「暗号資産の冬」から脱却し、春が訪れたWeb3.0業界。この1年は、業界の成長に向け極めて重要な意味を持つこととなる。業界の今後を見届けるべく、本特集では今年1年、月ごとに注目するイベントなどを編集部が独自の視点で列挙する。
業界の転換点が訪れる可能性
歴史の目撃者になるべく、来る未来を知る
2023年後半にかけて、ビットコインを中心に暗号資産価格は軒並み上昇した。業界の悲願ともいえるビットコイン現物ETFが米国で誕生するかもしれないという期待感が、多額の資金流入を招いた。
このほか、2024年はビットコインの半減期が訪れる。これまで半減期を機にビットコインは価格を大きく伸ばしており、2024年はその足がかりになる年ともいえる。こうした思惑が重なったことで、暗号資産市場はいわゆる「暗号資産の冬」を脱し、今、春を迎えようとしている。
記事執筆時点では米国で11銘柄に及ぶビットコイン現物ETFが承認され、ビットコイン価格は一時2021年12月以来となる49,000ドルほどまで上昇した。承認後は事実売りにより小休止状態となっているが、2024年に控えているほかの要因次第では十分上昇の余地が残されている。
ビットコイン現物ETF、そして半減期のほかに暗号資産市場へ影響を与える可能性があるイベントとしては、4年に1度の米大統領選があげられるだろう。米大統領選は皆までいうことなく世界の今後を左右する重要イベントであり、株式市場などにも当然何らかの影響が及ぶ。
株式市場に影響が及ぶとなると、暗号資産市場にもその余波が訪れる可能性が高い。さらに、政権交代となればWeb3.0に対する姿勢も反転する可能性もある。そのため、Web3.0領域においても注視すべきイベントといえるだろう。
また、国内において2024年は大きな転換点を迎える年となる。業界が長年にわたる努力が実を結び、徐々に緩和されつつある暗号資産税制について、2024年においても一部緩和される見込みとなった。税制改正は日本における暗号資産市場、ひいてはWeb3.0業界の発展そのものに直結する。
機運が高まっている今こそ、議論を加速させ未来志向的な枠組みが作られることに期待したい。
そして、改正資金決済法の施行から1年が経つことに伴い、日本円ステーブルコインの登場にも期待がかかる。昨年は発行に向けた準備段階という過程であったが、今年はいよいよ動きが加速し実際に形を成すフェーズとなる。
各社の競争は一層激化し、2024年はステーブルコインの覇権争いが繰り広げられる様相も想像に難くない。また、改正資金決済法により海外発行のステーブルコインの取り扱いが行えるようになったことも業界の発展につながる可能性がある。
実際にそうしたステーブルコインの取り扱いが国内暗号資産取引所において始まった際には、国内のWeb3.0領域は次なるフェーズへと足を伸ばすことになるだろう。
このように、2024年はさまざまな点で大きな進展がみられる年になると予想される。そこで今回、編集部がこの1年、月ごとに注目するイベントや起こり得る予測を独自の視点でまとめた。2024年にいったいどのような変革が訪れようとしているのか、ぜひ自らの目でチェックしてもらいたい。