パブリックレイヤー2・Optimismが日本市場に本格参入 日本担当が語る今後の戦略とユースケースとは?

2026/07/30 10:00PR
Iolite 編集部
文:Shogo Kurobe
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パブリックレイヤー2・Optimismが日本市場に本格参入 日本担当が語る今後の戦略とユースケースとは?

Optimismが日本展開を強化する理由

本記事のキーポイント

1.金融のオンチェーン化
制度整備が進む日本で、金融資産や決済をブロックチェーン上で扱うオンチェーン化が実装段階に入った。これを受け、パブリックレイヤー2のOptimismが体制を強化。既にSoneiumやジパングコイン等で導入が進んでいる。

2.高い柔軟性とOP Stack
最大の強みは、既存チェーン利用と開発基盤OP Stackによる独自チェーン構築を柔軟に選べる点だ。EVM互換性やイーサリアム接続性を保持し、企業の管理性と拡張性を両立する金融インフラ構築を伴走支援する。

3.課題解決型の実装支援
欧米に比べ検証段階が多い日本に対し、技術導入自体ではなく解決すべき課題の明確化を重視する。構想初期から規制対応や運用設計まで一体で落とし込み、企業とともに本番稼働するユースケースの国内拡大を目指す。


デジタル資産を巡る制度整備が進み、金融の「オンチェーン化」が実装フェーズへ移行する日本市場。パブリックレイヤー2として注目を集める「Optimism」の日本代表・岩瀬純太郎氏に、今後の国内戦略とネットワークの強みを聞いた。

Juntaro Iwase1

──岩瀬さんが日本の窓口を担う形で、Optimismは日本展開を強化していくとうかがいました。なぜこのタイミングでの日本展開に舵を切ったのでしょうか?

岩瀬純太郎(以下、岩瀬):まず、各国でデジタル資産を巡る制度整備が進み、金融のオンチェーン化が構想から実装のテーマへ移りつつあることが背景にあります。国・地域によって進捗は異なりますが、日本でもステーブルコインに関する制度整備や、暗号資産を巡る金商法上の議論が進み、金融庁、金融機関、事業会社の間で具体的な検討が活発になっています。

相談内容も、PoCや情報収集から、実際にカストディやウォレットをどう組み込むか、どのビジネスモデルを選び、それをどのブロックチェーンで支えるかという本番実装の論点へ移っています。ユースケースによって最適な構成は異なります。金融機関の既存ワークフローとの親和性を重視してプライベートチェーンやコンソーシアムチェーンを選ぶケースもあれば、将来の資産流通やリテール展開を見据え、イーサリアムの流動性や開発者エコシステムへ接続できるEVM(イーサリアム仮想マシン)戦略を検討するケースもあります。こうした背景から、昨年末以降、私たちのグローバルチームも継続的に来日し、議論を重ねてきました。

実際、日本ではSony Block Solutions Labsの「Soneium」がOP Stackを採用し、三井物産デジタルコモディティーズの「ジパングコイン(ZPG)」がOP Mainnet上で展開されるなど、すでに本番環境での活用が始まっています。こうした取り組みを日本語で継続的に支援し、企業の要件をグローバルのプロダクト・技術チームにつなぐ窓口が必要になりました。そのため、日本市場での体制を強化し、私が担当することになりました。

──具体的にはどのような相談がありますか? 

岩瀬:ご相談は、ビジネスケースがまだ固まっていない段階から、実装直前の設計まで幅広いです。たとえば、既存のレイヤー2であるOP Mainnetを利用するのか、自社専用チェーンを構築するのか、何を基準にチェーンを比較すべきか。パーミッションレス環境を採用する場合には、プライバシー、KYC・AML、トランザクション監視、運用責任をどう設計するか、といった相談があります。

日本の事業者には、プライベートチェーンやコンソーシアムチェーンに関連したプロダクト構築経験を持つ方も多く、その管理性の価値をよく理解されています。一方で、将来的に外部の流動性、ウォレット、開発者、ほかのオンチェーン資産と接続していく場合、閉じた環境だけでは拡張性に限界があります。レイヤー2やOP Stackは、用途に応じた制御を設けながら、EVMエコシステムとの接続余地を残すための選択肢です。

オンチェーン金融の実装には、金融機関、事業会社、システムインテグレーター、カストディ事業者、ウォレット事業者など、多くの関係者がかかわります。技術、規制、ビジネスモデル、運用の議論を1つにつなぎ、関係者の共通理解を作りながら実装まで伴走することが、私の役割だと考えています。

日本市場に適したOptimismのユースケース

──岩瀬さんがOP Labsにジョインした理由と日本担当になった背景をうかがえますか? 

