決済から変わる金融の形 決済の「未踏領域」を拓くネットスターズの挑戦 李 剛インタビュー

2026/05/29 10:12 (2026/05/29 14:40 更新)
Iolite 編集部
文:Noriaki Yagi
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決済から変わる金融の形 決済の「未踏領域」を拓くネットスターズの挑戦 李 剛インタビュー

誰もが使える日常のインフラへの架け橋として発表した「StarPay-X」

サマリ

1.「StarPay-X」構想とWeb3.0融合

ネットスターズはWeb2.0とWeb3.0を繋ぐ新構想「StarPay-X」を発表。羽田空港でのUSDC決済実証実験を成功させ、特定の銘柄に縛られないマルチチェーン対応の中立的なゲートウェイとして、先端技術の日常インフラ化を目指す。

2.実店舗普及の課題と「技術の不可視化」

ステーブルコイン決済の普及には、ユーザーの操作性と加盟店の既存オペレーション維持の両立が不可欠。同社は、外貨建てでも円建てで確実に精算できる仕組みをトータル設計し、店舗側が複雑さを意識しない「技術の不可視化」を実現する。

3.決済から金融への進化と経済的メリット

ブロックチェーンにより手数料軽減や即時精算(T+0)が可能となり、加盟店に高い実利をもたらす。さらに、プールされた資金とDeFi(分散型金融)を組み合わせ、「0.x%」の決済から「数%」の金融ビジネスへの進化をグローバルへ。


──これまで加盟店と多様な決済ブランドをつなぐゲートウェイ「StarPay」を提供し成長してきたなかで、今回Web2.0とWeb3.0をつなぐ「StarPay-X」という構想を4月に発表されました。改めてこの構想に至った背景を教えてください。

李剛(以下、李):当社はこれまで、StarPayを通じて国内外の多様な決済手段を加盟店に一括導入してきました。そのなかで、決済の世界は単なる「支払い手段の多様化」から、お金・データ・顧客接点が一体化するインフラへと進化していることを強く感じています。

StarPay image
StarPayは各種キャッシュレス決済を一括で申込契約をすることができ、利用目的やオペレーションに応じて、アプリや専用端末などを選べる。

特に近年、ステーブルコインやブロックチェーン技術が実用化フェーズに入ったことで、Web3.0の価値を実体経済であるWeb2.0の経済圏でどう活用するかが、次の大きなテーマになりつつあります。Web3.0とWeb2.0の世界にはいまだ相当な距離感があるのは事実ですが、それをどう融合させるかが非常に大事なテーマです。

「StarPay-X」の「X」は、未知なる領域への挑戦を象徴する科学・工学分野の慣習になぞらえたものです。そこには、決済の未踏領域を切り拓き、未来を創造するという強い意志を込めています。

私たちが培ってきたネットワークや精算、運用管理のノウハウをWeb3.0と融合させ、技術の可能性を「誰もが使える日常のインフラ」へと変えていく。加盟店様にとっては、いつものStarPayの延長線上であたらしい価値を享受できるような「技術の不可視化」を実現する。その架け橋となるべく、今回StarPay-Xを発表しました。

──羽田空港第3ターミナルでUSDCを用いた店舗決済実証を行ったとのことですが、実際に検証してみえてきた利用者側・加盟店側それぞれの課題は何でしたか?

李:今回の実証実験を通じて、ステーブルコイン決済には大きな可能性がある一方、実店舗への普及には解決すべき課題が明確に存在することが再確認できました。

まず利用者側の課題は、ウォレットの操作性です。暗号資産に慣れたクリプトネイティブな方には自然な体験でも、一般の消費者にとっては、アプリの準備や残高確認、ネットワークの選択といったステップに高い心理的ハードルがあります。

日常の決済手段として浸透させるには、既存サービスのようにQRコードを出すだけで完結する、徹底的に直感的でわかりやすいUI/UXが不可欠です。

一方で、私たちがサービスを提供する現在約70万アカウントの加盟店側の視点では、決済オペレーション、会計処理、精算管理の簡便さがすべてです。現場の店舗スタッフに特別な知識や教育を強いることは現実的ではありません。既存のオペレーションと変わらない形で受け付けられ、かつ売上を円建てで確実に管理・精算できる仕組みが求められます。

つまり、「技術的に決済ができること」と「実際の店舗運営に組み込めること」は、まったく別の課題なのです。私はエンジニア出身として技術の力を信じていますが、この“ラストワンマイル”の実装力こそが、ステーブルコイン決済普及の真のカギになると考えています。羽田空港の実証では、店舗側の負担なくUSDC決済を導入できたことが、1つの成果だと考えています。

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