金融・経済

日米株50銘柄徹底研究|楽天グループの明暗をわけるモバイルとWeb3.0事業 サービス業を手がける7社を徹底研究

2023/09/28Iolite 編集部
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日米株50銘柄徹底研究|楽天グループの明暗をわけるモバイルとWeb3.0事業 サービス業を手がける7社を徹底研究

サービス業を手がける関連銘柄の株価動向

近年はさまざまな業種・業界においてブロックチェーンや暗号資産、NFT、メタバースなどWeb3.0事業を手がける上場企業が増えている。ここではサービス業を主に手がける関連銘柄の株価動向をみていきたい。

●楽天グループ(4755)

カテゴリ:サービス業
販売プラットフォーム「Rakuten NFT」などを運営

「Rakuten NFT」や「楽天ウォレット」などWeb3.0プラットフォームを運営する楽天グループ

楽天グループでは2019年9月から傘下の楽天ウォレットにおいて、暗号資産引サービスを国内で提供してきた。2021年8月にはNFT領域への参入を正式に発表。その後、NFTマーケットプレイス及び販売プラットフォームとして「Rakuten NFT」をローンチしている。

Rakuten NFTは「NFT市場を民主化する」ことを目的としており、NFTを個人間で売買できるマーケットプレイスと、IPホルダーがNFTの発行や販売サイトを構築できるプラットフォームをあわせ持っている。また、2022年にはGameFiプラットフォームを運営するDigital Entertainment Asset Pte. Ltd.とWeb3.0領域における協業推進に向けた覚書を締結した。

現在、モバイル事業が著しくなく赤字が続いており、それが株価に影響しているが、楽天経済圏ではすでに多くのユーザーを抱えている。楽天経済圏のさらなる拡大が期待されるなか、現在赤字を抱える楽天モバイルの業績が回復し、Web3.0事業が軌道に乗ることでグループ全体が底上げされれば、株価が上昇する可能性もあるといえる。

▶▶︎今後の見通し
Web3.0事業が軌道に乗り、楽天モバイルが赤字回復するかどうかで株価に変動があると予想

●メルカリ(4385)

カテゴリ:サービス業
2,000万ユーザーを背景に「メルコイン」を開始

メルコイン設立でフリマアプリでの取引に暗号資産を導入したフリマアプリ業界最大手のメルカリ

日本のフリーマーケットプラットフォーム最大手であるメルカリは、2021年4月に暗号資産やブロックチェーンに関するサービスの企画開発を行うことを目的としてメルコインを設立した。メルコインは2022年6月に金融庁による暗号資産交換業者としての登録を完了。

2023年3月にビットコイン取引サービスを開始した。これにより月間利用者数2,000万人という膨大な数のメルカリユーザーが暗号資産に触れられるになった。メルカリアプリ内にて最短30秒で申し込み・売買ができ、メルカリでの売上金やポイントでも購入できるといった利便性の高さも要因となり、わずか4ヵ月ほどでメルコインの口座開設数53万を突破した。

メルコインでは今後、暗号資産決済に焦点を当てまずはビットコイン決済の開始を目指す。非常に多くのユーザーを有するメルカリが暗号資産決済で優位性を示すことができれば、Web3.0領域にとどまらず金融を始めとしたさまざまな領域で覇権を握る可能性も秘めている。

▶▶︎今後の見通し
メルカリUSなどの大苦戦が懸念材料だが、国内では堅調でありメルコインなどの暗号資産事業も期待大

●博報堂DYホールディングス(2433)

カテゴリ:サービス業
NFT事業やハッカソン開催などで、Web3.0領域での存在感も大きくなりつつある

ステイクテクノロジーズと合弁会社「博報堂キースリー」を設立して、ハッカソンを積極的に企画・開催する

広告代理店大手の博報堂DYホールディングスは2022年に日本発のパブリックブロックチェーン・Astar Networkを開発するステイクテクノロジーズと合弁会社・博報堂キースリーを設立した。

博報堂キースリーでは「日本から世界を代表するWeb3.0サービスを生み出すこと」を目標に、スポンサー企業の強みや実需的なニーズを考慮した実践的なWeb3.0サービスの開発を促すとしている。

ハッカソンを積極的に企画・開催しており、直近ではマツダや三菱地所を協賛に迎え「web3グローバルハッカソン2023」を9月30日より開催することをアナウンスした。

博報堂ではこれまでも傘下などを通じてNFTやメタバースを活用した取り組みを行ってきており、2022年3月にはNFTビジネスプロジェクト「Hakuhodo DY Play Asset」を発足させた。

このプロジェクトでは模倣品対策をしているほか、アニメ、マンガ、ゲーム、アートを中心とした幅広いジャパンコンテンツをNFT化して展開するマーケットプレイス「animap」を運営している。

▶▶︎今後の見通し
NFTやメタバースの活用など、Web3.0領域での取り組みも目立つが株価の観点では過度な期待は禁物

●サイバーエージェント(4751)

カテゴリ:サービス業
ブロックチェーンゲーム事業の「CA GameFi」を設立

ブロックチェーンゲーム事業にも注力しており、今後は世界標準の独自技術の開発や事業成長が期待されている

サイバーエージェントは2022年3月にWeb3.0・ブロックチェーン領域の戦略子会社として「CA GameFi」を設立した。

CA GameFiではブロックチェーンゲームに最適化されたオリジナルタイトルや他社IPゲームの企画・開発をアジアや米国など世界に向けて提供するほか、NFTプロジェクト「Project TB」を展開している。Project TB に対して10億円以上の資金を投入するとは表明したことからも、NFTやブロックチェーンゲームに大きな期待を抱いていることがうかがえる。

