社会に蔓延する未読同意契約にどう立ち向かっていくべきか

2025/05/30 10:00 (2025/08/01 15:13 更新)
Iolite 編集部
文:Iolite 編集部
SHARE
  • sns-x-icon
  • sns-facebook-icon
  • sns-line-icon
社会に蔓延する未読同意契約にどう立ち向かっていくべきか

日常に潜む「同意」の落とし穴

今回はいつもと趣向を変えて、20世紀には存在しなかった未来的な社会課題について、どのような解決策が講じられているかを紹介しようと思う。

皆さんは初めて契約書に捺印をした日のことを覚えているだろうか。記載の間違いがないか、自分にとって不利な条件は記されていないか、目を皿にして文字を追ったはずだ。ところが、これがデジタルとなるとどうだろう。スマートフォンアプリのダウンロード時、通販サイトの初回登録時、Webメディアの会員登録時……。毎日のように我々は「利用規約」という名の契約書に目を通しているのに、緊張感をもって接していないのではないか。

人口1憶2,000万人の日本において、利用規約要素を含むページには、年間300億以上のPVがあるとされている。規約に同意するのが1割だとしても、契約回数は30億回にものぼる。だが、自分たちが契約行為をしているという意識はほとんどの人にないだろう。

2014年、ロンドンのカナダ・スクウェアで、2週間パブリックWi-Fi接続時のサービス規約に冗談のような一文を加えてみるという実験が行われた。

『Wi-Fiを利用する際は第一子を手放す。子供を持たない場合は、最愛のペットで代替する』『1,000時間公衆トイレを掃除する』『カタツムリの存在を目立たせるために殻に色を塗る』……。いずれの条件にも『この合意条件は無期限で有効』という但し書きがあったにもかかわらず、期間中にパブリックWi-Fiへアクセスしたユーザーおよそ20,000人のうち、規約の異常に気付いたのは0.000045%、すなわち1人だけだった。

主催者は、あくまで実験でありこの契約を履行する気はないとしているが、もし悪意のある利用規約だったらどうなっていただろう。

この記事は会員限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

SHARE
  • sns-x-icon
  • sns-facebook-icon
  • sns-line-icon
Side Banner
Side Banner
日本暗号資産ビジネス協会 Japan Cryptoasset Business Association
MAGAZINE
Iolite(アイオライト)Vol.15

Iolite(アイオライト)Vol.15

2025年9月号2025年07月30日発売

Interview Iolite FACE vol.15 Aptos Labs共同創設者CEO エイブリー・チン PHOTO & INTERVIEW テスタ 特集「職場の人間関係を攻略! MBTI活用術」「『AIエージェント元年』の波を乗りこなせ!」「ビットコインは企業の救世主か──トレジャリー戦略の最前線」「悪役から学ぶ経営戦略」 Crypto Journey 「Web3.0と社会貢献の交差点」 Bitget CEO グレイシー・チェン Interview 連載 「揺れる暗号資産相場を読み解く識者の視点」仮想NISHI 連載 Tech and Future 佐々木俊尚…等

MAGAZINE

Iolite(アイオライト)Vol.15

2025年9月号2025年07月30日発売
Interview Iolite FACE vol.15 Aptos Labs共同創設者CEO エイブリー・チン PHOTO & INTERVIEW テスタ 特集「職場の人間関係を攻略! MBTI活用術」「『AIエージェント元年』の波を乗りこなせ!」「ビットコインは企業の救世主か──トレジャリー戦略の最前線」「悪役から学ぶ経営戦略」 Crypto Journey 「Web3.0と社会貢献の交差点」 Bitget CEO グレイシー・チェン Interview 連載 「揺れる暗号資産相場を読み解く識者の視点」仮想NISHI 連載 Tech and Future 佐々木俊尚…等