RWAトークン化が描く新金融時代 急速に拡大する現実世界資産のデジタル化

2025/11/29 10:00PR
Iolite 編集部
文:Iolite 編集部
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RWAトークン化が描く新金融時代 急速に拡大する現実世界資産のデジタル化

金融の“あらたな時代の到来”の象徴となり得るRWAトークンより多くの投資家の参加を可能にするその概念とは?

サマリ

RWAトークン化は「資産の保有・移転・流通」を作り変える新しい金融インフラ

不動産・国債・プライベートクレジット・コモディティ・アート等の現実資産をオンチェーン化し、小口投資・24時間取引・権利移転の自動化を実現するのがRWAトークンである。これまで大口投資家に限られていた高額資産へのアクセスを広げ、仲介コストや決済時間を削減しながら、より多くの投資家を巻き込む“あたらしい金融レイヤー”として位置付けられつつある。

市場は急拡大フェーズへ──プライベートクレジット・国債・不動産が牽引

RWAトークン市場は2022年から2025年6月までに約380%成長し、2025年11月時点で約357億ドル規模へ拡大。なかでも約170億ドルがトークン化済みのプライベートクレジットが最大セグメントで、次いで米国債など国債・短期債、不動産トークンが存在感を高めている。BlackRockやFranklin Templetonなど大手機関の参入に加え、2030年に16兆ドル、2035年には数十兆ドル規模まで成長し、国債・社債・不動産などのオンチェーン化が“金融の常識”となるシナリオも示されている。

日本とGCCを結ぶ資本連携の“器”としてのRWA──制度整備と越境投資がカギ

日本では金融庁によるデジタル証券・STの整理を背景に、不動産ST発行残高が約2,700億円に達し、ProgmatやSBIグループを中心にRWA・STの実務活用が進む。一方、中東・GCCの政府系ファンドは日本の不動産・インフラ・脱炭素領域への投資を拡大しており、両地域の資本連携は緊密化している。エネルギー・インフラ・デジタル経済での協力が進むなか、コンプライアンスに沿ったRWAトークンが越境投資の“標準インフラ”となり、日本を信頼性の高いWeb3.0金融ハブとして位置付ける可能性が高まっている。


現実資産のトークン化

現実世界に存在するあらゆる資産をデジタル上に移し替え、その価値をブロックチェーン上で取引可能にする──。これが、現在注目を集めているRWA(Real World Asset:現実世界資産)のトークン化だ。

不動産、債権、貴金属、さらにはアートやワインに至るまで、多様なリアル資産が対象となる。従来、これらの資産は所有権の分割や流動化が難しく、取引には多くの手続きと時間が伴っていた。そのため、RWAのトークン化はこうした非効率を根本から変える技術として注目されている。

最大の特徴は、価値を細分化し、小口投資を可能にする点である。これまで大口投資家しかアクセスできなかった高額資産に、より多くの投資家が参加できるようになる。また、権利移転がブロックチェーンに記録されることで透明性が高まり、従来の金融取引では避けられなかった仲介コストや決済時間を大幅に削減できる点も魅力だ。金融機関にとっても、保有資産の流動化やあらたな投資商品の設計が容易になるなど恩恵は大きい。

こうした背景から、RWAトークン市場は2024年以降急速に拡大した。米国や欧州、中東では、国債や証券、レポ取引、不動産といった資産のトークン化が急速に進み、大手金融機関などの参入も加速している。アジアでも日本、シンガポール、香港が制度整備を進めており、RWAのトークン化を重要視しつつある。今後、各国の金融インフラにおいてRWAトークンが重要な役割を占める可能性は高い。

RWAのトークン化は単なるデジタル技術を用いた取り組みではなく、資産の保有・移転・流通という経済の根幹を再構築する新概念だ。金融の“あらたな時代の到来”は、刻一刻と迫っている。

プライベート・クレジットや不動産トークンが市場の中心

ここ数年で急速に拡大しているRWAトークン化市場は、2022年時点では数十億ドル規模に過ぎなかった。しかし、2025年には約300億ドルへと成長した。RedStone Financeのレポートによれば、2022年から2025年6月までの約3年間で、RWAトークン市場は約380%もの成長を遂げた。

