──「バーチャルとっとり」はどのような背景・経緯、狙いから立ち上げられたのでしょうか?
杉田大輝(以下、杉田):まず「バーチャルとっとり」は鳥取県本庁の人口減少対策課で立ち上げ、主に社会増減に関するアプローチを行っています。そこには移住定住や、「メタバース課」も取り組む関係人口の創出が含まれます。
鳥取県では就職活動や移住などに関する県の情報発信を目的としたアプリ「とりふる」を2020年にリリースしました。「とりふる」ではさまざまな情報発信を行っていますが、どうしても県からの一方通行的な情報発信にとどまってしまいます。そこで、もっと就職活動を行う学生や移住などを検討されている方々と双方向でのやり取りが必要だと考え、「バーチャルとっとり」の実現にいたりました。
──「バーチャルとっとり」の構想自体はいつ始まったのでしょうか?
杉田:構想自体は2022年頃からありました。ちょうどその頃はコロナ禍であり、対面でコミュニケーションをとることが厳しいなか、若年層を中心にデジタルを通じたコミュニケーションをとることができる環境整備、とりわけメタバースを活用した関係人口の創出を狙い、2024年より本格的に始動した形です。
──鳥取県のメタバースに関する取り組みでは、自治体初の事例として「メタバース課」が2023年に立ち上げられましたが、具体的にどのような取り組みを行なっているのでしょうか?
中村大樹(以下、中村):そもそも、「メタバース課」の立ち上げはJTBとJCBの共同出資会社であるJ&J事業創造、Web3.0型メタバースを運営するXANA(ザナ)、そして「鉄腕アトム」などでお馴染みの手塚プロダクションの3者が、メタバースとNFTトレーディングカードを活用して地域活性化を目指す取り組みを行っていたことがきっかけです。
この3者より協力パートナーに関する提案があり、鳥取県としても当時コロナ禍が明けつつある状況で、観光客の増加や国内外の潜在的な関係人口創出に向けた情報発信を行う必要があると考え、一緒に取り組みを開始した形です。