金融・経済

日米株50銘柄徹底研究|ソフトバンクやGMOなど、情報・通信サービス企業8社の新規事業の行方は——

2023/09/28Iolite 編集部
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日米株50銘柄徹底研究|ソフトバンクやGMOなど、情報・通信サービス企業8社の新規事業の行方は——

派手さはなくても安定した動きが期待できる

NTTやKDDI、Zホールディングスといった大手、GMOインターネットグループなどの情報・通信サービスはどうだろうか。

各社により株価はバラつくが、社会インフラであることから、派手さはなくても安定した動きが期待できる。なかでもNTTは2023年5月に1:25の株式分割や13期連続の増配を発表。個人投資家が買いやすくなったのは間違いない。

一方、フィンテックやモビリティ、EC・物流などへの投資事業が活発なソフトバンクグループだが、2024年3月期第1四半期の連結業績は投資損失6,900億円、純損失4,776億円を計上。ただし損失は縮小傾向で、さらなる改善で2024年の株価は面白くなるかもしれない。

●NTT(9432)

カテゴリ:情報・通信サービス
Web3.0領域に対して6,000億円を投資

日本発Web3.0サービスのグローバル展開を目標にWeb3.0事業へ巨額投資したNTTの本気度に期待大

NTTは2022年11月にWeb3.0領域に6,000億円規模にも及ぶ投資を実施する計画を発表。これを皮切りに、同年にはNTTドコモが総合コンサルティング企業のアクセンチュアとWeb3.0の普及及び社会実装の加速を目的とした連携に合意した。

2023年に入ると、Web3.0分野への参入をさらに加速化させ、7月にはWeb3.0を推進する子会社・NTT Digitalを設立。あわせてサンリオ、三井住友信託銀行、日立製作所など13社と連携していく方針を打ち出した。

関連システムの開発や拡張、NFTを使ったコンテンツ管理や売買、暗号資産やステーブルコインによるFinTech、DID(分散型ID)を活用したパーソナルデータの自己管理などといったユースケースの創出を目指すとしている。

また、Web3.0サービスへの入口となるトークンウォレットの開発に着手し、2023年中の提供開始を予定している。同ウォレットは秘密鍵のバックアップや生体認証の活用、不正取引のフィルタリングなどにより、Web3.0やブロックチェーンを意識せず、安心して利用できることを目指すという。

▶▶︎今後の見通し
ビジネス環境の変化に適応できる組織力を持つNTTが巨額投資を行い、本格参入するWeb3.0事業に期待の声も

●KDDI(9433)

カテゴリ:情報・通信サービス
3年で1,000億円投じる「αU」プロジェクトが始動

3年間で1,000億円規模の投資を行うという本気度に比べ、NFTや暗号資産の扱いが不明な点が懸念材

KDDIは2023年3月にメタバースやライブ配信、デジタルアートなどWeb3.0サービスを提供する「αU(アルファユー)」を発表。

「αU」では、メタバース空間「αU metaverse」、ライブコンテンツ「αU live」、NFTマーケットプレイス「αU market」、NFTや暗号資産を管理できる「αU wallet」、あたらしいショッピング体験が可能な「αU place」の5本柱で展開される。「αU metaverse」「αU market」「αU wallet」については発表と同時に提供開始。「αU live」と「αU place」は今夏よりサービスが開始された。

「現実と仮想を軽やかに行き来するあたらしい世代に寄り添い、誰もがクリエイターになり得る世界に向けたメタバース」を目標に、これまでの取り組みに加えて、メタバースに関する取り組みを本格化させている。

今後3年間で1,000億円レベルの投資を行うとしているほか、メタバース空間でリアル世界の都市を再現する「バーチャル大阪」や「バーチャル渋谷」をすでに展開しているように、各地方自治体とも協力して都市型メタバースを推進していくとしている。

▶▶︎今後の見通し
始動したばかりの「αU」はまだまだ課題は多いものの、今後の展開次第で大化けの可能性も

●ソフトバンク(9434)

カテゴリ:情報・通信サービス
「SoftBank Tech Night Fes 2023」が大好評

新規事業を立案できる関連企業を多く持つソフトバンクは、Web3.0領域でもさまざまな分野に積極参入

ソフトバンクはグループを通じて海外を中心に暗号資産やブロックチェーン関連企業に出資してきたことでも知られる。2023年5月には、傘下企業を通じて暗号資産決済サービス・Slashと提携したことを発表している。

