「Web3.0」事業を手がける上場企業が増えているなか、投資のスペシャリストはAIや半導体、Web3.0関連株といった目新しい銘柄をどうみているのか。絶好のタイミングはいつなのか。
外国株に目を付け“中国株のカリスマ”と呼ばれる戸松信博氏、Yahoo!ファイナンス「投資の達人」2年連続MVPの熊谷亮氏の2名に、Web3.0関連銘柄の現状と今後について聞いてみた。
投資家は将来性への長期的な期待感でWeb3.0関連銘柄に注目している
戸松信博:Web3.0関連銘柄の現状の市場の全体的な立ち位置としてはまだまだ弱い印象です。材料という意味においてはWeb3.0というトピックは将来的な発展余地は確かに大きいですが、まだまだ開発段階であり、各企業も事業として乗り出した段階で、実際の業績として大きなものを残している企業はほとんどないでしょう。
Web3.0関連株で、Web3.0関連の業績によって株 価を上げている銘柄はまだ少ない印象です。たとえば、GMOインターネットの場合、独自のNFTマーケッ トプレイスを開設していますが、同社関連のなかでもNFT関連の売り上げはそんなに大きいものではありません。
投資家の間でもまだまだ様子見の段階の ジャンルかと思います。もちろん、先に述べた通り、現 段階での将来性という意味で手元に置いておくとい う投資家もいるかと思います。
実際に話題としてWeb3.0関連のトピックがあがった場合、たとえばビットコインが値上がりした際には当然、暗号資産に関連した株に値動きがみられます。
Web3.0事業が主体となり、業績を拡大している企業 はまだ少ないのですが、一例としてあげたGMOイン ターネットも主力事業があった上でそうした新規事業に取り組んでいます。そうした企業はほかにも徐々に増えてきていますので、まだまだ主力事業とは言い難いものの、将来性への長期的な期待感から投資家が注目しているジャンルであるのは確かです。
銘柄でいうとGMOインターネット、楽天、マネックス、サイバーエージェントといった企業が現状では手 堅いのではないかと考えています。
オールドエコノミー関連の動きが落ち着いた後にWeb3.0関連株が動き出すと予想
熊谷亮:2021年にビットコイン価格が暴騰した時、暗号資産関連銘柄、特に取引所事業を開始した企業や暗号資産を発行した企業の銘柄が一緒に暴騰した後、ブロックチェーンやWeb3.0分野に新規事業として参入した企業が少しずつ株価を上げた印象があります。
その後はFacebookがMetaに社名変更した際にメタバース関連銘柄がトレンドなって1ヵ月ほど暴騰したことがありましたが、それが一巡した2022年以降はそれほど大きな値動きがみられていない印象です。
現在はジャンル的に目新しい分野でいうと、AI関連や半導体関連の方がトレンドで、どうしてもWeb3.0領域におけるあらたな材料が少ないため、Web3.0関連銘柄は値動き的に静かな印象があります。
たとえば、あらたなブロックチェーンゲームを開発したゲーム会社の銘柄を買うなど、 一部の投資家の間ではジャンルとしてかなり期待している投資家がいることもありますが、今現在の東京株式市場は鉄鋼株、電力株、銀行株といったオールドエコノミー関連の大型株の動きが活発なので、多くの投資家の目はそちらに向いています。
来春より新NISAが始まるので、そういったことも影響して向こう1年ほどは大型株が株式の中心となりそうです。ただし、大型株がある程度買われた後は中小型株が動くというセオリーがありますので、Web3.0を含むIT関連銘柄などの中小型株が買われるタイミングは来ると思います。
個人的には、ブロックチェーン関連を軸に金融DX領域を次の柱として育成しているスタンダードや、紙書籍にNFTを付与して自社の二次流通網につなげる戦略を明確化しているメディアドゥと いった企業に注目しています。
Profile
◉戸松信博 | Nobuhiro Tomatsu
グローバルリンクアドバイザーズ株式会社 代表取締役社長
1973年東京生まれ。全国の個人投資家向けにインターネット を通して中国株の情報発信を続け、多くの投資家から“中国 株のカリスマ”と呼ばれる。著書に『1時間でわかる株価チャー トの読み方』などがある。
◉熊谷亮 | Akira Kumagai
株式会社クマガイサポート 代表
1971年群馬県生まれ。現在は「マエストロの株式ボナセーラ」 の運営者として、短期上昇が期待される銘柄を会員向けに提案。Yahoo!ファイナンス「投資の達人」で2012年と2013年度 連続MVPを受賞。
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