コンピュータゲームの開発費の高騰が続いている。“AAAタイトル”と呼ばれるような大手ゲーム会社の作る大型タイトルは、開発費100億円超も出てきており、数年かけて制作したタイトルがもし売れなかった場合のリスクは上昇する一方だ。
その一方で、問屋を通さずに流通させる手段が増えてきたことで、少人数で、それほど開発費をかけずに作ったいわゆるインディーゲームが、100万本を超える大ヒットをすることも増えてきた。
20年くらい前なら、インディーゲームというと比較的に手がかからずに作れるとされていたアドベンチャーゲームやロールプレイングゲーム、シューティングゲームが中心だったが、現在では、広大なMAPや美麗なグラフィックを売りとした本格3Dアクションゲームまで登場している。
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▶簡易的なグラフィックなら素材アセットを並べるだけで描画可能だ。
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▶最新版のトップページをみるとゲーム開発以外の用途も想定してUIが設計されている。
このようなことが可能になったのは、無料でも利用できる高性能なゲームエンジンが普及したからだ。ゲームエンジンとはゲーム開発に必要なさまざまな機能を統合したソフトウェアの集合体のことだ。
3Dグラフィックスの描画、物理演算、音響処理、入力制御など、ゲーム制作に必要な多くの要素を、包括的に提供することで、開発者がゲームの核となる部分に集中できるよう支援する。
かつては、ゲームを作るごとに会社が独自のエンジンを制作し環境の統一を行っていたが、それでは非効率であるということで、1990年代後半頃から、ゲームエンジンというものに注目が集まるようになった。
Unreal Engineが最初に登場したのは1998年だった。その機能の高さと汎用性の高さから、多くのゲーム開発者にあっという間に普及していった。ちょうどこの頃、それまで2Dグラフィック主体だったゲーム業界が、3Dグラフィック主体に変化したこともこの流れを加速させた。
以後、2000年代に入ると、ゲームエンジンのライセンス販売が一般化し、インディーゲーム開発者たちも、ゲームエンジンを使うようになっていった。
ゲームエンジンが普及していった理由として大きいのは、開発効率を向上させるアセットの豊富さもあるが、それ以上に、基本無料のライセンス販売というビジネスモデルで提供されるようになったことと、インターネットの普及が大きい。
多くの開発者がとりあえず使用でき、わからないところもネットで質問をすればすぐに誰かが答えてくれる。開発者同士のコミュニティの成熟が、ゲームエンジンが普及した裏にある。