イーサリアムの開発やアップグレードは、開発ロードマップに従って継続的かつ定期的に行われてきた。これによりイーサリアムは、スケーラビリティ※1、セキュリティ、サステナビリティ※2がどんどん向上していっている。
長期的な開発ロードマップが策定されており、公開されていることは、イーサリアムの大きく、かつ中核的な強みとなっており、研究者が生んだあたらしいアイデアや、重大なブレークスルーが起こった場合にも柔軟に適応することが可能となっている。
イーサリアムのアップグレードについては、使用者や技術者らが公の場で議論を続けており、公開されている。その議論はかなり専門的なものではあるものの、やる気さえあれば誰でも参加することが可能だ。
議論の内容は、脆弱性への対応といったイーサリアムの根幹にかかわることだけではなく、アプリケーションレイヤーで活動する組織(dApps や取引所など)からの改善提案、エンドユーザーにとっての取引摩擦(コストやトランザクション※3速度など)への対応など多岐にわたる。
これらの議論が成熟すると、イーサリアム改善提案(opens in a new tab)として提案され、採用されればロードマップに追加されていく。
このロードマップには、小さな改善とは別に、システムを根幹から見直し、段階的に実行されていく大型アップグレードの予定も記されており、今年、2025年はイーサリアムの歴史上5回目となる大型アップグレードの開始が予定されている。
このアップグレードは、開発者向けというよりは、我々エンドユーザー寄りの内容が多く含まれている。イーサリアムユーザーからはすでに、「史上最大のアップデートになる」との声が聞こえてきている。
それでは、ここからは2025年第1四半期末を目標にロードマップに記載されていたイーサリアムの次期アップグレード“Pectra” について、詳細を解説していこうと思う。