──改めて現在の活動についてお聞かせください。
中村獅童:私自身、映像のお仕事もやらせていただいていますが、本業は歌舞伎役者。歌舞伎の公演に出演しつつ、歌舞伎に出演してない時にはテレビや映画のお仕事をさせていただいています。
──映像のお仕事といえば、映画「ピンポン」の風間竜一(通称ドラゴン)の役が非常に印象的でした。
中村獅童:当時、歌舞伎では群衆の役や並びの役のようなお役ばかりでしたので、やはり歌舞伎でも真ん中に立てるような役者になりたいという思いと、「中村獅童」というのは私の父が子役の時に名乗っていた名前で、父は若いうちに廃業してしまったので、自分の代で皆様に知っていただけるような名前にしたいという思いがありました。
そのなかで、歌舞伎にとどまらず外の世界にもチャンスを求めました。さまざまなオーディションを受けて、たまたま受かったのがピンポンでした。あの時は、高校生の役でしたが、30歳でしたね。
──これまでのキャリアのなかで、良い影響を受け、印象に残っている人物や出来事はありますか?
中村獅童:クリント・イーストウッド監督や「レッドクリフ」のジョン・ウー監督、演出家脚本家でいうと、三谷幸喜さん、宮藤官九郎さん、岩松了さん。最近ですと、北野武監督、是枝監督、三池監督、藤井道人監督。
ずっと若い時から、いつかはご一緒させていただきたいなと思っていた方々とお仕事ができたことは非常に嬉しかったですね。
──作品のなかからインスピレーションを得ることが多いのか、それとも実際に出演された映画のなかで、監督とコミュニケーションを取って学びを得ることが多いのでしょうか?
中村獅童:もちろんその監督の過去の作品をみさせていただくことも多いですが、監督と衣装合わせや打ち合わせでお会いした時に、まずその監督がどういうタイプの監督なのかなということを観察して、よりよい作品にできるように考えているかもしれません。
コミュニケーションを取りながら、一緒に作り上げていくタイプの監督なのか否かなど。いろいろなタイプの監督がいらっしゃると思うんですけど、「日本で一番悪い奴ら」の白石和彌監督とお仕事をさせていただいた際には、特にディスカッションしながら現場で作品を作りあげていくという感じでしたね。
まずは自分が考えてきたものを現場で表現する。そのなかで、作品には共演者の方もいらっしゃいますから、相手の方の芝居をどういう風に受けるかや、現場で起こる課題も含めてそれが芝居の楽しいところだったりもします。