社会的に浸透が始まったワイヤレス給電システム。その究極の形といえば、宇宙で太陽光発電した電気を電磁波に乗せて地表へと送ってしまおうという宇宙太陽光発電計画だろう。今号では、本当に実現可能なのかJAXAに聞いてみることにした。
前号、ワイヤレス充電の仕組みは、意外にも我々が小学校の頃に学んでいた知識の応用であることを紹介した。それらの技術は、スマートフォンの充電や、電気自動車の走行中充電システムとして現在開発が続いている。
だが、私たちがSFでみた究極の電源は、太陽からの光を浴びる限り永遠に動き続ける宇宙船や巨大ロボットだろう。ということで今号では、宇宙太陽光発電システムについて掘り下げていこう。
宇宙太陽光発電システム(SSPS=Space Solar Power Systems)とは、1968年に米国のPeter Glaser教授が提唱したことから端を発する概念だ。宇宙空間に巨大な太陽光発電システムとマイクロ波送電アンテナを浮かべる。発電した電気エネルギーは、周波数5.8GHz程度のマイクロ波に変換した上で、地上に配置した受電アンテナ(レクテナ)へ向けて送信。受信したマイクロ波を電力に再変換することで、理論上は無限のエネルギー源にできる。この構想は、後に数々のSF作品に取り入れられ、研究が進められてきた。
「日本を含めた多くの国で研究が続いています。特に米国、中国、欧州では日本よりも多くの予算をかけている状況です」そう回答をしてくれたのはJAXA(宇宙航空研究開発機構)のSSPS研究者。それは、実現が近いということだろうか。