米ドルと価値連動するステーブルコインとして、暗号資産市場で重要な役割を担っているUSDC(USDコイン)。時価総額は記事執筆時点(2025年5月1日)で600億ドルを超え、暗号資産全体の時価総額順位でも7位につけている。ステーブルコインというカテゴリーでみれば、暗号資産時価総額3位につけているUSDT(テザー)に次ぐ規模だ。
ステーブルコインは、価格が安定しているデジタル資産として年々需要が高まっている。ネットワークにもよるが、従来であれば一定の期間を要していた海外送金をわずか数分、数秒で完了させることが可能な上に、暗号資産取引における主要な取引ペアとしても活用されている。金融大手Citigroupによれば、ステーブルコインの市場規模は今後2030年までに3兆8,000億ドルに達するとの試算もある。
これは日本円にして530兆円にものぼる規模だ(記事執筆時点レート)。Grand View Researchが2025年3月に試算した「2030年の人工知能(AI)市場規模」が約1兆8,000億ドルであることから、その成長度合いがうかがえるだろう。そんなステーブルコイン市場において、顕然たる影響力を持つUSDCは、米国を拠点とするCircle(サークル)社が現在発行・運営している。
2018年に発行されたUSDCは、大手暗号資産取引所CoinbaseとCircleが共同で設立したコンソーシアム「Centre」を通じて当初運営されていた。その後、2023年にCentreが解体され、Circleによる単独運営体制へと移行している。そして2025年4月、ついにCircleは悲願ともいえるIPO(新規株式公開)に向け、米SECに対し目論見書を提出した。これまで2度にわたりIPOを目指してきたCircleだが、いずれも頓挫してきた。それだけに、IPOの実現は業界の内外から大きな注目を集めている。