これはRWAトークン化が実験的な取り組みから、本格的な金融商品へと認識が移行しつつあることを示しているといえる。この急成長の背景には、機関投資家の参入、規制環境の整備、そして債権などの伝統資産がブロックチェーン上で展開され始めたという市場構造の変化がある。

特に存在感を示しているのが、プライベート・クレジット(非公開債務)市場である。InvestaXが公開したRWAトークンに関する第3四半期レポートによれば、2025年時点で約170億ドルものプライベート・クレジットがトークン化されているという。

また、同レポートではプライベート・クレジットがRWAトークン市場の大部分を占めていると報告している。従来、プライベート・クレジットは流動性が低く、一般投資家が触れることが難しい市場だった。しかし、トークン化によって細分化が実現され、利回りを求める資金が流入しやすくなったことで、市場の拡大が一気に進んだ格好だ。

次に規模が大きいのが国債・短期債である。特に米国債を中心に、2025年には約73億ドル規模がトークン化されているとのデータがある。これらは世界で最も流動性の高い資産であり、ブロックチェーン上での「即時決済」「24時間取引」といった利点を享受しやすい。BlackRockやFranklin Templetonといった大手金融機関も相次いで参入しており、今後さらに成長する可能性が考えられる。

また、不動産やコモディティといった資産クラスも拡大しつつある。不動産市場は単体でみた際、世界全体で340兆ドル規模に及ぶ巨大市場だ。その一部でもトークン化が進めば、インパクトは計り知れない。

Emergen Researchのレポートでは、同社の2024年時点の集計において不動産関連のRWAトークンが全体の約34%を占めたとされている。ただし、権利関係や所有権移転の課題から、成長スピードはクレジット系資産よりやや緩やかだ。

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このように、現在RWAトークン市場は拡大局面に入りつつある。機関投資家等の本格参入により、今後さらなる市場規模の拡大が見込まれており、多種多様な資産がオンチェーン上で展開されていくものとみられる。

また、近年人気を集めているトレーディングカードやワイン・ウイスキー等のRWAトークンの需要も増していくものとみられ、すでに実例も出現しつつある。こうした背景から、個人投資家によるRWAトークンの取引も活発化していくことが予想される。

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RWAトークンに関する日本国内での動き

現在、日本においてもRWAトークンに関する動きが加速している。金融庁は2023年以降、デジタル証券の取り扱いや会計に関して明確化し、その後、不動産ST(不動産セキュリティトークン)の発行件数が大幅に増加した。

なお、STとRWAトークンは属性が似ているものではあるが、“必ずしもイコールではない”という点は留意すべきだろう。STはブロックチェーンを用いて株式や社債などの有価証券をデジタル化したものを指すが、RWAトークンの定義では必ずしも有価証券をトークン化するわけではない。しかし、RWAトークンの性質によっては別の法律に該当する可能性がある点も押さえておくべきだ。

国内では、メガバンクらが出資する「Progmat」のデジタル資産基盤を活用した不動産STの需要が右肩上がりに伸びている。Boostryが提供する市場サマリデータによれば、記事執筆時点の日本におけるSTの発行総額は約2,700億円で、そのうち不動産STが大部分を占める。

また、STを巡ってはSBIホールディングスの動きも活発化している。2025年8月にはStartale GroupとRWAトークンに関連する合弁会社を設立。さらに、SBIホールディングスを筆頭とする主要金融機関において、株式トークンの24時間取引が検討されている。こうした動向を踏まえ、今後日本でもRWAトークンやSTの取引がより活発になっていくことが予想される。

RWAトークンの未来展望

国債から不動産まで多種多様なRWAトークン化が加速
2035年までに数十兆ドル規模まで成長する可能性も

RWAトークンの需要増に伴い本格的に取引が加速

RWAトークン市場は2025年11月時点で約357億ドルに達し、国債やプライベート・クレジット、不動産などを中心に需要を集め取引が加速。大手金融機関の参入と制度整備が世界的に進みつつあり、まさに現実世界の資産がデジタル化され、金融インフラの一部として動き出した年である。

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市場規模は約2兆ドルに到達ステーブルコインとの連携も強化

