──2025年以降のWeb3.0領域の展望をお聞かせください。
各務貴仁(以下、各務):日本を始め各国で、暗号資産関連の規制整備が進むに連れ、取引環境も日本のようなローカル市場に回帰するでしょう。
その結果、情報開示の重要性が問われ、分散化と投資家保護の両立の重要性が高まり、プロジェクトの優劣がより透明性の高い情報で判断できる時代になるはずです。
この前提のなかで、私は3つの分野に注目しています。
1つ目が、セキュリティトークンとステーブルコインの利用拡大です。DeFiやSTO(証券トークンオファリング)の法的枠組みが整備されることで、証券や不動産などの資産のトークン化が企業レベルでも本格化するとみています。また、米国では国債需要などを背景とした民間ステーブルコインが見直され、主要国を中心に推進する動きに変化が見られると予想しています。
2つ目は、「ブロックチェーンのトリレンマ」の解消です。ブロックチェーンのトリレンマとは、スケーラビリティ、セキュリティ、分散性の3つを同時に成立させることが困難であるとされる概念です。この課題を解決する取り組みとして注目されているのがJAM(Join-Accumulate Machine)プロトコルです。JAMプロトコルは、ブロックチェーンの分散性を維持しつつ、高い処理能力とセキュリティを両立させる技術として、今後の発展が期待されています。
3つ目が、Web3.0とAIの融合です。データやアルゴリズムの分散管理、情報提供のあらたな仕組みを生み出す可能性があります。特に、AI研究開発への貢献やデータの安全な流通を実現するための技術革新が進むと考えています。