Web3.0業界のなかでも、暗号資産やDEXに興味を惹かれた方は、昨年弊誌を含めさまざまな媒体が「暗号資産関連の法整備が進むことで、2025年には大口投資家が次々と業界に参入する」との予測を目にしていたのではないだろうか。実際、銀行や証券取引所などの大口投資家らの参入により、業界全体の資産量は増大し、明るい兆しは見え始めている。ところがそんな業界の動向に冷や水を浴びせるような事態が起きた。
2025年3月12日、大手DEXである「Hyperliquid」にて、突如巨額の清算処理が発生。資金が一時的に不足したため、HLP Vault(※)のプール資金より約400万ドルの出金が発生し、Hyperliquid参加者全員の損害となった。
そしてこの事件は投資家の不安に火を付けた。翌日からHyperliquidの基軸トークンである「HYPE」への売り注文が殺到し、最大8.5%もの下落を記録することとなる。
もちろんHLP Vaultに預けられている資金は潤沢であり、400万ドル程度の損害で運営はびくともしない。この事件により、Web3.0業界に大規模な資本が参入してきた場合に想定される、DEXの脆弱性が明るみに出たことの方が問題だろう。
※1「HLP(Hyperliquidity Provider)」主にマーケットメイキングと清算処理を行うためのプロトコルボールト。Hyperliquidプラットフォームにおける資金プールの一種で、コミュニティが資金を預け入れ、その活動から得られる利益を共有する仕組みを持っている。