岩瀬:もともと私はFacebook(現Meta)などに在籍し、シンガポールで12年間働いた後、2026年4月に東京へ戻りました。2017年頃から暗号資産には触れていましたが、2021年頃、Web3.0に人材や資金が集まる動きをみて、その背景には単なる投機ではない構造的な変化があると感じました。モバイルやソーシャルが社会インフラへ変わっていく過程をみてきた経験から、オンチェーン化も金融とインターネットの次の転換点になるのではないかと考え、2022年に本格的にこの領域へ入りました。その後は、コンシューマー向けユースケースの開発やエコシステムのグロースに携わりました。

市場の中心が金融機関や事業会社へ移っていくなかで、私自身もWeb3.0のエコシステムで活動してきたこともあり、パーミッションレスなネットワークの未来を強く信じています。一方で、理念や技術だけでは社会実装が進まないという強い課題感も持っていました。

そうした時にOP Labsと話す機会がありました。オープンな技術思想を持ちながら、企業の要件や本番運用にも現実的に向き合っている。その思想と実装のバランス、具体的に本番環境で動いているユースケースの厚み、そしてチームの優秀さに惹かれ、参画を決めました。

現在、私は日本をメインとしつつ、東南アジアもカバーしています。各市場のニーズをグローバルチームへ橋渡しする役割として、企業の実装検討やパートナーシップに関する支援を担っています。

──日本市場において、Optimismはどのような需要があると考えていますか? また、日本市場に適したユースケースとして例をあげるなら、どのようなものがあるでしょうか? 

岩瀬:日本で本番稼働している代表例として、Sony Block Solutions Labsの「Soneium」と、三井物産デジタルコモディティーズの「ジパングコイン(ZPG)」があります。

SoneiumはOP Stackを採用したパブリックなレイヤー2で、エンターテインメントやクリエイター領域を含む幅広いユースケースの基盤として稼働しています。ZPGは、金などの実物資産に裏付けられたデジタル資産としてプライベートチェーン上で展開されてきましたが、パブリックチェーン展開の第1弾としてOP Mainnetを採用しました。これは、資産流通の観点から既存のレイヤー2を活用する好例だと考えています。

日本市場で特に可能性があるのは2つです。1つは、ステーブルコインやトークン化された預金・証券・コモディティなどを、パーミッションレスな環境で流通させること。もう1つは、パブリックチェーンの接続性を活かしながら、参加者、取引、プライバシーなどを企業の要件にあわせて制御できる専用環境を構築することです。プライベートかパブリックかという2択ではなく、どこを制御し、どこをオープンにするかという設計が重要になっています。

すでにOP Mainnet上では、BlackRockの「BUIDL」などのトークン化されたファンドが展開されており、適格投資家がKYCを経てアクセスする仕組みが稼働しています。パブリックチェーンの接続性と、規制に沿った参加者管理や資産設計は両立できる。この点は、日本の金融機関が今後の構成を考える上でも重要な参考になると考えています。

Juntaro Iwase2

Optimismの特徴とグローバルでの動き

──改めてOptimismの特徴やほかのネットワークと比べた際の強みを教えてください。

岩瀬:最大の強みは柔軟性です。既存のパブリックレイヤー2であるOP Mainnetを利用する方法と、オープンソースのOP Stackを用いて自社の用途に合わせたレイヤー2を構築する方法を、同じ技術基盤の上で選べます。

企業によって出発点は異なります。既存のパブリックネットワーク上でイーサリアムのエコシステムへ直接接続したいケースもあれば、プライバシー、コンプライアンス、運用面の要件にあわせ、より専用性の高い環境を設計したいケースもあります。

独自のレイヤー1を一から構築する場合と比べ、OP StackはEVM互換性、イーサリアムへの接続性、既存の開発者エコシステムを活用しやすい点が特徴です。また、すでに幅広いエコシステムで本番利用されているため、セキュリティ、アップグレード、ウォレットや周辺サービスとの連携、開発者にとっての使いやすさといった面でもメリットがあります。さらにOP Enterpriseを通じて、設計段階から本番稼働後の運用まで支援できることも、企業にとって重要な違いです。

──現在、Optimism全体ではどのような領域や取り組みに注力しているのでしょうか?

岩瀬:特に注力しているのは、金融機関、決済事業者、フィンテック、暗号資産交換業者など、プログラム可能な金融インフラの価値を活用できる領域です。グローバルでは、伝統金融やWeb3.0プレイヤーが、決済、取引、資産管理を24時間365日利用できる1つのデジタル体験として提供しようとする動きが進んでいます。いわゆるネオバンク型のサービスに近い動きです。

この流れのなかで、自社の顧客基盤とオンチェーンサービスをつなぐため、専用のレイヤー2を持つ企業も増えています。たとえば、韓国のUpbitが手がける「Giwa」や、欧州のBitpandaが展開する「Vision Chain」では、OP Stackの採用が発表されています。

