金融・経済

リスクヘッジの有効手段 コモディティ投資とは?

2023/12/17Iolite 編集部
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リスクヘッジの有効手段 コモディティ投資とは?

コモディティ投資 関心度の高まり

低迷している世界経済や政情不安などで、コモディティ投資の関心が高まっている。 日本ではまだあまり知られておらず、一般的にコモディティ投資はハードルが高いといわれているが、なぜコモディティ投資が注目されているのだろうか。



ハードコモディティとソフトコモディティ

コロナパンデミックやロシアのウクライナ侵攻の影響を受けて、低迷していた世界経済も徐々に回復の兆しをみせている。そのような状況下で注目され始めているのがコモディティ投資だ。

コモディティ投資とは文字通りコモディティ(商品)への投資のことで、原油、金、銅、農産物など「商品市場」に対する投資のことをいう。

コモディティ投資は主に「ハードコモディティ」と「ソフトコモディティ」に分類される。ハードコモディティは金・銀・プラチナなどの貴金属、亜鉛・アルミニウムなどの産業用貴金属、石炭やウラン等の鉱物、原油・天然ガス等の天然資源だ。

ソフトコモディティは小麦・トウモロコシ・大豆・コーヒー豆などの農産物、飼育牛・豚等の畜産物、家畜の飼料、バイオ燃料の原料となるものなどがあげられる。

これらは実物資産なので、株式や債券などの金融商品とは値動きが異なり、分散投資に向いていることから、オルタナティブ(代替)資産とも呼ばれている。

コモディティ投資のメリット

コモディティ投資のメリットとして、商品自体に価値のある実物資産のため、金融商品のように株式市場の影響を受けにくく分散投資しやすい。

たとえば、企業の業績悪化や倒産、もしくはリーマンショックなど株式市場全体を揺るがす金融危機が起きた時、株式のみでポートフォリオを構成している場合は影響を受ける可能性が高いが、株式市場と相関性の低い実物資産を組み合わせたポートフォリオを構成していれば、リスクを分散することができる。

また、インフレに強いというのもメリットの1つだ。インフレ下では物価が上昇して貨幣価値が下がるが、貴金属や農産物などの現物資産は物価の上昇と連動して価値が上がるため、利益が上がりやすいからだ。

近年、コモディティ投資が注目されている理由は、現在の世界経済の状況とコモディティ投資のメリットがコミットしているためで、実際にコモディティ投資を行っている投資家はリスク分散を目的で行っていると考えられている。

また、現在の市場の見通しで2024年に欧米がリセッション(景気後退)に陥る可能性があるとされ、想定以上の深い景気の落ち込みとなった場合のリスクヘッジとして、コモディティ投資が注 目されているのではないかと指摘する有識者もいる。

その理由として「株式」と「債券」の値動きに関連しているという。株式と債券は本来は異なる値動きをする資産だったため、多くの投資信託では株式に対するリスクヘッジ目的の分散投資先として債券が充てられていた。

しかし、近年は株式と債券の値動きが同調する傾向が強くなり、債券がリスクヘッジの十分な手段として機能しなくなっているためにその代替として原油や金など株式市場と相関性の低い実物資産、つまり、コモディティ投資ということになっているとしている。

コモディティ投資の簡略図

コモディティ投資は時間(短中期、中長期、超長期)と銘柄(金属、エネルギー、農産物など)と場所(国内、海外)によって分類でき、投資形態として先物、現物、投資信託などがある。また、扱う商品もハードコモディティとソフトコモディティに分類される。

コモディティ投資の注意点

もちろん、コモディティ投資にもデメリットはある。まずコモディティ投資は実物資産であるため、株式投資と違って配当や株主優待が存在せず、保有し続けても利益が生まれない。

また、商品によって価格の変動要因が違うため、価格変動の予測が難しい。たとえば、農産物は気候や自然災害、畜産物は疫病の影響を受けやすいし、エネルギー資源は政治・世界情勢を受けて価格が変動しやすい傾向がある。

コモディティ投資の選択肢 現物購入と投資信託

このようなメリットやデメリットがあるコモディティ投資だが、実際にコモディティ投資を始めるにあたって、(すでに投資経験ある投資家などは別として)はたして、これから投資を始める一般の人が簡単に始められるものだろうか。

コモディティ投資を行う方法として、代表的なのは「現物購入」や「投資信託」といった方法だが、一般の人が安全にコモディティ投資を始める手段として1番ポピュラーで現実的なのは現物購入だろう。

現物購入

現物購入はその名の通り、金やプラチナなどの現物を購入することだ。現物保有のため盗難対策が必須になるが、希望の商品を日本地金流通協会の登録店、宝飾店、銀行、百貨店などの実店舗で購入するだけなので特別な手続きもない。

また、購入時の消費税と売却時の譲渡所得税がかかるが、保有するだけでは税金がかからない。

投資信託

投資信託はファンダメンタルズやタイミングをプロのファンドマネージャーに任せられるのと、数千円程度の小口でも始めることができ、確定申告が不要の特定口座(源泉あり)であれば税金計算なども不要のため、一般の人でもコモディティ投資を始めるにあたってのハードルは低い。

コモディティに投資する公募投資信託も数多く存在しており、また、コモディティ投資信託への投資は銀行や証券会社に口座があれば、新規に口座開設する必要もなくスタートできる。

最近ではETF(上場投資信託)というものもある。

ETFとは、株式のようにリアルタイム取引が可能な投資信託で、インデックスに連動するように設計されているため、ETF銘柄を1つ購入すれば、連動する市場を丸ごと購入したのと同様の効果を得られるほか、通常の株式と同様に、証券口座から売買することができる。

日本で上場しているETFだけでも、原油、天然ガス、金、銀、銅、プラチナ、ニッケル、小麦、大豆などがトレードできるようになっている。

過去に株式投資の経験がある場合は投資信託を検討してみてもいいだろう。しかし、その際には投資信託会社選びが重要となるので、その点は注意したいところだ。

まとめ

このようなコモディティ投資だが、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化やイスラエル・パレスチナ問題、中国の景気減速など2023年でも懸念された世界情勢は2024年も継続されることが予想されている。

また、世界経済に目を向けても先述の通り、2024年に欧米がリセッションに陥る可能性があるとの指摘のなかで、今後もコモディティ投資が一層注目を集める可能性がありそうだ。




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