Web3.0

2024年未来予測 月ごとに注目すべきWeb3.0領域のイベント等を編集部独自の視点で展開

2024/02/06Iolite 編集部
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2024年未来予測 月ごとに注目すべきWeb3.0領域のイベント等を編集部独自の視点で展開

2024年未来予測 Web3.0領域で起こる大変革——

「暗号資産の冬」から脱却し、春が訪れたWeb3.0業界。この1年は、業界の成長に向け極めて重要な意味を持つこととなる。業界の今後を見届けるべく、本特集では今年1年、月ごとに注目するイベントなどを編集部が独自の視点で列挙する。


業界の転換点が訪れる可能性
歴史の目撃者になるべく、来る未来を知る

2023年後半にかけて、ビットコインを中心に暗号資産価格は軒並み上昇した。業界の悲願ともいえるビットコイン現物ETFが米国で誕生するかもしれないという期待感が、多額の資金流入を招いた。

このほか、2024年はビットコインの半減期が訪れる。これまで半減期を機にビットコインは価格を大きく伸ばしており、2024年はその足がかりになる年ともいえる。こうした思惑が重なったことで、暗号資産市場はいわゆる「暗号資産の冬」を脱し、今、春を迎えようとしている。

記事執筆時点では米国で11銘柄に及ぶビットコイン現物ETFが承認され、ビットコイン価格は一時2021年12月以来となる49,000ドルほどまで上昇した。承認後は事実売りにより小休止状態となっているが、2024年に控えているほかの要因次第では十分上昇の余地が残されている。

ビットコイン現物ETF、そして半減期のほかに暗号資産市場へ影響を与える可能性があるイベン トとしては、4年に1度の米大統領選があげられるだろう。米大統領選は皆までいうことなく世界の今後を左右する重要イベントであり、株式市場などにも当然何らかの影響が及ぶ。

株式市場に影響が及ぶとなると、暗号資産市場にもその余波が訪れる可能性が高い。さらに、政権交代となればWeb3.0に対する姿勢も反転する可能性もある。そのため、Web3.0領域においても注視すべきイベントといえるだろう。

また、国内において2024年は大きな転換点を迎える年となる。業界が長年にわたる努力が実を結び、徐々に緩和されつつある暗号資産税制について、2024年においても一部緩和される見込みとなった。税制改正は日本における暗号資産市場、ひいてはWeb3.0業界の発展そのものに直結する。

機運が高まっている今こそ、議論を加速させ未来志向的な枠組みが作られることに期待したい。

そして、改正資金決済法の施行から1年が経つことに伴い、日本円ステーブルコインの登場にも期待がかかる。昨年は発行に向けた準備段階という過程であったが、今年はいよいよ動きが加速し実際に形を成すフェーズとなる。

各社の競争は一層激化し、2024年はステーブルコインの覇権争いが繰り広げられる様相も想像に難くない。また、改正資金決済法により海外発行のステーブルコインの取り扱いが行えるようになったことも業界の発展につながる可能性がある。

実際にそうしたステーブルコインの取り扱いが国内暗号資産取引所において始まった際には、国内のWeb3.0領域は次なるフェーズへと足を伸ばすことになるだろう。

このように、2024年はさまざまな点で大きな進展がみられる年になると予想される。そこで今回、編集部がこの1年、月ごとに注目するイベントや起こり得る予測を独自の視点でまとめた。2024年にいったいどのような変革が訪れようとしているのか、ぜひ自らの目でチェックしてもらいたい。

【1月】
Web3.0業界の悲願 ビットコイン現物ETF承認

日本時間1月11日、米SEC が合計11件のビットコイン現物ETFを承認した。監視共有契約や不正価格操作に関する監視強化が必要であるとし、度々審査期限を延長されてきたが、今回の承認によって機関投資家の資金が流入することは明らかであり、ビットコインを含む暗号資産市場は成熟へと向かうだろう。

2024年の相場の方向感としては、今回の現物ETF承認の影響とビットコイン半減期を受け、ポ ジティブに働くと思われる。次回のビットコインの半減期は3~4月頃を予定。過去3回の半減期の後、約16ヵ月後に過去最高値を更新していることからも半減期が価格に与える影響は強いといって良いだろう。

デジタルゴールドとも比喩されたビットコインの今後は、ゴールド(金)ETF承認後の価格動向が1つの目安となるかもしれない。しかし、ゴールドの現物は手軽に取引できるものではないという特性があるのと反対に、ビットコインの現物は極論ウォレットさえあればいくらでも保有ができる。

