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ステーブルコインが拓くあらたな金融インフラ── JPYC岡部典孝 インタビュー

2025/03/28Iolite 編集部
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ステーブルコインが拓くあらたな金融インフラ── JPYC岡部典孝 インタビュー

相互運用性の拡大が大きなテーマか

──JPYCの事業内容を教えてください。

岡部典孝(以下、岡部):JPYCは「社会の課題を突破する」というミッションのもと、ステーブルコインの発行を行っています。現在はプリペイド型のステーブルコイン「JPYC Prepaid」を提供していますが、今後は電子決済手段としてのJPYCの発行を予定しています。さらに、USDCなどのほかのステーブルコインと交換が可能な取引所の開設も計画しており、より利便性の高いエコシステムを構築していく予定です。

 

──アンチ・マネー・ローンダリングの実効性向上と共同化に向けた実証実験を、デジタルアセット取引関連事業者ら13社と開始しました。この取り組みの概要とJPYCとしてこの取り組みに期待していることをお聞かせください。

岡部:今までは各社がそれぞれ、マネーロンダリング対策を実施していますが、情報をできるだけ共通化することで、より効率的な対策を行うことを目的とした枠組みを構築していく計画です。各社が個別に対応すると情報が分散してしまい、不正行為を行う者に対抗しにくくなるため、業界全体で協力し合うことが重要だと考えています。

この取り組みの狙いの1つは、コスト削減です。マネーロンダリングの疑いがある取引を検知した場合、各社はそれを阻止しなければなりません。しかし、1社単独で対応すると莫大なコストがかかります。情報を共有し、対策を統合することで、コストを抑えながらより効果的な対策を講じることが可能になります。

もう1つの狙いは、ほかの業種との連携強化です。たとえば、銀行業界における不正取引が発生した場合、銀行側でブロックするだけでなく、暗号資産業界とも情報を共有し、クリプト業界側での不正行為を未然に防ぐ仕組みを構築することが求められています。しかし、各取引所が個別に銀行とやり取りするのは非常に手間がかかるため、情報共有のための窓口を一元化し、効率的な連携体制を構築することが必要です。

また、ステーブルコインは特にマネーロンダリングに利用されやすいという特性があるため、JPYCとしてもリスクを低減するために、初期段階からこの枠組みに参加しています。

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