ROBLOXは、ゲーミングプラットフォームでありゲームの開発ツールだ。プログラムをまったく知らなくてもゲーム開発ができるプリセットが用意されており、実際筆者も、触り始めて1時間程度で3D空間のなかを車が走るプログラムを作ることができた。
ROBLOXで開発されたゲームは、ROBLOX内で配信ができ、ユーザーはそれらを無料で自由に遊ぶことができる。さらに、ROBLOX内でユーザーの分身となるアバターに着せるスキンや、アイテムを開発することも可能だ。一部のアイテムは、ROBLOX内で使用される通貨「Robux」を用いて売買もできる。
ROBLOXの特徴
- プログラミング初心者でもゲームやメタバースが作成できる
- 作ったゲームやスキンを販売できる
- 手にしたゲーム内通貨を換金できる
- メタバースとして交流に使える
サービスの開始は2006年と古い。だが、ROBLOXが急速に成長したのは2020年頃だ。きっかけは、新型コロナウイルスの流行であった。
感染対策により、オンライン授業となった小学生たちが、基本プレイ無料のROBLOXに集まり友人作りを始めたのだ。やがて、他人の作ったゲームだけでは満足できなくなると、自分たちでゲームを作りそのゲーム空間へ友人を招待し始める。
こうして大人たちの知らないところでROBLOXは単なるプラットフォームの枠を超え、子どもたちがコンテンツをキーに集まり情報交換をするメタバースとして機能し始めた。
ROBLOXの最大の魅力は、メインユーザーの年齢層が圧倒的に若い点にある。ROBLOXは現在世界に4億人のアクティブユーザーを抱えているが、そのうち半数以上が13歳以下だ。
子供の環境適応速度は早い。彼らは、ROBLOXを通じた交流を自然なものとして受け入れており、我々大人世代よりも、ナチュラルにメタバースで生活を行っている。これからのメタバース時代の一般常識はROBLOXで育つ子供たちが作っていく可能性が高い。
ここ2~3年、ROBLOXの隆盛に気付きROBLOX内に広告出稿や出店を始める企業が増えてきた。その広告手法は、これまでのメタバースでの展開と大きな違いがある。ROBLOXの主役は、あくまでユーザーである若年層を楽しませるコンテンツだ。
とある映画は、ROBLOX内で予告編を流さず、映画キャラクターになりきれるスキンを開発し無料配布した。スキンをきっかけに映画に興味を持った子供たちが、そのままROBLOXから映画チケットを購入したという結果が出ている。
人気ゲームのアニメ化を宣伝をするために、ROBLOX用新作ゲームを開発してしまった大手ゲームメーカーも出てきている。これらのコンテンツを開発するには当然、開発のための企画や予算がかかる。そのため、ROBLOX内でのコンテンツ開発を専門に請け負う会社まで誕生している。
ペアレンタルコントロールサービスを提供するQustodio社の調査によると、現在、世界の小学生は、ROBLOXのプレイに1日3時間も費やしている。常にゲームで遊んでいるわけではなく、友人同士の会話に費やしたり、次に開発するゲームのアイデア出しを行ったりしているようだ。
これはまさに、我々が思い描いていたメタバースの姿ではないか。メタバース文化は、大人のまったく気付いていなかった大地でしっかりと根を張り、幹を伸ばしていたのである。
若年層が主役だからこれからの発展にますます期待が持てる
ROBLOX News
デイリーアクティブユーザーが約7,950万人
ROBLOXは、デイリーアクティブユーザー(DAU)が7,950万人であると公表している。これは、月間に直すと23億8,500万人のユーザーがアクセスしているということになり、世界の大人気オンラインゲームや、人気メタバースの20倍近い集客能力を持っているということになる。
Z世代α世代を中心に圧倒的な人気と知名度
大人世代にはいまいち知られていないROBLOXだが、世界中の子どもたちにとっては、今やYouTubeやTikTokを超えるサービスとして認知されている。コンビニでAmazonなどのPOSAカードを販売しているところをよくみていると、実はROBLOXの課金カードが販売されており子どもが購入している。
年間売上は8億$!世界有数の成功しているメタバース
ROBLOXは2020年のコロナ禍を境に、右肩上がりの成長を続けている。2024年の第2Qの収益は8億9,350万ドル(約1,370億円)。メインユーザーの大半が小学生ということもあり、1人あたりの月間売上額自体は約1,800円と決して多くはない。だが、ユーザーが多いためこの数字になっている。
有名ブランドも多数参加!リアルの売上に直結する例も
ROBLOXでは、有名なブランドが自分たちのブランドストーリーをモチーフとしたワールドを多数展開している。リアルへの売上へ結び付けるだけでなく、アバター着せ替えのアイテムとしての販売システムが整備されているため、メタバース内独自コンテンツの開発・販売にも力を入れている。
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