ウォレットの管理という暗号資産を保有する際の1つの大きな障壁がどちらに作用するか。また、過去の動向から鑑みるに、次はアルトコインの現物ETFの承認可否に注目が集まり、資金も流れ始めると想定される。

既存金融に革命を起こす可能性を期待されたビットコインやそのほかのアルトコインが、現物ETF承認によって、事実上既存金融に取り込まれ ていく様相は少し残念な部分もあるが、2024年は現物ETF承認にこぎつけるアルトコインと、そうでないアルトコインで価格面を含めて大きく分断される可能性がある。

▶POINT
ビットコインは2025年の春から夏にかけて最高値を睨む。2024年はアルトコインにとって激動の1年か。

【2月】
通常国会で暗号資産税制議論へ
レバレッジ倍率改正も待たれる

記事執筆時点で、1月26日に通常国会招集の方針が固まった。6月23日までの150日間における政策議論が幕を開けることとなる。国会では2024年度予算案を始め、あらゆる諸課題について議論が行われるものとみられるが、そのなかには暗号資産を巡る税制改正も含まれるだろう。

Web3.0という言葉が浸透し、国家政策にも盛り込まれるようになってから、企業を対象とした暗号資産税制の見直しが加速している。2022年末より2年連続で要件緩和が政府・与党において決定し、いよいよ個人を対象とした税制改正にも期待がかかる。

とはいえ、現時点では個人を対象とする暗号資産税制の改正に大きな進展はみられておらず、実現にはまだ一定の時間を要する可能性が極めて高い。今回の通常国会においても、まずは企業を対象とした暗号資産税制やIEO等に関する規制面に関する議論が交わされることだろう。

なお、今年は自主規制団体によって提出された暗号資産のレバレッジ取引倍率改正にも期待がかかる。レバレッジ倍率改正は取引活性化のトリガーになる可能性があるため、動向を注視したいところだ。

▶POINT
まずは企業を対象とした税制改正で足場固め。個人向け税制における議論とレバレッジ倍率改正にも布石を残したいところ。

【3月】
FRBがついに利下げ開始か
実現すれば暗号資産市場への資金流入も

2023年7月、米国政策金利の引き上げ幅は5.25%となり、22年ぶりの水準となった。

現時点でFOMCのドットチャー トをみれば、市場は2024年9月の利下げを予測しており、下げ幅の予想は計0.75ポイントという声が多いものの、過去利下げに転じた時期は最後に利上げを行う、あるいは据え置きしてから7ヵ月前後が平均となっており、定説通りの転換であれば2024年3月頃から利下げに転じる可能性も残っている。

昨今の金融緩和によって、市場に溢れた資金はビットコインを含めたオルタナティブに流れたともされるが、3月にFRBの利下げが行われれば株式市場同様、暗号資産市場にもさらに資金が流れる可能性はある。

1つ気になる点は、利下げが行われドル安円高の方向に流れることにより、ドルペッグのステーブルコインの価値が、対円で一時的に目減りする可能性があること。

2023年11月にSBIホールディングスがUSDコイン(USDC)を運営する米Circle社と提携したがこれにより傘下のSBI VCトレー ドにてUSDCが日本円と板で取引できるような環境が生まれた場合、円高ドル安の資産防衛策の1つとして活用できる可能性が浮上する。

▶POINT
利下げによる景気後退の懸念とドル円相場の動きに警戒。リスク資産への資金の動きを注視したい。

【4月】
ビットコイン、価格上昇要因として有力視される4回目の半減期を迎える

誕生から15年が経過したビットコインは、約4年ぶりにして4回目となる半減期を今年3月~4月にかけて迎える見込みだ。

半減期はビットコインの取引承認作業を行うマイナーのマイニング報酬が半減するもので、これにより市場へ流通する新規発行枚数が減少することから、供給量が制限され、希少性が増すものといわれている。今回の半減期でマイニング報酬は6.25BTCから3.125BTCへと半減する。

半減期はビットコインの将来的な価格上昇要因になるともいわれているが、必ずしもポジティブな事象が起こるわけではない。半減期を迎えることでマイニング報酬が半減することから、マイ ナーの採算があわなくなってしまう恐れがある。

そうするとマイナーは廃業するか、保有するビットコインを大量に売却して資金を調達することになる。その際、相場は乱高下することがあり、これがトリガーとなって一時的な価格の低迷につながることも想定される。

