生成AIの登場により、私たちの仕事の方法は劇的に変わってきた。見積り時に、すでに生成AIの使用前提の金額を提示され驚いた経験がある人も多いのではないだろうか。業界にもよるが、すでに人間の仕事はAIに奪われ始めている。
ところが、AIの研究・開発者たちは、現状の生成AIは、まだまだ開発途上の技術であり、最終的には「AGI」、「ASI」を目指すといっている。AI研究・開発者たちが語る「AGI」、「ASI」とはいったい何なのだろうか。
「AGI」とは、Artificial General Intelligenceの略である。日本語では人工汎用知能と略されており、文字通り、人間のように汎用的な思考を行う人工知能のことを指す。汎用的な思考とはどういうことなのだろう。
たとえば人間であれば、料理を作る時には効率のよい調理の順番を考えながら、食材を切り、火を起こして炒め、味付けを行い皿に盛る。しかし、現在の生成AIは、特定の領域に特化してしまっているため、このような並行して汎用的な職務を実行することができない。
だが、AI自体が自立してそれらの思考を行えるようになったらどうだろうか。人間が行う仕事の量を激減させることが可能になるのは容易に想像できるだろう。
さらに、人間は進化をすることができる。料理の味付けを失敗したら、次に作る時は塩を減らそうといった判断を自らに下すことができる。そこで、AGIも人間のように経験から学習をしていく機能を持たせようとしている。学習結果から、最適解を導き出し、それを実行する意思決定能力を持つAI。
これが、AGIと現在名前が付けられているAIのその先の姿である。ChatGPTを提供しているOpenAI社のCEO、サム・アルトマン氏は、AGIの開発に現在取り組んでいる。開発にかかるコストに対しては糸目をつけないと宣言しており、実現もそう遠くないとみているようだ。
もう一方の「ASI」とはArtificial Super Intelligenceの略称だ。日本語ではそのものずばり人工超知能とされている。AGIが自己学習でさらに進化をしていくと、いつか人類の知能をはるかに超えた人工知能が誕生する。これがASIである。
すでに人間は、生成AIがどのような理論で結論に至ったかは、相当細かく過程を探っていかなければ知ることができない。これがASIになってしまうと、おそらく人類が到達できないような理論でもって、困難や不可能とされていた課題を解決してしまう可能性がある。
ただし、ASIが誕生してしまうことにより、人類は歴史上初めて、自分たちよりはるかに賢いものと出会うことになる。まさに未知との遭遇であり、このことに対する恐怖は、世界中に根深く巣くっている。
