2026年暗号資産(仮想通貨)市場はどうなる?—3つの要点サマリ
1 | 暗号資産は“投機”から本格インフラへ――2026年は制度金融化の折り返し点 2026年は、暗号資産が「投機商品」から本格的な金融インフラ・制度金融商品 へと位置づけ直される転換点である。日本ではインサイダー規制導入や税制改正、暗号資産仲介業の新設、ステーブルコイン/トークン化預金の拡大が重なり、米国でもジーニアス法や現物ETFを軸に、機関投資家と既存金融の本格参入が進む年になる。
2 | ルール整備は両刃の剣──参入促進と規制強化が市場の勝者を選別する 一方で、その制度設計は参入促進と規制強化の両刃 として働き、市場の勢力図を塗り替える。準備資産やライセンス要件、AML・コンプライアンスの強化によって「きちんとしたプレーヤー」は動きやすくなるが、シンガポールのような引き締めや米国政治(トランプ政権+中間選挙)の行方次第では、規制負担が重くなり過ぎて、中小プレーヤーの退出や市場縮小リスクも顕在化する。
3 | ビットコイン4年周期の終焉? AI・マクロ・規制と連動する“あたらしい相場”へ 価格面・テクノロジー面では、ビットコインの「4年周期」神話が揺らぎ、マクロ環境と制度・AIインフラに連動する相場 へと移行しつつある。データセンター投資やEU AI Act、2026年問題(学習データ枯渇)といったAI側の制約・再編も進むなかで、暗号資産はAI・デジタル証券・ステーブルコインと結びついた「次世代インターネット金融」の一部として、ボラティリティは抑えつつも外部要因の影響を強く受けるフェーズに入っていく。
社会実装へ進む一方、規制の網も強まる──2025年が示した“2つの道”
2025年は各国で暗号資産にかかわる法整備が進み、本格的な社会実装を念頭に置いたルール作りがなされた年となった。
同時に、米国やシンガポールなどではこれまでに発生した問題に対応する形で、暗号資産への規制もセットで行われている。
各国の動きを振り返りながら、国ごとにスタンスが二分化しつつある今後の暗号資産業界の潮流を予想してみた。
'25 JANUARY|米国で第2次トランプ政権が発足 ドナルド・トランプ氏が2024年の大統領選挙に勝利し、1月から大統領にび就任。米国優先の政策をより一層進めるという発言通り、いわゆる「トランプ関税」で世界経済に混乱をもたらした。
'25 JUNE|日本で改正資金決算法が成立 6月には日本で改正資金決済法が成立。
施行は2026年半ばになる見込みだ。金融のデジタル化全般を見据えた法改正となっており、暗号資産関連の新制度も多く盛り込まれている。
暗号資産にかかわる部分としては、暗号資産取引について「仲介業」のライセンスをあらたに設定することで、金融業に携わる会社以外でも取引の媒介であれば参入しやすくなった点があげられる。
また、ステーブルコインについて規制を見直し、裏付け資産の要件を緩和するなど、今後の普及を後押しする内容になっている。
一方、海外で取引所の破綻が起こった場合、利用者の資産が海外に流失しないよう、国内で資産保有する命令を下せる制度が追加。マネーロンダリング対策として国際送金を行う会社への規制など、リスク対策も。
'25 AUGUST|日本で初のステーブルコイン発行 8月、日本で初めて円建てステーブルコインを承認。その後、10月に正式に発行された。日本円預金と日本国債を裏付け資産として、同額の日本円に払い戻すことができる。
国債の運用益を本来ユーザーが支払う手数料に還元することで、低コストでの海外への送金を可能にしつつ、ビジネスとして成立させている。
発行元が決済システムを整備する立場ではないため、一般への普及は未知数。全体として国債に依存した構造のため、今後の世界情勢によっては安心とは言い切れない点が課題だが、大きな一歩となった。
'25 AUGUST|シンガポールで規制強化 シンガポールでは、夏頃からWeb3.0領域への複数の規制を打ち出し、これまでの柔軟な姿勢を転換することを示した。
シンガポールは規制の少なさなどから暗号資産事業の拠点として人気を集めていたが、ペーパーカンパニーによるマネーロンダリングや暗号資産の大規模な資金流失などによって、厳格なルール作りに舵を切ることとなった。
国内・国外どちらでサービスを行う場合でも、シンガポールの事業者はライセンスが必要となるため、スタートアップにとって厳しい環境に一変してしまった。
'25 OCTOBER|米政府閉鎖でETF審査がストップ 議会の対立により10月からの新予算が成立しなかったことで、一部の政府機関が閉鎖。米国各所でさまざまな政府機能が停止することになった。暗号資産関連では、ETF(上場投資信託)の審査がストップしてしまった。
今後はどうなる? 暗号資産 暗号資産関連の制度は各国で整備が進んでいる。自己責任の投機対象という段階は過ぎ、取引所の破綻が起きた場合は国内の資産を保護する仕組み作りや、無責任な事業者を排除するルール作りが進んでおり、社会的実装に向けた準備が着々と整っている。
マネーロンダリングなど犯罪への悪用や悪質な事業者への対策として、暗号資産への規制も急速に進行している。社会になかなか根付かないまま規制とともに参入が減少し、市場自体がしぼんでしまう可能性は十分にある。