新進気鋭のWeb3.0セキュリティ企業「KEKKAI」を率いる若きCEOが、起業の経緯、そして事業の新情報まで激白。
NFTを盗まれた時、ユーザーを守らなければと決意
——Web3.0領域や暗号資産に興味を持ったきっかけを教えてください。
杜瑪:僕は2019年に早稲田大学に入学したのですが、そこで朝日教授の授業を受けたのがきっかけです。彼がマスクネットワークのCEOだったSUJIさんと知り合いで、当時ブロックチェーンに関する講義を行っていたのですが、それを聞いてブロックチェーンという技術に興味を持ちました。マスクネットワークとは現在、非常に良い関係を築けています。
僕は2017年に今とは違う1社目の起業をしました。ですが、当時はブロックチェーンという名称を聞いたことがある程度で仕組みはまったく知りませんでした。でも、大学での講義を受けてから、実際にブロックとブロックがどのようにつながって証明できるかなど、授業とは別に自分自身で学び進めるほど、ブロックチェーンというものに興味を持ちました。
2021年末にブロックチェーンのコンサルティングをやろうと思い、2022年にNFTやFTのスマートコントラクトをノーコードで書ける、しかもパラメーターの調整もできるといったサービスで起業しました。
当時、企業のWeb3.0領域進出の支援などをやっていたのですが、そろそろ自社製品を作ろうと思ったんですね。ただ、実際に資金調達に動いてみたら、全然投資家受けしませんでした。そのため、しばらくはコンサルティングをしながら自社製品の方向性を整理していましたね。
——セキュリティ領域で事業を起こそうと思ったきっかけを教えてください。
杜瑪:ある日、当時の価格で60万円くらいのNFTを盗まれてしまったんです。その時に無力感のようなものを感じた一方で、僕のような個人ユーザーを守らないといけないし、盗難というのは解決しなければならない問題だと思ったんです。
その際、詐欺を回避するサービスを探したのですがみつかりませんでした。であれば、自分たちでやろうという決断に至ったんです。そのような市場環境をチャンスに感じたのも大きかったですね。
その後、なんとかNFTの盗難を回避できる方法はないかと考え研究を始めました。今のプロダクトができ、そして開発が落ち着いた2023年1月に「KEKKAI」をスタートしました。
日本は国際社会において比較的保守的であるといわれていて、サービスや新規事業を始める時にセキュリティを重視するという特性があります。その割にはセキュリティ面での課題が山積みだと思いました。
Web3.0の新規サービス担当者は資産の盗難リスクをわかっていますので、そこにニーズが発生します。また、日本の企業はセキュリティ面での予算を最初から確保していますし、現状を踏まえればやっぱりチャンスが転がっていますよね。