Web3.0暗号資産NFTメタバース

金融大手の強みを活かしweb3をワンストップで実装する | マネックスグループ株式会社

2024/11/28Iolite 編集部
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金融大手の強みを活かしweb3をワンストップで実装する | マネックスグループ株式会社

事業者と共にweb3を追求し包括的にサポート

web3ソリューションのハブへ

──改めてマネックスグループの事業内容とweb3関連の取り組みについてお聞かせください。

万代惇史(以下、万代): マネックスグループには、マネックス証券やトレードステーションというオンライン証券に加えて、コインチェックという暗号資産取引所、さらには3iQという暗号資産運用会社があります。

こうした事業を展開するなかで、自然とマネックスグループにはweb3に関する情報が集まります。また、web3に取り組みたい企業様、web3関連のソリューションをお持ちの企業様とのつながりもできます。こうした立ち位置を活かして、マネックスグループがハブとして法人様向けにweb3支援サービスを提供できるのではと考えました。

──万代さん、浅見さんのそれぞれの役割を教えてください。

万代: 私はマネックスグループの「ゼロ室」で室長を務めています。ゼロ室は、web3領域に限らず、マネックスグループ全体の新規事業を創出する目的で設立された部署ですが、直近ではweb3が金融業界を大きく変えうるポテンシャルがあるため、注力して取り組んでいます。

浅見浩志(以下、浅見): 同じくゼロ室において、実際にweb3関連の新規事業を担当しています。担当事業は大きく2つあります。1つ目は、昨年コインチェックからゼロ室に移譲されたメタバース都市開発プロジェクト「OASIS(オアシス)」に関する業務です。街にはハード(建造物)とソフト(住人やコンテンツ)の両方が必要なため、The SandboxやDecentraland、Fortniteなど複数のメタバースに都市を建設しつつ、ソフトとしてweb3コミュニティを運営しています。

2つ目は、OASISを通じて得たweb3プロジェクト推進のノウハウを活用した「web3支援サービス」です。企業がweb3プロジェクトを立ち上げる際の企画からコミュニティ運営(細かいところではDiscordの設定等)まで一貫してサポートしています。

──web3に触れるきっかけになったことはなんですか?

万代: 2016年頃から、ビットコインのサトシ・ナカモトの論文に書かれた内容がマネックスグループの社内でも度々話題にあがっており、自らビットコインを買ってみました。その後、ICOの盛り上がりやVALU、CryptoKittiesなどの登場を経て関心が増し、コインチェック社のグループ入り以降は、Solidityを書いてスマートコントラクトを作ってみるなど、さらにweb3領域を勉強するようになりました。

浅見: 私の場合は2018年頃です。その頃、スタートアップに勤めており、スタートアップは比較的新しいもの好きな人たちが多いため、「ビットコイン買ったよ」とか、「価格が上がった」みたいな話をよく耳にしていました。それまで暗号資産に対して、特に興味を持っていなかったのですが、話を聞くうちに「これはすごい技術かもしれない」と思うようになり、自分でも少し試してみようと思って、そこで初めて触れたことがきっかけです。

──メタバースプロジェクトにかかわるようになったきっかけはありますか?

浅見: 当時、コインチェックの新規事業開発部では、今後、取引所ビジネスだけに依存せず、収益の柱を多角化していく上で、トークンを持つ人々が形成するコミュニティビジネスが大きく発展するだろうという見立てがありました。そこで、コミュニティビジネスの可能性を探索するために立ち上げられたのが、メタバースとNFTを掛け合わせたOASISでした。

私自身がスタートアップに在籍していたこともあり、コインチェックにおいても新規事業の中で自身の強みを活かせると考え、OASISに参画して現在に至ります。

──事業者向けのweb3支援サービスについて詳しくお聞かせください。

浅見: OASISでは、著名アーティストのMIYAVIさんのバーチャルライブや水原希子さんのイベントをメタバースで開催しました。また、OASIS TOKYO × The Sandboxクリエイターコンテストを行い、そこで応募された作品を街のなかに取り込むなど、多くの3Dクリエイターを巻き込んでOASISを共創してきました。

ほかにも、コミュニティの参加メンバーが毎週コミュニティラジオの放送を始めてくれたり、コミュニティで出会ったメンバーがチームを組んで外部のコンテストに参加されたりと、活発なコミュニティが育っています。また、OASISコミュニティへの参加を通じてweb3を仕事にするようになる等、人生が大きく変わったメンバーもいます。

こうしたコミュニティの運営を通じて蓄積したノウハウは、ほかの企業がweb3に参入する際にも大いに役立ちます。そこで、こうしたノウハウを活用して、企業がweb3プロジェクトを立ち上げる際に、どのように活気のあるコミュニティを設計・運営するか、どのような相手とコラボレーションをするか、さらにはNFTの発行やマーケティングの戦略など、具体的なサポートを提供しています。

web3と既存金融のノウハウを掛け合わせ、あたらしい体験を──

あらたなビジネスの創出

──web3ソリューションの取次販売代理事業についても詳しくお聞かせください。

万代: 私たちは、メタバースやweb3コミュニティ運営のノウハウやソリューションはありますが、web3領域のすべてのサポートを単体で網羅的に提供できるわけではありません。一方、web3周りはトレンドの移り変わりも早く、タイミングに合った適切なソリューションを提供する必要があります。

そんななか、web3業界を見渡すと、海外だけでなく国内でも優れたweb3のソリューションを提供する会社が増えてきました。今後、web3ではこれらのソリューションをどのように組み合わせて、ユーザー体験を設計していくかというフェーズに移行していくと思っています。

そこで、これらのソリューションを提供している事業者様とパートナーを組んで、それらを適切に組み合わせてパッケージすることで、web3に取り組みたい企業様を包括的にサポートしていこうと考えています。イメージとしては、大塚商会さんのweb3版のような、あらゆるご提案から導入までをワンストップで提供できるような存在です。

──マネックスグループがweb3関連の取り組みを通じてターゲットとする領域についてですが、web3をどのように定義・解釈されていますか?

