サマリ
1. チリーズの強みは「流行を追わず、スポーツ×ブロックチェーンに集中し続けたこと」
チリーズは2018年の立ち上げ当初から、ファントークンを「トークン化された会員制プログラム」として位置づけ、スポーツIPに特化した戦略を一貫して貫いてきた。流行のユースケースに手を広げず、8年以上にわたりスポーツ領域に集中したことで、他社が模倣できないIPネットワークと長期的な信頼関係を築き、業界内で独自のポジションを確立している。
2. トークノミクス再設計と米・日・ブラジルへの重点投資が成長戦略の中核
現在チリーズは、米国への再参入、日本およびブラジル市場への本格展開と並行して、ファントークンのトークノミクス再設計に注力している。ステーキングによる自然な報酬設計に加え、将来的にはチームの勝敗に応じて供給量が変動する仕組みを導入し、ファントークンを「感情が反映される資産」へと進化させる構想を描いている。これは、ファンエンゲージメントと資産性を融合させるあらたな試みである。
3. 日本市場では規制準拠を最優先し、国内スポーツIPのトークン化と海外展開を視野に
日本ではSBIデジタルアセットホールディングスとの合弁を軸に、ホワイトリスト化や正規取引所での展開など、規制に完全準拠した形での市場参入を進めている。まずは海外の有名クラブを通じて理解を深め、その後Jリーグ、NPB、Bリーグといった国内スポーツIPのトークン化に本格的に取り組む方針だ。将来的には、日本のスポーツIPをグローバル市場へ発信し、「ファンダムと所有の融合」という長期ビジョンの実現を目指している。
━━チリーズでは「Socios.com」を通じて著名サッカークラブのファントークンなど70種類以上を展開しています。こうしたファントークンを通じた戦略や、プロジェクトの現在の状況をお聞かせください。
マックス・ラビノヴィッチ(以下、ラビノヴィッチ):ファントークンに関する私たちの戦略の中核は、基本的にプロジェクトを立ち上げた2018年から変わっていません。
当時、私たちは「トークン化された会員制プログラム」というアイデアを持っていました。これはブロックチェーン業界の時間軸でみても、かなり早い段階での発想だったと思います。
私たちは、サッカーや総合格闘技といったスポーツに加え、eスポーツなどのIP(知的財産)を会員制ユーティリティとしてトークン化する最初の企業でした。これはファンやトレーダーがトークンを購入することで、投票権などの特典を得られる仕組みです。
最初は、チェックインやクイズ、イベント参加など、いわゆる「トークンゲート型のエンゲージメント」に注力していました。サービスの利用度に応じてポイントが貯まり、チケットやグッズ、選手との交流イベントと交換できる仕組みです。コロナ禍では、Zoomを使った選手とのミート&グリートなど、デジタル体験も多く提供しました。
現在も「トークンを保有することでチームに認識される」という根本価値は変わっていませんが、その価値提供の方法は大きく進化しています。
たとえば、現在はトークンをステーキングするだけで報酬ポイントが得られる仕組みに注力しています。
これはユーザー行動として非常に自然なものだと考えているからです。将来的には、チームの勝敗に応じてトークン供給量が変動するなど、トークノミクスをさらに進化させる予定です。
例として、勝てば供給をバーンし、負ければミントする、といった仕組みですね。これにより、ファントークンは「プログラム的に感情が反映される資産」になります。
━━チリーズの強みと競合他社との差別化のポイントは何でしょうか?
ラビノヴィッチ:非常に非技術的なこたえになりますが、私たちの強みは“流行を追わない” ことです。
さまざまな暗号資産プロジェクトの間では多くのトレンドを追いかけ、多くの業界やユースケースをカバーしようとする傾向がみられます。
しかし、私たちはスポーツとブロックチェーンの融合で世界一を目指す選択をしました。自分たちの行動と理念に確信を持ち、そして「スポーツ×ブロックチェーン」というニッチな分野に集中することが成功への近道であると理解していたのです。
8年以上にわたり、この1点に集中してきた結果、他社が簡単には真似できないスポーツIP とのネットワークと信頼を築くことができました。
暗号資産業界では、スポーツチームやブランドなどとの連携により評判を損なう事例も多いですが、私たちは「消えない」「契約を破らない」「長期で価値を提供する」存在として信頼されています。それこそが、他社との最大の差別化につながっている要因です。