「GAMIES株式会社」を創業。より多くの人々をWeb3ゲームの世界へと導くことを目標に掲げ、業界の発展に寄与している。

https://x.com/noroichan_game

Profile

さなまる Sanamaru

高校時代、大学時代にアイドル活動を行う。また、ミス中央大学コンテストファイナリストに選出。大学卒業後はUUUM株式会社に新卒で入社し、2つの企業チャンネルの出演、運営を行う。UUUM卒業後はフリーランスのインフルエンサーとして活動し、SNS総フォロワー20万人を超える。

現在、音楽とweb3を通じて日本のPOPカルチャーを世界に広げるメタバースプロジェクトCloneGirlsのメンバーとしても活動中。海外カンファレンスでも多くのイベントにゲストパフォーマーとして招待されるなど、世界で注目を集めている。

https://x.com/sana__hashimoto


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