サマリ
1. 少子化・地域格差を背景に、メタバースで「地方から世界へ」つながる英語教育を実装
人口減少が進む中泊町では、子どもたちにグローバルな視野と実践的な英語力を身につけさせるため、メタバースを活用した「グローバル科」を導入。小3〜中3を対象に、外国人講師との英会話やバーチャル国際交流を通じて、地方にいながら異文化体験と実践的な英語学習を可能にしている。
2. メタバースならではの没入感と運営効率が、学習意欲と授業品質を向上
Zoom型のオンライン授業と異なり、メタバースは接続設定が簡単で、アバターによる自由な移動や柔軟なグループ分けが可能。ゲーム感覚で参加できる点が生徒のモチベーションを高め、教員側も生徒の動きを把握しやすい環境を実現している。一方、通信環境の不安定さは今後の課題として浮上している。
3. 不登校対策・通学負担軽減・将来の留学へと広がる教育イノベーション構想
本プロジェクトは不登校児童の学習機会確保や、悪天候時の在宅受講などへの応用も視野に入れる。さらに、フィリピンの大学・教育機関と連携し、将来的には現地留学も含めた国際教育へ発展させる構想だ。メタバースを起点に、都市部と遜色ない教育環境を地方から実現するモデルケースとなりつつある。
──まずは本プロジェクトにおいて、メタバース導入に至った背景を教えてください。
三上朝広(以下、三上):中泊町の総人口は、現在9,112人(令和7年12月末現在)で、2050年頃には今の半分以下になると予想されています。日本が世界から注目されている今、1人でも多くの子供に、世界に羽ばたけるグローバルな力を身に付ける環境を整えたいと考えました。
メタバースを活用した授業については、町内すべての小学校3年生から中学校3年生までを対象に週に1回程度「グローバル科」の授業を行います。フィリピン人講師によるオンラインの英会話レッスンや、フィリピンの街をバーチャルで散策する「オンライン国際交流ライブスタディツアー」も実施しています。
フィリピンの市場やコンビニ、スーパーなどを訪問し、現地の人に英語で質問するといった体験内容です。フィリピンのスーパーで販売されている赤紫色に着色された殻の卵など、日本では体験できない異文化に触れられると児童生徒からも好評です。
──オンラインレッスンといえば、Zoomなどのオンラインツールが一般的に活用されていますが、メタバースを導入された理由は何ですか?
三上:メタバースはZoomなどの一般的なオンラインツールと異なり、個別の接続設定が不要で、全員が仮想空間内を自由に移動できる点に注目しました。
この仕組みにより、アバター操作で効率的なグループわけや授業進行が可能となり、生徒の動きをリアルタイムで把握して適切に監督できます。また、生徒たちがゲーム感覚でメタバース空間に入れる点も、授業への意欲を高めるということで決め手となりました。
国際交流授業を通じて、中学卒業までにネイティブスピーカーと話せる会話力や、英語で発表する力を身に付けることを目指す。