昨年末、10万ドルの大台を突破したビットコインであったが、その後はトランプ政権の経済政策に振り回されるかのように、乱高下を繰り返し、一向に安定しない。このボラティリティの高さは、暗号資産関連法の方向性も定まり、投資家保護制度の整ったポートフォリオにも組み込める健全な金融商品へ変化させようとしている日本にとっては、歓迎しがたい事態である。
トランプ大統領は暗号資産関連の法律を整備していくという意向を示していたものの、あまりにもそのほかの話題が多いためその進捗状況は目にみえてきにくくなっている。
暗号資産は国際的な金融システムに大きな影響を及ぼしつつあり、各国政府はその規制と活用のバランスに取り組んでいる。特に日本と米国は、法制度・金融システム・技術基盤のいずれにおいても先進国であり、その政策の方向性は国際社会から大きな注目を集めている。そのため、センセーショナルな話題で市場が振り回されていたその裏で、着々と地盤固めが進んでいる。
本稿では、日米両国の暗号資産政策の現状と特徴を整理し、共通点及び相違点、今後の課題と展望について考察する。
まず初めに、日米両国が取り組むといっていた暗号資産関連の法整備の現状について、その進捗度合と今後の展開に関して、現在発表されている内容を整理してみたいと思う。我々が思っている以上に取り組みが進行していることに驚くとともに、法整備が進むにつれてあらたに浮かび上がってきた問題についても学びを進め、2025年度以降に必要となっていくポイントも知っておこう。
日米両国は、異なる文化のなかであらたに誕生した暗号資産というものに向き合っている。大まかに両者の違いをまとめるならば、日本は明確な法整備による暗号資産取引の枠組み設定と利用者保護を何よりも優先しているのに対して、米国はさらなるイノベーションを阻害しないように、「柔軟性」に重きを置いている。そのため、現在は規制の範囲設定に苦慮しているが、1度方針が決まればその先の実運用はかなり早いと思われる。
今後は国際的な協調体制の構築と、Web3.0時代に即した制度設計が求められるだろう。