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NFTを活用した「流通革命」 株式会社チケミー チケ男 | GIANT KILLING Vol.4

2023/11/30Iolite 編集部
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NFTを活用した「流通革命」 株式会社チケミー チケ男 | GIANT KILLING Vol.4

日本初のNFTチケット販売プラットフォーム「チケミー」と若きCEOがデザインする「流通革命」とは?

——「チケミー(TicketMe)」というサービスを改めて教えてください。

チケ男:チケミーは“モノと権利のマケプレアプリ”というコンセプトで、あらゆるモノやサービスの利用権をチケット化して売り買いできるマーケットプレイスです。

現状はイベント券のやり取りで多くご活用いただいていて、ホリプロさんとか東宝さんのような日本のナショナルクライアントの方々のVIP席を、NFTチケットとして販売いただいております。

——チケミー創業に至った経緯をお聞かせください。

チケ男:2021年4月に早稲田大学への入学を機に上京したのですが、ある日、友人が自転車を買いに行きたいといって一緒に池袋を訪れた時に、街頭で服を売っているおじさんがいたんですね。

そこでは、新品のコンバースとかプレイボーイが500円で売られていて、店頭に並んでいる商品をどのように仕入れているのかが気になって、おじさんと仲良くなって話を聞かせてもらいました。

その時教えてもらったことからヒントを得て、最終的に店舗ではなくECをやった方が良いのではないかと思い、最初の事業を始めました。ECサイトを立ち上げて半年ぐらいで売却した後、イーストベンチャーズというベンチャーキャピタルに入って、しばらくリサーチャーとして働きました。

その時に、物流の市場について理解が深まり、今までよりも一層、物流業界に興味を持ちました。それがきっかけで「あらゆるモノを流通できる、価値の流通プラットフォーム」をつくることはできないかと考え、現在に至ります。

隠れた価値を見つけ出しあるべき場所にあるべき価値を届けるチケミーの大切な2つの原点

——チケミーのコンセプトはなんですか?

チケ男:「隠れた価値を見つけ出す」と「あるべき場所にあるべき価値を届ける」という2つのコンセプトを持っています。「隠れた価値を見つけ出す」という点でいえば、良いものを作っているのに適切なマーケティングがされていないことによって、商品が売れないということがあると思います。

そのような課題に対して、流動性を持たせることのできる仕組みを提供すると、マーケティングが得意な方が、割引価格で商品をたくさん仕入れて売るということができるようになると考えています。

物流では鉄道、船、車などさまざまなものを運びますが、商社等が活用しているコンテナは、規格を共通化し物流にかかるさまざまなコストを削減する目的があると思っています。我々もあらゆる権利を同じ規格(チケット)に乗せて、プラットフォームを横断して売買できる仕組みを提供していきたいと考えています。

——チケットといえば消費目的ではない買い占めとして転売という課題もありますが、どのような対策を取られていますか?

チケ男:前提として、いつでも買える状態といつでも売れる状態は、市場原理として重要な点だと考えています。転売の問題点は「買い占め」の部分です。厳密にいえば、買い占めが起きた上で価格を不当に吊り上げられているという状態が問題です。

裏を返せば、海外のオークションのように二次流通市場で価格が上がって、市場取引が成立すること自体が悪いわけではないのです。正しく評価され、自由に流通させられることは、正しい市場原理だと思っています。

しかし、法律は根本的な原因の解決を目指す過程で、チケット不正転売禁止法等で結果の方を制限したのが実情です。不正転売の定義については、販売者が禁止する転売なので、販売者が許可すれば基本的に問題ないという点も誤って認識されていることが多いですね。

現時点では、不正転売に関する法律の規制はあったけれども、あくまで販売元が不正だと判断する行為がいけないということです。

NFTチケットの販売に関する特許取得が二重消費問題を解決

——競合他社と差別化されている点としてチケミーの強みをお聞かせください。

チケ男:チケミーは日本初のNFTチケット販売プラットフォームであるため、NFTチケットの売買という点では優位性があると思っています。ほかにもわかりやすいところでいうと、NFTチケットの販売に関する特許を持っています。

具体的には、受け取ったモノやサービスの権利を執行する際に、QRコードの表示や住所の入力コードを表示する行為など、二次流通で必要な行為を制限することができる(SBT化)という技術です。

