一般ユーザーが暗号資産を取り扱う上で必ず使用することになる"ウォレット"。そのためweb3の展示会などに行くと、ウォレットを開発している企業が顧客獲得に励んでいる様子をよく目にする。
このウォレット開発に、国内大手であるNTT Digitalが参入している。どうやら手数料や、ステーキングビジネスなどのマネタイズを主目的にしたビジネスモデルとは一線を画す、もっと大局的な視座から開発が進められているらしい。
ウォレットの役割とは何だろう。1番はブロックチェーン上に保管した、各種資産の管理であろう。だが、その側面ばかりを強化した所で、現時点で暗号資産を持っていない一般の方々がweb3にアクセスしてくることはないだろう。これでは、web3への移行は一向に進まずに、ユーザーが求める形でのweb2からweb3への切り替えは実現しない。
NTT Digitalでは、将来的にweb3ウォレットを活用して、資産管理(Money)だけでなく、一般ユーザが使いたいと思うような機能を増やしていくことも検討しているという。
たとえば、航空券データや各種ポイントカードなどの(Object)に、保険証や免許証などといったデジタルアイデンティティ情報(Identity)を紐づけて、ウォレットというアプリ1つで管理することができるようになるというものだ。
ブロックチェーンのセキュリティの高さを考えれば、個人データを管理することに適していることはわかる。しかし、web3ウォレット活用の将来像として語られた「データの共有(紐づけ)」にはどのようなメリットがあるのだろうか。たとえば、海外旅行を取り上げてみよう。
ウォレットを通じて暗号資産を利用して航空券を購入。ウォレットの中にパスポートデータを紐づけていれば、航空券を購入した時点で個人認証まで終えることができる。さらに、タクシーの配車アプリデータを紐づけておけば、飛行機が到着したタイミングちょうどに、迎車が到着しているというイメージだろうか。
しかも、どのデータを公開するかはユーザ自身で管理できるのも特徴となっている。
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