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ブロックチェーンゲームの今後は? 元スクウェア・エニックス和田洋一 ×「コインムスメ」辻拓也——特別対談

2025/01/30Iolite 編集部
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ブロックチェーンゲームの今後は? 元スクウェア・エニックス和田洋一 ×「コインムスメ」辻拓也——特別対談

領域の垣根を越えたトップランナーたちによる特別対談

──対談を始める前に、和田さんが「コインムスメ」のアドバイザーに就任した経緯を教えてください。

和田 洋一(以下、和田):きっかけはイベントでお会いして、面白いことをやっているなと共感を得たことでした。

ゲーム業界はまず大手とインディーズの2つにわかれます。その上で、辻さんはPCインディーズから初めて成功しており、さらに現在、まったく違う分野に挑戦しています。この試み自体が面白いなと思いました。

もう1つは、Web3.0という形のないものへの挑戦です。Web3.0は「Web3」や「web3」など、各々によって表現が異なるかと思いますが、これはその人によって定義が違うから起きる現象だと思うんですね。このようにWeb3.0といってもさまざまな世界観があるなか、「コインムスメ」はかなりシンプルなことをやっています。

これまではひとまずブロックチェーンゲームと表現していたり、ゲームに無理やりブロックチェーンを持ってくるケースが大半だったと思います。

しかし、コインムスメは「ブロックチェーンを遊んでいる」感じなんです。普通であれば従来通りブロックチェーンをゲームに足す発想になるはずが、そうではなくブロックチェーンそのものを女の子のキャラクターにするという既存の枠にとらわれない発想が面白いと思いました。これがコインムスメに参画した大きな要因です。

──お二人は長きにわたってゲーム業界に携わっていますが、現状のゲーム開発や収益モデルの変化などについて考えをお聞かせください。

辻 拓也(以下、辻):ゲーム業界はスマートフォンの登場により、従来のソフトなどを買ってからプレイする買い切り型から、遊んでからお金を払うフリープレイ型が主流となりつつあります。また、スマートフォンの普及に伴いゲーム業界が大きく成長したわけですが、個人的には膨れ上がりすぎたなと感じます。その反動もあり現在のゲーム業界は伸び悩んでいて、特にモバイルアプリゲームは厳しい状況です。

和田:過去40年を振り返ると、ゲームが動く環境とビジネスモデルは完全に紐付いていました。最初はアーケードゲームから始まりましたが、この時は店側がいつどこでゲームを遊べるのかを決めていました。その後、家庭用ゲームが普及して個人の自由度があがりましたが、それでもパッケージされたものしかプレイすることができず、店頭からなくなればそもそもプレイすることができませんでした。

そこからゲームをダウンロードすることができるようになり、またオンラインでマイクロペイメントが可能になった後、フリー・トゥ・プレイ型(F2P)のゲームが誕生したのです。ここまでの流れをみてわかるように、供給側からユーザーへと、主権が移っていっています。特にF2P のゲームは業界において初めて後払いを実現しただけでなく、ユーザー自身が支払う金額を決められるようにもなりました。

この次に可能性があるのは、Web3.0プラットフォームだと考えています。ユーザー同士がNFTを自由に売買できるだけでなく、その金額もユーザーが決められるなど、自由度が極めて高い点は大きな強みです。

その一方、自由すぎるのも難しい部分です。あまりにも難しすぎると嫌気が差しますが、自由すぎると今度は何をしていいのかユーザーはわからなくなってしまいます。現在のWeb3.0は、まさに自由すぎる環境を目の前にしてユーザーがどうしたらいいかわからない状態だと思いますね。

──以前の弊誌のインタビューで、辻さんからブロックチェーンゲームにおいて重要なものとして「コミュニティ」をあげていただきましたが、主権がユーザーに移りゆくなかで和田さんもコミュニティの存在は大きいと思いますか?

和田:大きいというよりも必須だと思いますね。言葉にしろお金にしろ、何らかの価値交換を行う上でこれらはすべてコミュニケーションの手段なんです。言葉とトークンとではメディア化のあり方が違います。言葉はこの瞬間も記録しないと消えてしまいますが、トークンは残りますよね。その点、トークンは優れたメディアでもあるんです。ただ、抽象度が高すぎるがゆえにハードルもあがります。だから難しく感じてしまったり敬遠してしまいがちになるんです。

:このバランスが本当に絶妙で、一概にコミュニティといってもこの差を埋めることに難しさを感じます。僕自身、「コンテンツ×プラットフォーム」が今のゲーム業界には必要だと考えていて、キャズムを越える上ではいかに人が集まり、そのなかで理解が進むかということが重要だと思います。

ブロックチェーンゲームの定義はいろいろとあるものの、トークンとNFTがゲーム体験に溶け込んでくる時代は絶対に来ると思います。その時代がいつ来るのかというのはコンテンツ次第ですし、それを広げていくのはコミュニティだと思います。

──コンテンツのつながりでお聞きしますが、ブロックチェーンゲームユーザーを増やしていく上では大手などが抱える既存のIPとオリジナルIP、どちらを使用する方がいいと思いますか?

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