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ブロックチェーン&ゲーム業界トピックス 2023.7

2023/05/29Iolite 編集部
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ブロックチェーン&ゲーム業界トピックス 2023.7

「Googleの挫折と任天堂の躍進」 ゲーム業界の最新トピックをチェック

 Googleは、2023年1月にゲームのストリーミングサービス「Stadia」を終了すると発表した。2019年のリリース以降、全世界で順次展開されていったものの、ついに日本には上陸することなく、幕を閉じることになった。

そもそもStadiaとは、Googleが提供するクラウドゲームサービスである。

ゲームをオンライン上で配信・描画してプレイするため、専用ハードウェアの購入やソフトのダウンロードをする必要がなく、スマートフォンやタブレット、PCから簡単にアクセスしてゲームをプレイできるという画期的なコンセプトのサービスだ。

ただし、このようなクラウドサービスはStadia以外にも複数誕生しているが、現時点では広く普及するに至っていない。では、なぜStadiaは失敗したのだろうか。まずあげられるのは、クラウドゲームは高速で安定したインターネット環境を必要とするが、それが普及している地域は限られているという問題である。

特に日本では、光回線や5Gなどの高速通信がまだ広く普及しておらず、Stadiaのサービス提供には適さなかったという面がある。また、Stadiaは月額課金制のサービスとなっていたが、その料金に見合うだけの魅力的なゲームラインナップが用意されていなかったことも失敗の要因だろう。

結局、プレイヤーが求めているものは「面白いゲーム」であり、「革新的なコンセプト」ではないからだ。Stadiaは自社でゲーム開発を行うことも発表していたが、その開発チームも解散することになった。 とはいえ、Stadiaには従来のゲームハード・ソフトにはない特筆すべき機能もあった点には触れておきたい。

たとえばStadia上のストリーミングはYouTubeの動画と同じように視聴できるほか、YouTubeの動画から直接ゲームに参加することもできた。

また、YouTubeのライブ配信者と視聴者が一緒にゲームをプレイできる機能もあった。さまざまな動画サイトにおいてゲーム実況というジャンルが人気を博しているなかで、配信者と視聴者にあらたな体験を提示できる可能性があったのだ。

しかし、残念ながらこれらの機能は実際にはあまり活用されなかった。そうなってしまったのも、やはり魅力的なソフトを提供できなかったことが最大の要因だろう。 ユーザーは技術やコンセプトに惹かれるの ではなく、魅力的な体験についてくるものである。

Stadiaはユーザーが真に求めるものを提供できなかったのが、失敗の要因となってしまった。

ブロックチェーンゲームの「平均寿命」はなぜ短い?

2021年後半から「あらたなゲーム」として期待を集めているブロックチェーンゲーム(BCG)だが、2023年時点では既存のゲームファンを含めたマスに届いたといえる作品は生まれていない。そんなBCGは一般的なゲームと比べて非常に短命であるともいわれている。

BCGの比較対象となるのは売り切り型ではなく運営型のゲームなので、PCのオンラインゲームやスマホゲームと比較してみよう。両者の平均寿命について明確なデータは存在しないものの、終了タイトルの運営期間などから算出すると、おおよそ2~3年ほどといわれている。

そのなかでほんの一部のタイトルだけが5年、10年とサービスを継続しているのだ。一方、BCGについては数ヵ月でサービスを終了するケースも珍しくない。特に2022年は、「BCGブーム」に乗るために非常に低クオリティな作品が数多くリリースされ、短期間でサービスを終了するケースが相次いだ。

その理由の1つは、BCGの収益構造が要因かもしれない。BCGはリリース前後にトークンやNFTを販売して収益を獲得するが、リリース以降は主にユーザー同士の取引から発生する手数料を収益源としていることが多い。

しかし、 ユーザー同士の取引を活性化させるためには新規ユーザーを大量に獲得し続けた上に、NFTやトークンの価値を向上させ続けるような施策が求められる。このような運営事業は、初期販売よりもはるかに労力がかかるが、収益性としては(取引額の数%程度でしかないため)高いとはいえない。

つまり運営者がゲームを長期的に運営するメリットが乏しい収益構造になっているのだ。 もちろんBCGブームに乗っかっただけの粗悪な作品が人気を獲得できずすぐにサービスを終了しているという面もあるが、収益構造の問題を打破しない限り、「BCGは短命」という図式を覆すことは難しいだろう。