主な狙いは2つあります。1つは、伝統金融の顧客や商品をオンチェーンへ接続する入口としてチェーンを活用すること。もう1つは、暗号資産交換業者が自社の顧客体験をパブリックチェーン領域まで拡張することです。グローバルでは後者の動きが先行していますが、日本ではまず、金融機関や大手企業が安全にパブリックチェーンへ接続するための基盤として需要があるとみています。

日本ではこれまで、プライベートチェーンやコンソーシアムチェーンが一定の市場適合性を示してきました。私たちはその先にあるパブリックチェーンとの接続、外部流動性、より広いエコシステムへの展開を支援したいと考えています。すでに国内金融機関とも議論を重ねています。一方で、多くの企業がまだビジネスケースの策定に苦慮しているのも事実です。同時に、将来的にはパーミッションドDeFiやAIエージェントなどのテーマも今後より活発化してくると思います。

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金融機関などと「何をオンチェーン化するのか」を具体化へ

──欧米と日本におけるオンチェーン化の壁や差について、岩瀬さん自身はどう感じていらっしゃいますか?

岩瀬:欧米と日本を単純に比較するより、まずプレイヤーごとに「オンチェーン化」の目的が異なると捉える必要があります。発行体であれば資産の流通範囲や流動性の拡大、銀行であれば決済効率や既存顧客との関係維持、インフラ事業者であればあらたな収益機会が目的になります。

欧米では、商品や顧客を先に定義し、そこから必要なインフラを逆算する案件が増えています。一方、日本では技術検証やPoCの蓄積が多く、次の段階として収益モデル、規制対応、運用責任までを一体で定義することが重要です。

重要なのは、特定のチェーンを使うこと自体を目的にしないことです。出発点は、「オンチェーン化によって何の課題を解決したいのか」です。たとえば、資産の流通を広げたいのか、24時間365日の決済を実現したいのか、顧客体験を改善したいのか、より広いエコシステムと接続したいのか。その目的が明確になれば、それにあわせて適切な技術スタックを設計できます。だからこそ、アーキテクチャが固まった後ではなく、構想の初期段階から、事業、規制、技術をつなぎ、本番稼働まで見据えた実装案に落とし込む支援をしたいと考えています。

──明確な答えがない問いですが、「オンチェーン化は一体誰のためのもの」だと思いますか?

岩瀬:難しい問いですが、私は、既存の金融インフラを担う金融機関や企業と、その先にいる次の世代の利用者の両方のためだと考えています。金融機関、決済事業者、フィンテック、事業会社にとって、オンチェーン化はあたらしい技術を導入すること自体が目的ではありません。決済、資産発行、流通、ユーザー体験を、よりプログラム可能で、相互接続しやすく、24時間365日動く基盤へ更新するための手段です。これは新興企業だけでなく、長年にわたって信頼を築いてきた既存の金融機関が、自社の事業をよりデジタルで開かれた金融システムへ接続していく上でも重要です。

一方で、将来の利用者はブロックチェーンを意識しないかもしれません。自然に資産を保有・移転し、即時にサービスを利用でき、日常のデジタル体験のなかに金融が組み込まれていることを当然のように期待するはずです。RobinhoodやRevolutの成長も、金融が日常のデジタル体験へ統合されていく流れの一例だと思います。

パーミッションドネットワーク、現実資産のトークン化、AIエージェントによる取引など、その時々で注目されるテーマは変わります。しかし本質は、金融機関や企業が信頼して使え、利用者が自然にアクセスできる金融インフラを作ることだと考えています。

──日本展開を踏まえた今後の活動予定や注力していくポイントについて教えてください。

岩瀬:金融機関、ペイメントサービスプロバイダー、暗号資産交換業者、システムインテグレーター、開発者など、エコシステムにかかわる幅広い方々との対話をさらに増やしていきたいと考えています。

注力するポイントは、金融機関や事業会社の方々と「何をオンチェーン化するのか」を具体化し、その上で既存のレイヤー2を活用するのか、新規チェーンを構築するのか、カストディやウォレット、プライバシー、コンプライアンス、運用をどう設計するのかまで、一緒に考えていくことです。

Optimismの活用に限らず、ビジネスケースがまだ固まっていない段階や、プライベートとパブリックのどちらが適切かわからない段階でも構いません。オンチェーン化の構想段階から、ぜひ気軽にお声がけください。日本で本番稼働するユースケースを増やすことが、私の役割です。

お問い合わせはこちら

https://optimism.io/ja/learn-more

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Profile

Juntaro Iwase4

◉岩瀬 純太郎(Juntaro Iwase)

OP Labs 日本・東南アジア担当マネージングディレクター

Meta(旧Facebook)などを経て、シンガポールで12年間勤務。2022年からWeb3.0領域でコンシューマー向けユースケースやエコシステム成長に携わり、2026年にOP Labsへ参画。金融機関・事業会社のオンチェーン実装を支援。

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