ステーブルコインと日本版株式トークンの未来──Progmat 齊藤達哉インタビュー

2026/03/30 19:51
Iolite 編集部
文:Shogo Kurobe
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ステーブルコインと日本版株式トークンの未来──Progmat 齊藤達哉インタビュー

ステーブルコインに対する関心度の高まりで感じた「悲喜こもごも」

サマリ

1.ステーブルコインは「金融との融合」が進む一方、Web3.0らしさは後退

金融機関の本格参入により、ステーブルコインやブロックチェーンは資本市場の中核へと拡大している。一方で、従来のWeb3.0的な独立性やスピード感は弱まり、既存金融に取り込まれつつある側面も浮き彫りとなっている。

2.ビジネスのカギは“ユースケース創出”とホワイトスペースの開拓

暗号資産取引領域はすでに飽和し、エンタープライズ領域やその中間領域があらたな成長余地となっている。ステーブルコインは「滞留するユースケース」を生まなければ収益化が難しく、実用シーンの設計が最大の課題となっている。

3.トークン化株式や金利付きトークンが次の進化軸に

日本版トークン化株式により少額・24時間取引や権利付与が可能となり、投資の民主化と企業のファン株主形成を促進している。さらに、金利と決済機能を兼ね備えたトークン(例:JGBトークン)が次世代の主流になる可能性が示されている。


──2025年は世界的にステーブルコインへの注目度が高まった年でした。2026年の国内外のステーブルコインを取り巻く展望についてどのように考えていますか?

齊藤達哉(以下、齊藤):昨年のステーブルコインを一言であらわすと「悲喜こもごも」だったのかなと感じています。

ステーブルコインに限らずですが、日米とも証券分野を筆頭として伝統的な大手金融機関がこの領域に本格参入し始めました。

これまで、ブロックチェーンの活用領域としては不動産などオルタナティブ資産が中心でした。しかし、昨年頃から株式や投資信託といった資本市場の中心領域にブロックチェーンがインフラとして入り始めたことは、非常に喜ばしいことだと考えています。

ステーブルコインに関しても、決済領域でメガバンクによる発行の報道がありましたし、世界に目を向けても金融機関による動向が活発になりつつあります。もともとブロックチェーンや暗号資産は伝統的金融へのアンチテーゼとして始まった面がありますが、現在は金融機関と融合しつつある段階です。特に既存金融とブロックチェーンが一体となって動き出したこの状況は、まさに「悲喜」の「喜」であるといえます。

──では、「悲」の方はなんでしょうか?

齊藤:「こういう状況になるだろう」と考えてProgmatを立ち上げた立場としては複雑なのですが、ブロックチェーンが既存金融に対する「アンチテーゼ」として独立する世界もみてみたいという想いもあります。

大前提として、私自身はブロックチェーンを良くも悪くも台帳技術の1つであると認識していて、真価を発揮するのは金融領域であるとの仮説を持っています。一方で、Web3.0の概念はアプリケーションやあらたなインターネットの在り方を示すもので、ブロックチェーンという台帳技術に彩りを与えているとも捉えられます。これはこれで、夢があっていいと思うんです。

また、伝統的な金融の世界だとどうしても派手なことはしにくくなると同時に、スピード感が出にくいですが、Web3.0であれば比較的自由度が高くスピーディーに進められる利点もあるでしょう。

金融機関の参入をむしろ喜んで受け入れている状況をみるに、この綱引きは答え合わせが完了してしまったかなと感じています。さまざまな出来事を経てWeb3.0という概念がトーンダウンしたと同時に、ステーブルコインや暗号資産が既存金融に取り込まれつつある。見方を変えた時の「取り込まれつつある」という部分が、まさに「悲」にあたると考えています。

Tatsuya Saito photo1

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