──2025年のWeb3.0領域の展望について、お考えをお聞かせください。
佐藤伸介(以下、佐藤):グローバルでみれば、米国のトランプ大統領を中心としてさまざまな議論が活発化する1年となるでしょう。そのなかにはミームコインに関する話もあります。
CoinbaseのCEOであるブライアン・アームストロング氏も話していますが、ミームコインは大きなトークナイゼーションのなかの1つの要素で、よく詐欺への懸念などが囁かれますが、それはあくまでも歪みの1つでしかありません。それよりも、これまで可視化できていなかったすべてのものに価値が付いていくということが重要ですし、現在の動きはその序章であると考えています。
日本については、そうしたグローバルの動きと少し変わった性質があると思います。具体的に日本においては、厳しい規制に準拠した形で既存産業と融合するきっかけとなる年になるのではないかとみています。
RWA(現実世界資産)のトークン化など、日本でも規制に準拠してトークナイゼーションが進んでいるのはいいことだと思います。一方で、企業間でのPoCのみにとどまっているところは個人的に寂しく映っています。大企業こそもっとコンシューマーを意識したトランザクションを生み出してもらいたいと思っていますし、そうした想いから私たちは「Slash Card」に取り組んでいます。
──暗号資産クレジットカードである「Slash Card」については今年6月末までの発行に向けた発表もあったなか、発行後の展開や戦略について教えてください。
佐藤:今回、オリコさんにBINスポンサーとして名乗りをあげていただき、アイキタスさんがカードを発行し、私たちSlashがプログラムマネージャーや開発・運営などを担当するという形になっています。
日本でSlash Cardを展開していく上で盤石の体制が整ったと思いますし、これまで誰も実現できなかった暗号資産クレジットカードを、セルフカストディウォレットと連携することで可能にした点も大きな成果だったと思います。
セルフカストディウォレットを活用することでカストディ規制などさまざまな規制に抵触することなく、暗号資産クレジットカードを発行できる仕組みについては特許も取得しています。