チケットや権利の売買においては、二重消費の問題が確実に出てきます。モノを受け取ったり、サービスを償還する時に、モノが受け取られた後、もしくは権利が行使された後にもチケットや権利が二次流通されてしまう問題です。

たとえば、イベント券の場合はQRコードを表示して入場した後に、その方がまったく別の方にチケットを売ってしまって、一度使用されたQRコードを使って再入場することができてしまいます。

モノの場合は受け取った後に、別の方に流通してその方がまた受け取ってしまうことが起こります。ほかにも、受け取れないチケットを売って、詐欺に使われてしまうようなことも起こりえます。

これを我々は“二重消費問題”と呼んでいます。チケミーが取得した特許技術の活用で、基本的に二重消費問題が起こらない点は強みですね。

——将来的には、SBTをマーケティングに活用するケースも想定できそうですね。

チケ男:イベントに行けば行くほど、モノを買えば買うほど、活動履歴としてのチケットがマイページに貯まっていきます。応援しているアーティストのライブのチケットを、Instagramのように楽しみながらマイページに貯めていくことができます。

なので運営側は、チケットのデザインを工夫することでリピート率の向上につながるというような施策を打つことができると思います。

ほかにも、購入履歴や購入経路が可視化されるので、最適な販売経路をみつけられるための施策に使えると思います。ネット上だと可視化されにくかった流通経路が透明化されて、最適な流通経路が発見できることは面白いところだと思います。

より多くの出品者、生産者の方々に参加してもらいたい

——今後取り扱いを進めたい商品はありますか?

チケ男:現状、取り扱いはあるものの、より多くの出品者、生産者の方々に参加してもらいたいと考えているのが、チケットやイベント券以外のモノです。

たとえば、加工前の木は3,000円程度で購入可能ですが、最終的に加工された柱になると数万円から数十万円で取引されたりします。ただ、加工費や輸送費は思ったよりかかってなくて、仕入れた商品をまた別の人に卸すという間接販売の費用が上乗せされているのです。

日本の小売の間接販売の市場は、全部で100兆円ぐらいあります。

モノを仕入れてそれを卸して、さらに卸して、店頭に並ぶような間接販売の市場です。間接販売に関するやり取りをチケット化して手間を簡素化できれば、キャッシュフローは前倒しされ、資金効率は上がりますし、卸売をオンラインで完結することができるのではないかと思っています。

——チケミーで活用されているポリゴンチェーンが止まった場合の対策はありますか?

チケ男:今までポリゴンではブロックチェーンが止まった事象というのはないのですが、万が一に備えてマルチチェーン化みたいなところを我々も対応を進めています。直近ではアスターネットワークへの対応ができる予定です。

——NFTに関する税法上の整備は完全に整っているとはいえない点もあると思いますが、チケミー上でのチケットのやり取りで発生する可能性がある税金について教えていただきたいです。

チケ男:NFTでいうと、我々は日本円での決済なので、税法上ではそれほど問題はないかなと思っています。一方で、関係あるのがインボイス制度です。消費税がかかるところは、事業者として対応する必要があると考えています。

これまでだと、仕入れた商品を売買する時に、個人間の売買であれば消費税はかからなかった。しかし、インボイス制度でフリーランスなどの個人間でも消費税がかかるようになると、仕入れたモノに対して、差額の10%消費税がかかるので、ここはプラットフォームとして対応していかなければいけないと思っています。

もう1点あるとしたら、ロイヤリティの部分です。今後我々は、5%から20%のロイヤリティ報酬を販売元に提供できるようにすることを考えています。

ロイヤリティを受け取るのが法人の場合は、もちろん所得として扱われますし、個人の場合は雑所得としてカウントされてしまうので、これに関する税金もプラットフォームとしては対応していかなきゃいけないところですね。

——決済インフラを持つ事業者との相性が非常に良いと感じるのですが、今後も業務提携の可能性はありますか?

チケ男:現在提携しているJPYCさんやSlashさんなど、決済インフラを持つ事業者との相性は非常に良いと思います。個人的な話ですが、JPYCのCEOである岡部さんはSNSでの日々の投稿を追いかけていた存在でもあったので、提携は胸熱です(笑)。

投資対象は移り変わっていくと思っています。国債、社債や株式、暗号資産、NFTなど。ポケモンカードが投資商品としてみられ始めた流れも、伝統的な投資商品が飽和状態になったことによって、起こっているのではないかと思っています。

あまり日の目を浴びない商品やイベント等のチケットにも、同じことがいえると思っています。チケミー上に掲載される権利やモノのなかで流動性が低いものでも、将来的にはその商品等に魅力を感じた方が、マーケティングを代わりにやってあげるというようなチケミーの目指す方向でも活発な動きに期待しています。

JPYCは暗号資産と実際の商品(コモディティ)をつなぐ、という意味でチケミーとも親和性が高いです。今回、チケミーに暗号資産・ステーブルコインが入ってきたのは非常に楽しみです。

——チームビルディングで気をつけてることはありますか?

