サマリ
RWAトークン化は「資産の保有・移転・流通」を作り変える新しい金融インフラ
不動産・国債・プライベートクレジット・コモディティ・アート等の現実資産をオンチェーン化し、小口投資・24時間取引・権利移転の自動化を実現するのがRWAトークンである。これまで大口投資家に限られていた高額資産へのアクセスを広げ、仲介コストや決済時間を削減しながら、より多くの投資家を巻き込む“あたらしい金融レイヤー”として位置付けられつつある。
市場は急拡大フェーズへ──プライベートクレジット・国債・不動産が牽引
RWAトークン市場は2022年から2025年6月までに約380%成長し、2025年11月時点で約357億ドル規模へ拡大。なかでも約170億ドルがトークン化済みのプライベートクレジットが最大セグメントで、次いで米国債など国債・短期債、不動産トークンが存在感を高めている。BlackRockやFranklin Templetonなど大手機関の参入に加え、2030年に16兆ドル、2035年には数十兆ドル規模まで成長し、国債・社債・不動産などのオンチェーン化が“金融の常識”となるシナリオも示されている。
日本とGCCを結ぶ資本連携の“器”としてのRWA──制度整備と越境投資がカギ
日本では金融庁によるデジタル証券・STの整理を背景に、不動産ST発行残高が約2,700億円に達し、ProgmatやSBIグループを中心にRWA・STの実務活用が進む。一方、中東・GCCの政府系ファンドは日本の不動産・インフラ・脱炭素領域への投資を拡大しており、両地域の資本連携は緊密化している。エネルギー・インフラ・デジタル経済での協力が進むなか、コンプライアンスに沿ったRWAトークンが越境投資の“標準インフラ”となり、日本を信頼性の高いWeb3.0金融ハブとして位置付ける可能性が高まっている。
現実資産のトークン化
現実世界に存在するあらゆる資産をデジタル上に移し替え、その価値をブロックチェーン上で取引可能にする──。これが、現在注目を集めているRWA(Real World Asset:現実世界資産)のトークン化だ。
不動産、債権、貴金属、さらにはアートやワインに至るまで、多様なリアル資産が対象となる。従来、これらの資産は所有権の分割や流動化が難しく、取引には多くの手続きと時間が伴っていた。そのため、RWAのトークン化はこうした非効率を根本から変える技術として注目されている。
最大の特徴は、価値を細分化し、小口投資を可能にする点である。これまで大口投資家しかアクセスできなかった高額資産に、より多くの投資家が参加できるようになる。また、権利移転がブロックチェーンに記録されることで透明性が高まり、従来の金融取引では避けられなかった仲介コストや決済時間を大幅に削減できる点も魅力だ。金融機関にとっても、保有資産の流動化やあらたな投資商品の設計が容易になるなど恩恵は大きい。
こうした背景から、RWAトークン市場は2024年以降急速に拡大した。米国や欧州、中東では、国債や証券、レポ取引、不動産といった資産のトークン化が急速に進み、大手金融機関などの参入も加速している。アジアでも日本、シンガポール、香港が制度整備を進めており、RWAのトークン化を重要視しつつある。今後、各国の金融インフラにおいてRWAトークンが重要な役割を占める可能性は高い。
RWAのトークン化は単なるデジタル技術を用いた取り組みではなく、資産の保有・移転・流通という経済の根幹を再構築する新概念だ。金融の“あらたな時代の到来”は、刻一刻と迫っている。