前回の半減期の際にもこうした兆候はみられており、ビットコイン価格は約3~4ヵ月ほど横ばいで推移していた。一方、ビットコインは過去に訪れた半減期後すべてにおいて緩やかながらも価格は上昇している。

そして次の半減期を迎える時には、前回の半減期と比較して数倍もの価格を付けており、これがビットコインにおける上昇要因の裏付けの1つとなっている。実際、2020年5月に3回目の半減期が訪れた際のビットコイン価格は日本円で90万円ほどであったが、記事執筆時点では620万円ほどを推移している。

そのため、今回も一時的な価格の乱高下は生じるかもしれないが、長い目で見守る心持ちが必要かもしれない。

▶POINT
半減期後にはしばらく価格が停滞する傾向もあるが長期的には上昇していることを考慮すべき。

【5月】
デュアル方式のウォレットアプリとガスレスフリーミントNFTの活用が活発化

2025年4月より開催予定の大阪・関西万博における取り組みの1つとして、サーバーとブロックチェーンを活用したデ ータの管理手法を利用するデュアル方式のウォレットアプリ「EXPO 2025 デジタルウォレット」が活用される予定だ。

すでにアプリはダウンロード可能で、ユーザーは「つかう、ためる、あつめる、つながる」機能を体験することができるという。

具体的には、会場外での万博に関連したSBT(Soulbound Token)を活用したスタンプラリーやイベント参加のデジタル証明、参加証明SBTを持っていることで受けられるインセンティブのほか、「ミャクペ!(電子マネー)」「ミャクポ!(ポイント)」などが現時点で想定されている。

2024年5月から「ミャクポ!」と「ミャクペ!」は試験的に利用可能になることが予想され、ウォレットアプリのプロモーションが大々的に行われる可能性がある。これを機に、実生活にウォレットアプリが受け入れられれば、Web3.0のマスアダ プションのカギを握るともいわれるウォレットの普及という意味でも一歩前進か。

▶POINT
Web3.0浸透の最大のチャンス。プロモーション次第では国内大手決済アプリと同等のシェアまで。

【6月】
日本円ステーブルコインが登場へ
シェア獲得に向けた覇権争い本格化

改正資金決済法が施行されたのが2023年6月1日。それから1年が経つ今年6月頃に法律に準拠した日本円ステー ブルコインがついに登場すると見込まれている。2023年は大手などを中心にステーブルコインの覇権争いに向けた準備が着々と進められ、2024年の重要キーワードへと昇華した。

日本円ステーブルコインの登場により、企業間決済の効率化はもちろん、個人間においてもさまざまな場面での利用が増えることに期待が集まる。また、法改正により電子決済手段等取引業を取得した事業者のもとでテザー(USDT)を始めとした日本円以外の既存法定通貨担保型ステーブルコインを取引可能になるため、暗号資産取引のさらなる活性化にも期待したいところだ。

ステーブルコイン領域では、ステーブルコイン等の発行・管理基盤「プログマコイン(Progmat Coin)」を手がけるプログマ社(Progmat,Inc.)が現在、存在感をみせている。プログマコインは不動産等のセキュリティトークン発行・管理等でも活用されているプラットフォームで、金融機関や民間企業など、あらゆるクライアントによる利用を想定している。

すでにプログマコインを活用する企業も多数あるほか、今後プログマ社とともにステーブルコイン発行を目指す動きもみられている。注目の動きとしては、国内における日本円ステーブルコインのパイオニア的存在であるJPYCとの協業、そして大手暗号資産取引所バイナンスの日本法人であるバイナンスジャパンとの提携だろう。

ほかにもさまざまな事業者によって取り組みが進められていることから、2024年は日本における「ステーブルコイン元年」として活発な動きが見受けられるものとみられる。

▶POINT
日本でのステーブルコインを巡る覇権争いが本格化。当面はプログマ社の動向に注目。

【7月】
EU圏の包括的な暗号資産法案「MiCA」が一部施行

2023年4月、欧州議会はMiCA(Market in Crypto Assets)規則を可決した。現行のEU法で規制されていない暗号資産に関連した規則をEU圏で統一し、ユーザーや投資家を保護する目的だ。これにより、暗号資産関連事業者はEU圏において、単一のライセンスで事業展開することができるようになる。