また、サイバーエージェントはメタバース空間における企業の販促活動を支援するバーチャル店舗開発に特化した事業会社として「CyberMetaverse Productions(サイバーメタバースプロダクション)」も設立。
あらたな販売チャネルとしてメタバース空間におけるバーチャル店舗のあり方やNFTを活用したデジタルコンテンツ制作、そして独自暗号資産の発行支援まで一貫して対応できる体制を構築していると述べている。

こうした傘下企業を通じてどれだけスピード感を持って事業展開を行えるかが株価上昇のカギとなるだろう。

▶▶︎今後の見通し
ゲーム事業の利益変動が激しくなると予想されるなか、新規事業の動向が明暗をわける

●MIXI(2121)

カテゴリ:サービス業
「MIXI M」の展開や「DAZN MOMENTS」をリリース

コミュニケーションとゲームの双方に、ノウハウを有する企業MIXIがブロックチェーンゲーム領域にも進出

2022年1月にロゴやコーポレートブランドを刷新したMIXIはNFTを活用した事業開発を急ピッチで進めている。2021年にはすでにNFTサービス「NBA Top Shot」を開発したDapper Labsと業務提携を結び、同社が提供するブロックチェーン・Flowを活用した新規事業創出を模索した。

その後、動画ストリーミング大手のDAZNと共同でNFT事業を本格化させ、スポーツNFTマーケットプレイス「DAZN MOMENTS」をリリース。今後はウォレットサービス「MIXI M」を展開してNFT管理機能の実装を目指すとしており、将来的には暗号資産を扱える仕組みも検討しているという。

モバイルゲームをマスアダプションへ導いた大ヒットタイトル「モンスターストライク」を展開したノウハウをブロックチェーンゲームの分野でも活かすべく、2023年4月からゲーム特化型ブロックチェーン・Oasysにバリデータとして参画。

コミュニケーションとゲームの双方にノウハウを有する企業としてGameFiの可能性を含めたゲーム経済圏の拡大を検討していくとしている。

▶▶︎今後の見通し
モンストを大ヒットに導いたノウハウをブロックチェーンゲーム領域でも発揮すると予想

●セレス(3696)

カテゴリ:サービス業
暗号資産販売所「CoinTrade(コイントレード)」を開業

ブロックチェーンゲーム市場への参入や事業者向けの分散型データセンター事業など早くよりWeb3.0事業に参入

セレスは早くからWeb3.0領域に着目し、暗号資産やブロックチェーンゲーム市場に早期参入している。このほか、分散型データセンター事業や今後のさらなる発展が期待されるNFT関連事業など、ブロックチェーン分野の新規事業を開拓している。

特に暗号資産領域ではMIXIと共に国内暗号資産取引所bitbankを持分法適用関連会社として有するほか、連結子会社であるマーキュリーが運営するCoinTradeを通じてサービスを展開している。

CoinTradeは2022年7月に「CoinTrade Stake(コイントレードステーク)」という暗号資産ステーキングサービスを開始。2023年に入ってからは新規銘柄の取り扱いを相次いで発表しており、これまでにヘデラ(HBAR)、アバランチ(AVAX)、ニアプロトコル(NEAR)といった暗号資産の対応を開始している。

CoinTradeは国内で初めてこれらの銘柄をステーキングサービスにおいて対応した暗号資産取引所となった。今後もステーキングなど長期を見据えた暗号資産投資でCoinTradeが需要を集める可能性がある。

▶▶︎今後の見通し
ブロックチェーンゲーム領域の業績を踏まえ、これまで強化してきた暗号資産事業をさらに推進することが予想される

●イオレ(2334)

カテゴリ:サービス業
「PlayMining」の「Answer to Earn」の実証実験に参画

「らくらく連絡網」の700万人の会員データとあたらしい広告サービス「Answer to Earn」であらたな広告モデルとなるか

イオレは2023年1月にGameFiプラットフォーム「PlayMining」の運営や暗号資産「DEAPcoin(DEP)」を発行するDEA(Digital Entertainment Asset)とWeb3.0事業の共同推進に向けた戦略的パートナーシップを締結。イオレが提供する「らくらく連絡網」が抱える700万人以上の会員データを活用し、PlayMiningとNFTゲームのマーケティング支援を行うことで協業する運びとなった。

同年5月にはPlayMiningのあらたなコンテンツとして企画開発する「Answer to Earn」の実証実験に参画することを決定している。

Answer to EarnはユーザーがブロックチェーンやウォレットなどといったWeb3.0に関する知識がなくても「企業からのお題に答えて楽しみながら暗号資産やNFTが獲得できる」というあたらしい広告サービスだ。イオレは2023年秋にAnswer to Earnの第1弾パートナー企業として実証実験での開発協力を予定している。

今後、この取り組みはPlayMiningの登録ユーザーだけでなく、顧客基盤を有するさまざまな企業と連携することで、幅広いユーザーの利用を見込んで展開していくという。

▶▶︎今後の見通し
現状は求人検索エンジンの好調に支えられているが、「Answer to Earn」の運用次第でさらなる上昇の可能性も


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