サマリ

【業規制等】「暗号資産制度に関するワーキング・グループ」報告の概要

──金商法の枠組みは、リスクの高い金融商品を管理するための制度ですが、これをイノベーションの促進を阻害しない範囲で適用されるように整備するにはどのようなことが大切だと思われますか?
斎藤 創(以下、斎藤):暗号資産は、もともと一般的な金融商品と比べてリスクが高いという見方が強くありました。ただ、株式のように配当があるわけでもないため、当初は金融商品取引法の対象には含まれていませんでした。
もともと、暗号資産は「決済手段」として使われることを想定し、資金決済法の枠組みで規制されてきました。しかし、実際の利用実態をみると、必ずしも決済用途が中心というわけではなく、長期保有や投資的な目的で使われるケースが増えてきています。
さらに、価格上昇に伴って市場規模や取引量が拡大し、社会的な影響も無視できない水準になってきました。こうした背景を踏まえて、金商法の枠組みに移行するという流れが生まれたのだと思います。
もっとも、規制が余りに強すぎることによって、マーケットを壊したり、イノベーションを阻害してしまっては本末転倒です。
法改正で最も重要なのは、投資者保護とイノベーションのバランスをどう取るかという点です。その点については、金融庁も十分に意識しながら制度設計を進めていると理解しています。
──法改正に具体的な動きがあった背景には、どのようなきっかけがあったのでしょうか?
斎藤:暗号資産を巡る法改正は、これまでも段階的に行われてきました。
最初の大きな節目は2017年です。2014年のMt.Gox事件を経て2017年に暗号資産に関する最初の法整備が行われました。その後、2018年のコインチェック事件を受けて、2020年には非常に大きな制度改正がありました。
それ以降も、暗号資産仲介業に関する議論や、ステーブルコインに関する法整備などが進められており、制度改正自体は継続的に行われてきました。
今回の法改正の背景として大きいのは、海外の暗号資産ETFの登場などによって市場規模がさらに拡大してきたことです。
加えて、国内では業界側から政府・与党に対して、税制改正やレバレッジ規制の見直しといった要望が長年出されてきました。そうした要望を実現するためには、資金決済法の枠組みのままでは限界があり、金商法へ移行した方が整理しやすいのではないか、という議論が政府・与党側から出てきた、という側面もあります。