Standard Chartered Bankの予測によれば、RWAトークン市場は急拡大し、2028年には約2兆ドルに達すると見込まれている。国債やプライベート・クレジット、不動産に続き、マネーマーケットファンドや上場株式など主要資産のオンチェーン化が本格化するとみられている。また、ステーブルコインの流通量拡大により、RWAトークンはシームレスなオンチェーン決済と直結した“あたらしい金融レイヤー”を形成し始める可能性を秘めている。

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国債、社債、不動産などのオンチェーン化が一段と加速

2030年にはRWAトークン化は、金融市場の“周縁”から“中核”へと位置付けが変わる段階に入る。各社によってバラつきはあるが、Boston Consulting GroupとADDXの共同分析では、2030年にRWAトークンの市場規模が16兆ドルに達すると予測されている。記事執筆時点の暗号資産市場全体の時価総額が約3.3兆ドルであることから、5倍ほどの規模にまで成長している試算だ。

この頃には国債、社債、不動産などのオンチェーン化が一段と加速し、金融機関がトークン化資産をポートフォリオへ組み込む動きも加速するだろう。

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規制や国家同士の連携によりRWAトークンの取引が“常識”に

2035年には、RWAトークンが“金融インフラの主流”として定着する段階に至るだろう。インフラ・不動産・企業債務など多様な資産がオンチェーンで24時間取引可能となり、資産の価値移転とその裏付けがオンチェーンで同期され、金融の基盤構造が抜本的に変化を迎えている可能性がある。

複数のレポートなどでは2030年時点で10兆ドル前後の市場規模を予測しており、2035年にかけて数十兆ドル規模への成長を見込んでいる。規制・技術・国際連携の整備が完了すれば、資産の発行・運用・流通はデジタルレイヤー上で“常識”となる年になるだろう。

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日本国内でも現実資産のデジタル化が進み大手企業などによる動きも活発化

機関投資家によるRWAトークン需要高まる BlackRockなど大手が本格参入

RWAトークン市場の拡大を後押ししているのが、世界の機関投資家による本格的な参入である。国債やプライベート・クレジット、不動産取引のオンチェーン化が進むなか、運用会社や銀行はRWAトークンを従来の金融商品と同列に扱い始めた。特にプライベート・クレジットは高い利回りが期待され、トークン化による透明性と流動性の向上が資金流入を促している。

世界最大級の運用会社であるBlackRockは、その象徴的な存在だ。同社はトークン化ファンドの提供を開始し、短期債やマネーマーケットファンドをオンチェーンで運用する仕組みを整えつつある。

また、BlackRockはRWAトークンをステーブルコインやデジタル決済インフラと統合していく構想を公言しており、同社の動きは業界全体の標準化にも大きな影響を与えている。さらにFranklin Templeton、WisdomTreeなど複数の大手資産運用会社も同様にRWAトークン関連ファンドを拡充し、機関投資家が24時間稼働するオンチェーン市場へアクセスできる環境が整備されてきた。

一方、中東・GCC(湾岸協力理事会)諸国の政府系ファンドの動きも注目に値する。UAEやサウジアラビアでは、インフラやエネルギー関連資産のトークン化が強く意識され、膨大な運用資金の一部がオンチェーン市場へ向かう可能性が指摘されている。越境投資を効率化し、投資対象を広げる手段としてRWAトークンを活用する動きが加速している。

日本とGCC諸国の間では、近年エネルギー・インフラ分野を中心に資本連携が強まりつつある。とりわけUAEやサウジアラビアの政府系ファンドは、日本の不動産や再生可能エネルギー事業への投資を拡大しており、両地域の資金循環はこれまで以上に緊密になりつつある。

こうした流れはデジタル資産領域にも波及する可能性を秘めており、今後RWAトークンやデジタル証券を活用した共同投資事例などがみられる可能性がある。越境投資のデジタル化が進めば、両地域の資本連動はさらに加速するかもしれない。

こうした世界的な潮流を踏まえると、RWAトークンは既存金融という枠を超え、機関投資家が日常的に利用する“あらたな金融インフラ”としてますます進化を遂げていくことだろう。

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