正式なEU法として承認後、EU証券監督機関のESMAが詳細なガイダンスを作成する見込みだ。導入のスケジュールとしては、広義な意味も含めたステーブルコインに関する規則は2024年7月に、トラベルルール等の要件が2025年1月に施行と、段階的に施行されていく予定だ。

今回施行される規則では、ステーブルコイン発行者は裏付け資産の十分な保有やリスク開示等に関する内容が盛り込まれている。これにより、EU圏におけるステーブルコインの普及や暗号資産活用の動きが活発化することに期待したいところだ。

しかしながら、同規則には暗号資産のレンディングやDeFi、NFTには未対応であるとされており、EU圏における共通の法規制の制定にはまだ時間がかかるものとみられる。

▶POINT
ステーブルコインを巡る規制整備が進み活用に向けた転換点が今年1年で訪れるかもしれない。

【8月】
暗号資産市場にとって試練の夏?
ジャクソンホール会議は重要な材料に

8月は暗号資産市場にとって再び試練を与える月になる可能性がある。8月といえば、夏季休暇の兼ね合いなどもあり値動きが小幅、あるいは取引参加者が減少することから「夏枯れ相場」などと呼ばれる時期だ。これが関連してか、実は暗号資産市場においても8月は低調な値動きが続く時期となっている。

暗号資産分析を行うcoinglassのデータによれば、ビットコイン取引において平均的に最もパフォーマンスが悪い月は9月だ。2013年から2023年にかけて、9月に上昇した例はわずか3件しかない。一方、8月もそれに次いで上昇例は4件となっており、騰落率を中央値でみると9月のマイナス5.58%を凌ぎ、マイナス7.49%とワーストを記録している。

さまざまな要因が考えられる が、1番は株式市場同様、取引量が減少することに起因するものとみられる。取引量が減少し、板が薄くなることによってボラティリティが高くなることを警戒して、一時的にポジションを手仕舞いする動きが加速しているものと考えられる。

しかし、今年においてはFRBの動向次第でジンクスを破る可能性を秘めている。最後に利上げ・据え置きをしてから7ヵ月前後を平均として利下げに転じる傾向がある米国の政策金利。一部では9月頃から利下げが開始されるのではないかとの声もある。

本誌では3月からの段階的な利下げを予想しているが、仮に利下げ開始が9月だとした場合、8月に予定されている経済シンポジウム、通称ジャクソンホール会議でパウエルFRB議長が何らかの考えを示す可能性が高い。そうなった場合には、ビットコインを始めとした暗号資産にも資金流入がみられる可能性も考えられる。

▶POINT
8月は暗号資産にとって相性が悪いがパウエルFRB議長の言動によってポジティブに動く可能性も。

【9月】
Xの万能アプリ化が加速か
決済機能実装で暗号資産対応にも注目

2022年10月、当時のTwitterを買収したイーロン・マスク氏は「Twitterを買うことは、X、すなわち万能アプリ『everything app X』を作るための加速装置だ」とツイートした。

月日は流れ、2023年7月にTwitterと青い鳥のロゴを廃止。ブランドを「X」へと正式に変更。そしていよいよ、2024年1月に個人間で送金する機能を始めると発表した。具体的な時期は示されていないものの、注目の的であることは確かだ。

もともと、決済大手PayPalの共同創業者でもあったイーロン・マスク氏は、決済領域への豊富な知見を活かし、Twitter買収直後に規制当局に金融サービス関連のライセンスを申請していた。決済アプリユーザーは基本的なKYCは完了していることが予想されるため、オンライン決済から暗号資産ウォレットへ進展する可能性までみえる。

現時点では暗号資産に対応する予定はないとマスク氏は言及しているものの、先にあげたPayPalも「個人間の金銭的自由は国家に制約されるべきではない」という信念から生まれたともいわれており、ビットコイン等のP2P決済の思想に似ていることもあいまって、夢物語では収められない雰囲気を感じる。

イメージとしては、リリースから7ヵ月で100万口座を達成したメルカリだ。100万人のうち8割が新規暗号資産ユーザーともいわれており、いかにKYCが完了しているユーザーの誘導が効果的かみて取れる。

オンライン決済から暗号資産決済という池に魚を移すことは、ゼロからユーザーを集めるよりもよっぽど簡単だろう。決済アプリとしての地位を確立した後に、暗号資産ウォレットへ進展すれば、よりエクストリームな万能アプリへと昇華していきそうだ。