万代: 基本的にはブロックチェーンがメインで、そこに場合によってメタバースが組み合わさると思っています。ブロックチェーンは、国家や大企業等の信用やシステムがなくとも、誰でも共通の基盤上に汎用的なトークンを発行できるようになったという点で、供給者側にとって革命的な技術です。

NFTや暗号資産等の広義のトークンを活用して、あたらしいビジネスモデルやインセンティブ、世界観を作り出すことがweb3の本質なのかなと思っています。

──暗号資産業界には多くの競合が存在していますが、マネックスグループの優位性はどのようなところにあるとお考えですか?

万代: 1つは、グループ会社にコインチェックという暗号資産取引所がある点だと思います。これによって、自然と世界中のブロックチェーンに関する情報、そして企業が集まってきます。これを基盤にさまざまなことができるのが強みだと思っています。

また、単に従来のWebサービスをブロックチェーンベースに置き換えるだけでは大きなメリットは得られません。web3の本質的な意味は、トークンやNFTをいかに活用し、それをもとに新たなビジネスを創出するかにあります。そのためには、コンシューマー向けのWebサービスのノウハウと、トークン発行や資産のトークン化といった金融のノウハウをうまく組み合わせる必要があります。マネックスグループは金融を基盤とした会社ですから、この点が大きな強みだと考えています。

──日本企業がweb3ソリューションを導入する際、主な障壁や課題は何だと考えていますか?

万代: 課題としては、秘密鍵の管理や会計処理をどうするかなど、細かいものがたくさんあります。また、NFTの発行にかかるコストやノウハウの不足など、web3のわかりにくさも大きな障壁です。web3の専門家にとっては、同領域はどんどん発展していますが、一般企業は置いてけぼりになっています。そのため、ちょっとしたことから、たとえば「このサービスを使えば簡単にNFTが発行できますよ」といったことから、具体的なソリューションを提供しつつ、伴走する必要があると考えています。

──今後の展望をお聞かせください。

万代: まずは国内・海外を問わず、取次販売代理事業のパートナー企業を増やして、私たちが提供できるweb3ソリューションの幅を広げることが重要だと考えています。スクラッチから大きな開発をしなくとも、既存のソリューションを組み合わせて、比較的安価にweb3に取り組めるという事例や実績を積み重ねていきたいです。そのなかで、横展開できる事例を見極め、多くの法人様にweb3に取り組んでいただき、その先のユーザー様にも新しいweb3の体験を届けていければと考えています。

浅見: これまで育ててきた私たちのweb3コミュニティ「OASIS」も、web3に取り組みたい法人様向けに提供できるソリューションのひとつに加えていきたいと思っています。具体的には、私たちが開発してきたメタバース上の土地を企業にレンタルするサービスを検討しています。メタバース空間をゼロから開発すると大きなコストが掛かりますが、すでに私たちが開発した都市の一部を借りていただくのであれば、月額数万円からでもメタバース活用を始められます。

こうした安価なプランを通じて、多くの企業様やサービスが「OASIS TOKYO」などの1つのメタバース都市に密度高く集合していただくことで、街にも活気が出て来るでしょう。メタバースの最大の課題である「過疎」も解消できるかもしれません。


MONEX GROUP
1999年に松本大氏とソニー株式会社の共同出資で設立された金融持株会社で、オンライン証券や暗号資産取引など、多岐にわたる金融サービスを提供している。2024年1月には、NTTドコモとの資本業務提携を発表し、個人の資産形成をより身近なものとするためのあらたなサービス開発を進め、同年11月にはWeb3事業ポートフォリオを象徴する新ブランド「Monex Web3」を立ち上げて、暗号資産やブロックチェーン技術の普及促進に注力している。


Profile

◉万代 惇史(Atsushi Mandai)
マネックスクリプトバンク 代表取締役
マネックスグループ ゼロ室室長
東京大学法学部卒業後、新卒で2014年マネックスグループ入社、日本株・米国株のマーケティング業務に従事した後、2017年マネックスグループ内で新規事業を立ち上げる、ゼロ室の発足に携わり現職。 web3分野における企業支援やソリューション提供にも注力し、暗号資産やブロックチェーン技術の普及促進に貢献している。

◉浅見 浩志(Hiroshi Asami)

マネックスグループ ゼロ室マネージャー
OASISプロジェクト/Community Director
2010年に新卒でHONDAへ入社。メカニカルエン ジニアを7年間経験後、IT業界のビジネス職へキャリ アチェンジ。動画広告配信や、CRMスマホアプリに 関する自社BtoBtoCサービスを持つスタートアップ2 社にてビジネス周り全般やピボットを経験。LINE社及びSTORES社からのM&Aに立ち会った。2023 年コインチェックへ入社後に親会社のマネックスグ ループへ転籍しOASISプロジェクトのCommunity Director及びWeb3支援事業のBizDevを担当。

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