現在、ビットコインを始めとした暗号資産価格が高騰し、市場は賑わっている。市場が好況となればそれだけ利益が生まれ、一旦利益を確定したいという考えも出てくるはず。しかし注意してほしい。暗号資産の取引で得た利益は課税対象となり、場合によっては確定申告を行う必要も生じる。
今後も暗号資産を取引する上で、税金に関する知識を蓄えておくことは極めて重要だ。そこで今回、暗号資産領域の税務に詳しい藤本剛平さんに、暗号資産取引によって生じた利益をどのように計算すべきか、また損益計算をする上での資産管理や具体的な方法について話をうかがった。

──個人の暗号資産取引によって発生した利益について、どのように税金がかかってくるのかまず基本を教えてください。
藤本:まず暗号資産の取引で発生した利益は、雑所得という所得区分に分離されます。所得区分は10種類あり、それぞれに応じて税金の計算方法が変わるのですが、そのなかでも雑所得は優遇措置がほとんどない、最もシンプルな所得区分なんですね。
例外として、宝くじのような形で暗号資産を手にしたのであれば一時所得、事業として暗号資産取引をして利益が出たのであれば事業所得に該当しますが、原則8〜9割くらいの人は雑所得に該当すると思っていただいてよいかと思います。
——ほかの所得には優遇があるのに、暗号資産取引で発生した利益は雑所得だから優遇がないというのはなんともいえない気分になりますね。また多くの人は暗号資産に関する税金で「55%」という数字にもアレルギーを持っているかと思います。
藤本:暗号資産の利益は常にその55%が課税されると認識している方が多くみられますが、これは大きな誤解です。まずこの55%は超過累進税率における最大の所得税率である45%と、一律10%の住民税を足した数字となります。
また、雑所得だから55%というわけではなくて、給与所得をたくさん得た場合でも住民税とあわせて55%が課税されます。つまり、暗号資産だけが冷遇されているわけではなく、多額の利益が出た場合には一部の例外を除き税金が課されるというのが基本的なルールということです。

▶所得税の税率:国税庁より引用