2023年に入り任天堂株が急上昇
躍進を支えるのは話題作の続編と映画

▶︎『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、マリオとルイージが魔法に満ちた新世界で世界の危機に立ち向かう物語になっている。

2023年4月に入り、任天堂の株価が上昇している。その理由となっているのは、ゲームソフト 『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』 への期待感と、映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』の大ヒットである。

『ゼルダの伝説 ティアーズオブザキングダム』 は2017年に発売され世界で約3,000万本以上を売り上げた『ゼルダの伝説 ブレスオブザワイ ルド』の続編。2023年5月12日に発売予定で、事前評価も高く、前作に劣らぬ売り上げが期待されている。

一方、世界的にヒットしている映画『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』は、任天堂のゲーム『スーパーマリオ』シリーズを原作として、任天堂とユニバーサル・ピクチャーズが共同出資して制作。任天堂の代表的なキャラクターであるマリオやルイージらが冒険を繰り広げるアニメーション作品となっている。

本作は2023年4月に全世界で公開されるとたちまち大人気となり、日本では5月1日までの興行収入が20億 円を超えた。さらに全世界での興行収入は10億ドルを突破しており、ゲーム原作の映画としては歴代最高額の興行収入を記録している。

任天堂は2016年に映画事業への参入を表明し、2022年に100%子会社の「ニンテンドーピクチャーズ」を設立。そして本作で世界的ヒットを収めることになった。ゲーム企業の映画といえば過去に『ファイナルファンタジー』の失敗があったことが思い起こされるが、任天堂は大成功を収めたといえそうだ。

これらの影響を受けて任天堂の株価も上昇しており、2023年3月には約5,000円だった株価は、5月には6,000円台を突破。過去数年間の株価推移を見ると、2019年から2020年にかけて7,000円台を記録後、数年間は下落傾向にあったものの、再び上昇傾向に転じている。

AIをゲームエンジンとした
ブロックチェーンゲーム『Prompt Monsters』

▶︎『Prompt Monster』では、キーワードに従って自動的にモンスターが生成される。

昨今話題になっているAI技術を取り込んだBCG『Prompt Monsters』が5月1日にリリー スされた。開発は国内企業の株式会社XYLO COPAで、プラットフォームは国産BCG特化型チェーン「Oasys」のMCH Verseである。

本作の特徴は、プロンプト(AIサービスに指示をだすための命令文)を打ち込むとAIが自動でモンスターを生成するという仕組みである。たとえば「竜/炎/鋼鉄」などのキーワードを入力すると、これらのワードをもとにしたモンスターが自動で生成され、生成したモンスターを使って対戦が可能になっている。

かつて流行した 『モンスターファーム(音楽CDからモンスターを生成)』や『バーコードバトラー(商品バーコードからモンスターを生成)』といったゲームのAI版ともいえる内容になっている。

対戦はテキス ト上で自動的に行われるためやや味気ない印象があるが、モンスター生成の自由度が非常に高く、オリジナリティがあるゲームとなっている。なお、プロンプトの入力とモンスター作成は無料で、そのモンスターをNFT化することも可能(NFT化は50MCHC=500円程度)。

今後は 生成されたモンスターの画像をAIによって自動生成する機能や、モンスターの融合・育成などの機能追加も予定されており、あらたな技術を使ったゲームとして話題になりそうだ。

メタバースの活用を模索するK-POP業界

K-POP業界ではメタバースの活用が積極的に行われている。

日本でも人気が高い7人組のアイドルグループ「BTS」は、2022年8月にメタバースサービス『Decentraland』で、Music Video Watch Partyを開催。他にも4人組の女性アイドルグループ「BLACKPINK」が人気スマホゲーム 『PUBG MOBILE』でバーチャル・コンサートを開催するなど、多くのアーティストがバーチャル上でのパフォーマンスを繰り広げている。

また、2020年に誕生した「aespa」というグループは「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」という世界観を持っており、メタバース上でメンバー4人がそれぞれアバターとしての活動も展開している。

K-POP業界によって、メタバースの活用例として「アー ティストによるライブ開催」が広まる未来もそう遠くないのかもしれない。


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