現在、デジタル金融分野の最前線を走るCAICA DIGITALによるWeb3.0領域での動きがこれまで以上に活発化している。傘下であるカイカフィナンシャルホールディングスでは昨年11月にブロックチェーンゲーム専門NFTマーケットプレイス「Zaif INO」のサービス提供を開始。
Zaif INOは一次販売に特化したマーケットプレイスで、プロジェクトに対し独自の審査基準を設けることでクオリティの高いNFTをユーザーへ届ける。また、暗号資産取引所Zaifを運営する傘下のカイカエクスチェンジにおいても、昨年末頃より国内Web3.0企業との提携事例が数多く見受けられる。
Zaifといえば、カイカコイン(CICC)を始めとした国内では比較的珍しい銘柄を取引できる暗号資産取引所として有名だ。カイカエクスチェンジは2016年に開設され、国内では歴史の長い暗号資産取引所として、今もなお多くのユーザーに利用されている。
昨年10月にCAICA DIGITALがグループの総力をあげてWeb3.0事業に参入すると宣言した背景には、大きなムーブメントとなり得るGameFiの存在がある。2022年に世界を席巻した「STEPN」が大きな注目を浴びたことは、まだ記憶にあたらしいだろう。
日本には世界中で愛される数多くのIPが存在する。そして、日本発のゲームも高い人気を誇る。こうした独自の強みに加え、現在世界的に強化される傾向が顕著な規制動向が追い風となり、日本はWeb3.0をリードする可能性を秘めた国として、市場からの注目度も高まっている状況だ。
Web3.0を推し進める上で、暗号資産の存在は切っても切り離せない。そこで今回、CAICA DIGITALにおける重要事業の1つであるZaifにおいて、キーマンとして活躍する池田英樹氏に話をうかがった。
池田氏は日本の金融業界におけるリー ディングカンパニーにおいて数多くのプロ ジェクトに携わってきた実績を持つ。ブロックチェーン事業や暗号資産取引所におけるシステム担当取締役としても活躍してきた池田氏は、Zaifの展望、そして日本のWeb3.0をどのようにみているのだろうか。
日本のコンテンツIPは世界的に人気。
東アジアを中心としたサービス展開で収益化することが
暗号資産業界の発展につながる。
——業界の中心で活躍されている池田さんは、2023年の暗号資産及びWeb3.0領域の現状をどのようにみており、今後どのような動きになっていくと考えていますか?
池田英樹(以下、池田):政府や金融機関は規制強化を進める一方で、暗号資産コミュニティは分散化や自由を守る動きが強まると思っています。暗号資産市場はまだ小さく、機関投資家や大企業の参入は、あらたなサービスや価格、流動性に大きな影響を与えます。
メタバースやWeb3.0は、NFTが重要な役割を果たし、ゲーム、コンテンツの活性化により、暗号資産市場やトークンの利用者、開発者に好影響を与えます。
ユーザーがデータやコンテンツの所有権・価値を持つことができ、ソーシャルメディアやゲーム、ファッションなど、さまざまな分野でWeb3.0プラットフォームが展開されると思います。
総じて、暗号資産市場やWeb3.0領域は、今後も急速に発展し、あらたなビジネスモデルやサービスが登場することが予想されます。しかし、その一方で技術的な課題や法的な問題なども依然として存在するため、業界全体で取り組むことが必要だと思います。
——決済領域やブロックチェーンゲーム領域等、さまざまな提携先があるなかで、カイカエクスチェンジとしてはどのような目的から提携を進めるのか。また、こうした提携を通じて特に注力していきたいと考えているサービスや取り組みがあればお聞かせください。
池田:取引所のあらたな可能性を検討すべく、さまざまな提携、プロジェクトを検討しています。そのなかには、Web3.0決済サービスがあります。暗号資産は決済手段としても使えますが、まだまだ利用できる店舗やサービスは限られています。
送金時間や手数料、少額決済といった技術課題を解決し、迅速かつ安全に決済できるサービス開発を目指しています。また、注力していくこととしてはOasysとの取り組みがあります。
これは、Zaifでも取り扱われている暗号資産・CICCにOasysのレイヤー2チェーンを導入することで、 CICCのあらたな流動性やブロックチェーンゲームの参入障壁を下げていくプロジェ クトにつながります。
——日本がWeb3.0領域で世界をリードす る上で必要なこと、また池田さんだからこそ業界の発展に寄与できると考えるポイントをお聞かせください。
池田:日本は高い技術力や強い産業基盤、安定的な法制度、そして優れた教育システムなどによって、Web3.0領域で世界をリードするチャンスが十分にあると思います。 今後、高度な技術の研究開発や人材の育成に力を入れ、先進的な技術を生み出す必要があります。
それに加え、さまざまな分野の産業界と連携すること、さらに、グ ローバルな市場であるWeb3.0領域においては、国際的な交流も必要です。日本が世界との差別化をする上で重要なのが、コンテンツIP型のWeb3.0を構築することです。
日本のコンテンツIPは発想力と独自性で世界的な人気を得ています。Web3.0と日本のコンテンツIPを推進し、AR、NFT、フィジカルサービス(NFTTAG)、チケット販売等、東アジアを中心にさまざまなサービスを展開し、収益化することが暗号資産業界の発展につながると考えています。
Profile
◉池田 英樹
日本の金融業界におけるリーディングカンパ ニーでプロジェクトマネジメントに従事し、数多くのプロジェクトを成功に導いてきた。ブロックチェーンビジネスの分野でもテクノロジー戦略やアーキテクチャに関する幅広い知見を有しており、近年はブロックチェーンや暗号資産取引所に係る様々な事業法人のCTO就任など活躍の場を広げている。
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