2020年8月、米国のビジネスインテリジェンス企業であるStrategy(旧MicroStrategy)が、突如として世界の注目を集めた。上場企業として初めてビットコインを購入する方針を打ち出し、これまでにない企業価値の創出を狙ったのだ。これは共同創業者兼会長のマイケル・セイラー氏の強い信念のもと進められたが、当然当初は奇異に映ったことだろう。
しかし、ビットコインの価格上昇にあわせて株価が上昇すると、次第に世間の認識は変化する。株価を押し上げた背景には、ビットコインの価値を見出した「大胆な先見性」と、ビットコインに投資をしたいけれどリスクを考慮し直接資金を投じることができない「投資家の受け皿」としてのポジションを確立したことがあげられる。
Strategyの株価はビットコインの価格にあわせて乱高下しているものの、2024年11月には上場来高値を記録。記事執筆時点でも株価は上場時比約3,000%高の水準におり、単なる「ビットコインを購入する企業」から「世界有数のビットコイン保有企業」へと変貌を遂げた。そしてビットコインの保有量は、記事執筆時点でついに55万BTC超にまで到達している。
ビットコインを購入し企業価値を高める手法は、現在各国の上場企業などによって採用が加速している。日本においてもさまざまな企業がビットコインを購入し、株価は上昇した。
その一方で、ビットコインを購入している企業の株価はビットコイン価格に連動して乱高下することが少なくない。Strategyの戦略が株価上昇のモデルケースとして広まる反面、企業価値、そして株価が本当に適正であるのかどうかは不明瞭になりつつある。しかし、Strategyという成功モデルを踏まえれば、同じようにこれからさらに各企業の株価が上昇する可能性も十分に考えられる。投資家目線でみれば、極めて取捨選択が難しいところだろう。
世界の上場企業によるビットコイン保有量(2025年4月22日現在) 引用元:CoinGecko