▶POINT
現時点では決済機能における暗号資産対応に否定的も将来的な実装に引き続き期待。

【10月】
注目集まるリアルワールドアセット
今後に向け今からでも注視すべし

2023年、Web3.0領域における次なる注目ワードとして「リアルワールドアセット(RWA)のトークン化」が目立った。RWAとは、不動産や株式、債権や美術品など、現実世界で実際に存在している資産を指す。

ブロックチェーンを活用し、これらをトークン化することで、さまざまなメリットを享受することができる。たとえば、取引の迅速化や手数料軽減、そしてト ークン化されたことにより少量保有・取引が可能になる。

また、ブロックチェーン上で発行されることにより過去の取引履歴を永続的に記録できるほか、取引の透明性を担保しやすくなる。まさに、新時代の資産として多くの可能性を秘めた存在といえるだろう。

一般論として、RWAのトークン化がDeFiの成長に大きく寄与するといわれているが、現時点では規制面との兼ね合いもあり、どこまで市場拡大につながるかは不透明だといえる。しかし、DeFiを活用することにより個人や企業がこれまで以上に資金調達をしやすくなり、シームレスな取引を行えるようになるというメリットもあるため、今後の展開に期待したいところだ。 

▶POINT
RWAにはメリットが多く存在するがまずは規制整備が必要となる。可能性を秘めた新時代の資産として注目。

【11月】
再び大接戦が予想される米大統領選
Web3.0領域への影響は?

2024年11月5日に控えた米国の大統領選挙。投票まで1年となった昨年11月に公表された世論調査では、人口が多く投票の結果が選挙に大きな影響を及ぼすとされる6つの州の内、5つの州で前大統領のトランプ氏が優勢となった。

現時点では、共和党の候補者も決定していないため、暗号資産領域にとってのポジティブシナリオとネガティブシナリオをそれぞれあげたい。

ポジティブな展開としては、共和党で現在も候補者争いを続けているフロリダ州知事のデサンティス氏が候補者として選ばれ、体制の変更とともに米SECのゲンスラー委員長が2026年の任期を前倒しで退任というシナリオではないだろうか。

フロリダ州のマイアミ市長フランシス・スアレス氏は、2021年から自身の給与を100%ビットコインで受け取ると発表しており、デサンティス氏を始めフロリダ州全体でも暗号資産に好意的な姿勢をみせていることが理由だ。

ネガティブな展開としては、前大統領のトランプ氏が候補者として選ばれ、過半数を取れずにある種、議会が捻れたまま大統領に返り咲くシナリオ。トランプ氏は「アメリカファースト」を掲げ、大統領任期中にナスダックは史上最高値を更新したという功績もあるが、暗号資産のようなドルを脅かしかねない存在を嫌う傾向にある。

大統領選の結果次第では、もしかすると2024年の終わり以降に米国が目指したクリプトの中心地は、アフリカ等に移り変わっているかもしれない。分析企業のChainalysisによれば、ナイジェリアやケニア等では暗号資産取引が盛んに行われており、購買力と人口で加重平均した場合のP2P取引の普及率が高かったようだ。

▶POINT
世界経済にも関係する米大統領選は暗号資産に大きな影響を与える可能性あり。

【12月】
ビットコイン価格は12万5,000ドル到達か?
英銀行は2025年末の20万ドルを予想

2024年はビットコインにとってポジティブな要因が多いことから、大幅な価格上昇を予想する声が続出している。

暗号資産サービス企業のMatrixportは、ビットコイン価格が4月までに63,000ドルほどまで上昇し、年末には12万5,000ドルに達するとの見通しをレポートで示した。記事執筆時点で12万5,000ドルは1,815万円ほどだ。また、暗号資産投資企業のBitwiseはビットコイン価格が80,000ドルを超え史上最高値を更新するだろうとしている。その上で、2024年は「暗号資産がメインストリームになる時代」と強気だ。

伝統的な金融機関もビットコインについては明るい見通しを示している。

英金融大手のスタンダードチャータード銀行は、ビットコインが今年末までに10万ドルに達する可能性が高いと言及。ビットコイン現物 ETFの承認や半減期による影響もあり、2025年末には20万ドルに達する可能性があると指摘した。これは日本円で2,900万円に相当する。

ほかにも日本円にして1,000万円越えを予想する見方が多く見受けられる。すべてが順風満帆にいくとは限らないだろうが、2024年は価格動向を 追うのが楽しみな1年になるかもしれない。

▶POINT
毎年ビットコインの価格上昇予想が多く見受けられるが2024年は好要因重なり期待感高まる。


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