サマリ
1. 日本のIEOは「安全で到達力がある」のに、件数が増えない構造問題を抱える
IEOはCEX(中央集権型取引所)が仲介するため、ICOより詐欺リスクが低く、IDOよりも一般層に届きやすい資金調達手段である。一方で日本では6年間で約10件と伸び悩み、IPO(年100件規模)と比べても「少なすぎる」状況が続いている。
2. 事業者側の壁は「審査の不透明さ・長期化」と「税務・資金使途の硬直性」
当事者の証言では、CEXが審査と伴走支援を分離できておらず、審査基準もオープンでないため道筋が見えず、審査が長期化しやすい。さらにIEO資金が売上計上される税務処理や高い手数料により、調達しても手元に残る資金が大きく目減りし、ホワイトペーパーで定めた使途以外に使えない点も、事業の俊敏性を損なう要因となっている(“二重課税に近い”との指摘もある)。
3. 制度側は「詐欺抑止」を成果としつつ、流動性・導線不足が定着の阻害要因と認める
制度設計側は、資金持ち逃げ型の詐欺を規制で防げるようになった点を成果と評価する一方、日本ではマーケットメーカー導入による初期流動性形成が難しく、情報開示も重いなど副作用も大きいとする。加えて、IEOを実施できる取引所が限られること、準備の導線が整っていないこと、実務経験者が不足していることが重なり、「やりたくても着手しづらい」状況が件数停滞につながっている。
IEOのチェックポイント
- トークンを上場/販売する取引所の「信頼性」「ユーザー数」「審査の透明性」
- プロジェクトの「実現可能性」「ロードマップの明確さ」「トークンのユースケース」
- トークンの「売買のしやすさ(流動性)」「上場後の価格変動リスク」
- 規制環境:あなたの居住国/地域での法的扱い、税制・法整備の動き
日本国内でもIEO(Initial Exchange Offering)の実例が増えてきた。IEOとは、新規プロジェクトを開始したい企業が新規トークンを発行し、それを暗号資産取引所経由で販売して資金調達を行う手法だ。新規公開株式(IPO)は、すでに制度が確立されているがゆえ、審査が厳しくすばやい資金調達には向かない。その弱点を補うべく、暗号資産を証券と見なして資金調達にあてようという考え方だ。
2021年7月、CoinCheckで初めてIEOが実施されて以降、あたらしい資金調達の手段としてWeb3.0領域の話題を追っている人々の間では注目されていた。ところが、話題の割に、プロジェクト数の伸びが遅いとは思わないだろうか?
IEOはIPOと比較して、資金調達がすばやく行えることがメリットだという。それならば、6年間で約10件という日本のIEO件数はあまりにも少なすぎる。JPXが公開しているIPO件数は年間約100件近くあることを考えると10分の1だ。
ここには何か、日本ならではの問題が隠れているのではないだろうか。しかし、実際にどのような問題が裏で起こっていたのかは、なかなか表に出てこず、真実は闇のなかである。