また、2023年2月にゲーム特化型ブロックチェーン・Oasysにバリデータとして参画することを表明。Oasysと協力し、Web3.0に関する技術や知見の蓄積、人材の育成、サービス提供などを検討していくと説明している。

そのほか、同年3月にはソフトバンク竹芝本社でエンジニア向けイベント「SoftBank Tech Night Fes 2023」を開催。チケットNFTを使った入場が実施され、会場とオンラインあわせて500人を超える人数が参加した。

ソフトバンクが持つ顧客基盤や資金力、そして影響力を活かすことで、国内のWeb3.0領域はさらに注目を集めることが予想される。最近ではAI領域に注力する姿勢が顕著だが、Web3.0領域でも存在感を示し結果を示すことができれば、株価にも好影響がみられそうだ。

▶▶︎今後の見通し
世界的なユニコーン企業と協業し、新規事業を立案できる環境が整っており、Web3.0領域においても活発な動きが期待されている

●Zホールディングス(4689)

カテゴリ:情報・通信サービス
PayPayが「HIVEX(ハイベックス)」に接続

傘下企業の連携が生み出す相乗効果次第では、上昇気流に乗れるポテンシャルを持つ

Zホールディングスは2023年3月期決算が赤字で大きな失望を招いたとされるが、LINEとヤフーに代表されるように、今期では生まれなかったサービス間の相乗効果の生み出しに成功すれば株価に大きな期待が持てるといっていいだろう。

また、経営統合したLINEでは、独自ブロックチェーンを通じて暗号資産取引所「LINE BITMAX」や世界180ヵ国でサービスを展開しているNFTマーケットプレイス「DOSI」を展開するなど、Web3.0領域での実績を積み重ねている。今後もWeb3.0事業を拡大させていく方針だ。

さらに、PayPayではブロックチェーンを活用した決済ネットワーク「HIVEX(ハイベックス)」に接続し、台湾のキャッシュレス決済サービス「JKO Pay」「PXPay Plus」「E.SUN Wallet」との連携を発表した。

3つのサービスをあわせたユーザー数は1,000万人を超えるため、PayPayにとってはインパクトのある連携であるといえる。これは訪日観光客を意識したもので、今後インバウンドによる収益増が実現すれば株価にも大きく影響がみられる可能性も考えられる。

▶▶︎今後の見通し
PayPayなど事業同士のシナジーが発揮できれば、大きな株価上昇も狙える

●GMOインターネットグループ(9449)

カテゴリ:情報・通信サービス
暗号資産取引所GMOコインなど、Web3.0サービスを多角的に展開

「GMOコイン」や「Adam byGMO」など、Web3.0領域で事業を展開するグループ企業が多数

GMOインターネットグループは2016年にGMOコインを設立し、翌年より暗号資産取引所サービスの提供を開始。また、2023年7月時点でユーザー数10万人以上を有するNFTマーケットプレイス・Adam byGMOを運営するなど、国内でも非常に早い段階で多角的にWeb3.0関連事業を展開してきた。

その後、ベンチャーキャピタル・GMO Web3を設立し、2023年5月にGMO AI & Web3へと社名を変更。Web3.0に加えてAIスタートアップへの支援を行うとしている。

さらに、国内初となるNFTドメイン登録サービス「Value Domain Web3 byGMO」を2023年5月に発表。このサービスではウォレットや暗号資産を事前に準備する必要なく、誰でも簡単にNFTドメインを登録・保有できるため、検索から購入までを一貫して行うことができる非常に利便性の高いサービスとなっている。

これまでにインターネットインフラ事業や金融事業等で得たノウハウを活かし、Web3.0事業を拡大させていくことで株価にも好影響がみられる可能性が高まるだろう。

▶▶︎今後の見通し
インフラビジネス以外に金融事業等も手がけているため、今後も企業規模は拡大していくと予想

●メディアドゥ(3678)

