「暗号資産の冬」といわれ続けてきた2023年。しかし、その状況はもはや脱したといっても過言ではない。
2024年にはビットコインにとってポジティブな要因が多数あり、伝統的な既存金融の状況次第ではさらに価格が上向く可能性もある。
では、その要因とは何か?いつ頃ビットコインは価格が上昇する可能性があるのだろうか?本特集ではビットコイン価格が今後上昇する際に大きな影響を与えると考えられる3つの要因について解説していく。
金融市場に不況の足音

現在の暗号資産市場は確実に「冬の時代」からの脱却に向かっている。伝統的な金融市場では不況の足音が聞こえつつあり、さらには先行き不透明な中東情勢などの地政学リスクの上昇を受け、いつ足下から崩れるか読めない状況が。
そうしたなか、暗号資産市場では米国におけるビットコイン現物ETFの承認を巡って過熱感が増しており、11月にはビットコインを始め、多くの暗号資産が年初来高値を更新した。特にビットコインは現時点で日本円にして580万円ほどに迫るなど、2021年11月に記録した過去最高値の更新に向け勢いづいている。
本稿ではビットコインを始めとする暗号資産の相場がなぜ今盛り上がりをみせているのか、また今後の上昇要因として何があげられるのかなどについて触れていく。
現状の暗号資産市場を整理

まずは現在の暗号資産市場がどのような状況にあるのか、最新動向を交えて解説していく。先述した通り、SEC(米証券取引委員会)がビットコイン現物ETFを承認する可能性が日に日に高まっていることで、暗号資産市場は盛り上がりをみせている。
これまでリスク面やSECによる業界の引き締め強化などによって実現性がみえてこなかったビットコイン現物ETFだが、さまざまな要因が重なり追い風が吹いている格好だ。
また、個別銘柄ではLINKやXRPなどの上昇が目立っている。チェーンリンクは現在注目が高まっているRWA(リアルワールドアセット:現実資産)トークンに関する取り組みや、住友商事ら大手との貿易取引に関する実証実験等が好感視され、1ヵ月比で約100%もの価格上昇がみられている。
XRPに関しては、年次イべント「SWELL」による“毎年恒例”の価格上昇ともみてとれるが、従来のリップルネットの進化版として「リップルペイメント」を発表したことも後押しした。このほか、主要アルトコインを中心に多くの暗号資産が価格を伸ばしている状況だ。
ビットコイン現物ETF承認への期待感により、資金がビットコインに流入していると同時に、過熱感が一服した後を見据えて物色買いが行われているといえる。
政策金利据え置き

さらに、FRB(連邦準備制度理事会)が11月のFOMC(連邦公開市場委員会)で政策金利を据え置いたことにより、来年にも利下げに転じるとの観測が強まったことも暗号資産市場にはポジティブに働いた。
ハイテク株への資金流入が顕著であることも踏まえると、機関投資家らがポートフォリオにおけるリスク資産の保有割合を今後増やしていく可能性もある。
これらのことを踏まえ、現在の暗号資産市場はビットコインを中心にポジティブな状況にあるといえる。
では、今後どのような展開となり、価格変動に影響を及ぼす要因として何があるのか掘り下げていこう。