サマリ
1.教員不足と個別対応の限界を補う「感情に寄り添うAI」
教育現場では講師不足と、一人一人の生徒に向き合う時間の不足が深刻化している。ロジカ・エデュケーションは、生体反応(表情の変化、脈拍、集中度など)をカメラで解析し、学習中の理解度や感情状態を推定するAIを開発。生成AIと組み合わせることで、生徒の状態に応じて声かけやアドバイスを行い、教師の役割の一部を補完する仕組みを目指している。
2.探求学習・不登校・家庭学習まで広がる活用領域
探求学習の普及により、教師の役割は「教える」から「励まし、伴走する」方向へ変化している。この伴走役をAIが担うことで、教室内だけでなく、不登校の子どもの自宅学習や家庭内での学習管理・動機づけにも活用が期待される。AIが家庭教師や保護者の代替的な存在となり、学習継続を支える可能性が示された。
3.共感とリスクを前提にした人とAIの共存モデル
同社は、AIのハルシネーションや誤りを完全に排除するのではなく、「間違いを気づかせ合いながら成長する存在」として捉える姿勢を示す。一方で、プロンプトハックや有害情報への対策、AIリテラシー教育の重要性も強調。教育・福祉・運転支援などへの展開を見据えつつ、AIを人間の代替ではなく「共感的な補助者」として社会実装していく構想を描いている。
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未来からやってきた猫型ロボット・ドラえもん。勉強ができず、ジャイアンやスネ夫にいじめられてばかりののび太のリクエストにこたえ、便利な道具で助けてくれる存在だ。
一方、現代ではChatGPTが普及し、身近な相談相手として定着した。生成AIは頼れる人類の友達になりえるのだろうか。
今回は“現代版ドラえもん”ともいえる「人の感情に寄り添うAIアシスタント」の特許技術を持つ株式会社ロジカ・エデュケーションに、友達のように振る舞うAIについて話を聞いた。
取材に対応いただいたのは、取締役CTOで最高技術責任者の関さんと、取締役CMOの南さん。同社では「感情に寄り添うAI」を、教育現場で活用するプロジェクトを発表している。
「私たちは子供向けのプログラミング教室を運営するなかで、現場の先生から深刻な講師不足や『一人一人の子供と向き合う時間が足りない』という声を聞きました。
そのなかで、Webカメラさえあれば生体反応から学習中の理解度や集中度が判断できる技術があると耳にしまして。この感情解析と生成AIを融合させることで、AIに学習中の子供へ寄り添い、声をかけてもらうアイデアをひらめきました」
構想の背景について南さんはそう語った。カメラで顔の皮膚の一部を読み取り、色の変化や脈拍、輪郭の動きを抽出。そのデータから対象者の集中・没頭といった状態を推定するというシステムだ。
「突き詰めていくと子供たちが与えられた問題を難しく感じているのか、もうすでに問題を解いてリラックスしているのかまで判断できるようになります。必要に応じてアドバイスも行えます」
教育現場においては文科省がうたう“探求学習”の浸透が進む。
「生徒が自分で学びたい内容を決めて取り組む『探求学習』では、先生は子供を励ましたり、手がとまっている子がいれば集中するよう促したりする役割になっていきます。その役割を、AIが代替できるようになると予想されます」
さらにAI導入のメリットがもう1点あると関さんはいう。
「不登校の子供が増える近年、その多くの子供たちは自宅学習に取り組むことになります。親の代わりに学習を促したり、家庭教師の代わりに指導したりと、AIが家庭においてもやる気や学習管理の役割をはたすようになるでしょう」
実用化に向け、テストを繰り返しながらAIの精度をあげていく段階だ。
ロジカ・エデュケーションでは「感情に寄り添うAI」のライセンスを幅広い分野に提供し、その収益をもとに「世界の教育格差問題」などの課題解決に役立てる方針だ。具体的には発展途上国などに住む、経済的な理由から教育を十分に受けられない子供たちへの教育支援などにあてていく予定である。