カテゴリ:情報・通信サービス
世界初の「NFT電子書籍」付き新書を発売

世界初の「NFT電子書籍」付き新書の発売やNFTコンテンツのビューアアプリの提供など、注目トピックが目白押し

電子書籍業界シェア1位のメディアドゥではデジタルコンテンツの資産化に焦点を当て、NFTを使ったデジタル特典付きのコンテンツの販売を開始。

2022年2月にNFTマーケットプレイス「FanTop」で入手したNFTファンアイテムを3Dルーム・AR(拡張現実)機能などで展示・鑑賞できるiOS・Android対応の公式ビューアアプリ「FanTop」の提供を開始するなどWeb3.0事業に積極的な姿勢をみせている。

NFT保有者のみがNFTと紐付くコンテンツの閲覧、3Dルーム展示、AR鑑賞をすることができるビューアアプリの提供は日本初の取り組みとなった。

また、国内大手企業での採用が相次ぐブロックチェーン・Flowを基盤として構築した日本初となる日本円決済の二次流通マーケット機能を実装したことでも注目を集めている。

2023年6月には、早川書房が創刊する新レーベル「ハヤカワ新書」創刊ラインナップ全5作品について、新書の本編と同じ内容が収録された「NFT電子書籍」がセットで付いてくる「NFT電子書籍付き新書」の提供を開始。これも世界初の「NFT電子書籍」付き新書として高い関心が集まった。

▶▶︎今後の見通し
電子書籍市場の堅調な拡大と新規事業の成長により、今後も成長トレンドを維持されると予想

●エイチーム(3662)

カテゴリ:情報・通信サービス
社として初のブロックチェーンゲーム「Crypt Busters」を発表

アプリゲーム最大手のエイチームがWeb3.0領域に参入し、新作ブロックチェーンゲームを開発

エイチーム傘下でアプリゲームを手がけるエイチームエンターテインメントはゲーム事業のダウントレンドから脱却し再成長を図るため、暗号資産を活用したブロックチェーンゲームやメタバースなど、新領域での開発及びリリース後の運営に注力する姿勢を打ち出している。

2023年に入りシンガポールを拠点とするBOBG社と共に独自トークンを導入したグローバル市場向けオリジナルブロックチェーンゲーム「Crypt Busters」を発表。2023年8月よりサービスを開始している。

同社によると「Crypt Busters」はエイチームエンターテインメントとして初めてブロックチェーンを導入したプロジェクトであり、Web3.0ならではの体験の楽しさを追求したものとなっている。このゲームは同社におけるWeb3.0領域初のオリジナルゲームとなった。

ここ数年の赤字決算の打開策として、今後はWeb3.0領域におけるゲーム開発や新規事業への投資拡大を行う、再び成長軌道に乗ることができるかが今後のわかれ目となりそうだ。

▶▶︎今後の見通し
ここ数年の赤字決算の打開策として開発した、オリジナルブロックチェーンゲーム次第では、再び成長軌道に乗る可能性も

●ガイアックス(3775)

カテゴリ:情報・通信サービス
「Web3.0×地方創生」プロジェクトを推進

DAOのコンサルティング・実務支援を提供するガイアックスが手がけるWeb3.0事業は今後堅調に成長していく可能性

ガイアックスは2022年にWeb3.0・DAO領域での事業を本格的に開始。日本初のDAO型シェアハウスの運用を皮切りに、既存のNPO組織のDAO化や自治体連合型DAOの立ち上げ支援を行うなど、ブロックチェーンやWeb3.0を中心としたあらたな技術・概念の社会実装の実現に向けて動きを加速させている。

ガイアックスによると、同社が推進している「Web3.0×地方創生プロジェクト」の総数は2023年4月時点で111件となり、前年同期比で約8倍もの増加となったという。こうした数字からも高い注目を浴びていることがうかがえる。

また、ガイアックスは2023年6月1日に施行された改正資金決済法を受け、ステーブルコイン領域に参入することも明らかにしている。

法改正に伴い、都市銀行や地方銀行などの金融機関でも今後続々とステーブルコインやデジタル地域通貨が発行される見通しで、ガイアックスは各金融機関へのDAOの啓蒙活動をおこない、これらの導入に向けたプロジェクトを進めていくとしている。

▶▶︎今後の見通し
政府の後押しもあり自治体のWeb3.0活用が急増しており、「Web3.0×地方創生プロジェクト」がさらに注目を集めると予想される


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