チケ男:「良い人を採用すること」です。魅力的な能力を持っているというのは、確かに重要で最初にみているところでもありますが、最後にこの人に入ってもらいたいか否かを決める材料は人の良さです。

「組織の限界」という市場の機能に含まれない組織の機能について解説している本があるんですけど、その中で「満場一致性と二項独立性がともに成立するのは独裁制だけだ」ということが説明されています。

組織を長く続けるためには、強いビジョンを持って、時として一見合理的ではない意思決定も突き通すことが必要だと思います。個々が各々の動機だけで動く組織は、あまり魅力を感じません。もう少し有機的なつながりがある組織の方が、レバレッジをかけて成長できると思っています。

良い人であるということは、組織全体で尊重し、信頼しあうことができる。何か問題が起きた時も、献身的に協力しあい、笑顔で乗り越えていくことができると思っています。

チケミーを通して流通革命を起こしたい

——チケミーの今後の展望を聞かせてください。

チケ男:チケミーを通して、流通革命を起こしたいと考えています。あらゆるものがチケットに乗って、簡単に誰でも売買できる。いつでも売れるし、いつでも買えるという世界を実現しようとしています。

——チケ男さん、個人としてはどうですか?

チケ男:実は去年結婚して、今度子供が生まれるんです。家族ができると不思議と次の世代のことを考え始めるようになりました。次の次の世代とかを考えた時に、いかにみんなが自分の価値を発見して、発見されて、生き甲斐を感じる世界で生きられるかを考えています。

そんな世界の一端を担えると嬉しいなと思います。

TicketMeの使い方

【チケミー購入までの流れ・買い方】

  1. チケットを探す
    『チケット』一覧から、欲しいチケットを探す。リンクから直接、チケットページにログインすることも可能。
  2. チケットを購入する
    チケミーで『チケット』を購入する方法は、「①-a 主催から購入」「①-b 二次出品者から購入」「②オファーをかけて購入の2種類(細かく分けると3種類)」。

    ②については、まだ『チケット』を利用されていないユーザーに対し、買取りオファーを送ることができ、買取りオファーを受け取った相手がオファーを受け入れ次第、ユーザーにメールで通知が届く。

    その後再度チケミーにアクセスし、画面に表示された案内に従って購入を完了すると『チケット』の購入が成立。買取りオファーをした後に変更したくなった場合、ログイン後、ハンバーガーメニューから「買取りオファーを管理」でオファーの取り消し、変更が可能。

【チケミー出品までの流れ・売り方】

  1. 新規会員登録 / ログインをする
    まずはサイトに新規会員登録。
  2. メニューから「チケットを 発行する」をタップする
    ページ右側に配置されたハンバーガーボタンからメニューを開き、メニューの下にある「チケットを発行する」というボタンをタップ。
  3. チケットの種類を選択する
    発行する『チケット』の種類を選択。現状チケミーでは、『イベント券』と『グッズ引換券』『会員権』の3種類が発行可能。
  4. チケットの情報を登録する
    チケットの情報を登録。チケットの種類によって、入力する情報は異なる。


Profile

◉宮下 大佑(チケ男)│Daisuke
Miyashita
早稲田大学政治経済学部入学と同時に、アパレルを扱うECサイトを起業。その後、事業売却したのち、独立系VCのEastVenturesにてリサーチ業務に従事。2022年6月日本初のNFTチケット販売プラットフォーム「Ticket Me」を提供する株式会社チケミーを設立。代表取締役に就任。

◉チケミー(TicketMe)
イベント券やグッズ引換券、会員権などの電子チケットを売り買いできる、日本初のマケプレアプリ。会費や販売手数料、購入手数料が一切かからないのが特徴で、権利利用前に「チケット」が流通されると、1度の流通ごとに5%が1次販売者に還元される仕組みとなっている。2023年10月には、チケットの転売を制御する技術で特許を取得。

TicketMe Inc.(株式会社チケミー)


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