Web3.0業界の内外から大きな注目を集める「Web3.0×アイドル」プロジェクトの全貌に迫る。
——IDOL3.0 PROJECTの立ち上げに至った経緯、背景についてお聞かせください。
佐藤義仁(以下、佐藤):まず私自身が“アイドルヲタク”だったことが背景にあります。長年にわたりアイドルを応援していくなかで、ファンの気持ちとしていろいろな疑問や課題を感じていました。
私が長年務めてきた金融の側面からいうと、IEO(暗号資産を通じた資金調達)の法整備が進み、ブロックチェーンの技術的な進歩がみられてきました。そうした状況で、暗号資産やブロックチェーンを使うことで私が抱いていた問題や課題を解決できるのではないかと考えたんですね。
IEOによる資金調達でアイドルグループを立ち上げつつ、暗号資産やブロックチェーン等を活用したWeb3.0の要素を盛り込み、アイドル活動や推し活に展開できれば、今までにないファンとアイドルとの関係性を構築できると思い、そういったプロジェクトを推進していくために会社を立ち上げました。

——実際にプロジェクトを立ち上げてからご自身が感じたファン時代の考えと現実とのギャップを教えてください。
佐藤:そもそもアイドルファンの時やIEOを準備していた時は、資金調達をしてプロジェクトを立ち上げ、アイドルを育てて推し活を進めるという発想でした。私たちはもともと金融領域が専門で、現場は経験豊富な人たちの力を借りて運営しています。
オーディションのスタートから全国各地で説明会を開始しつつ、その間にオーディションに何度か立ち会うことにより運営サイドとしての現場を初めて知りました。その過程で1番心を打たれたのは、オーディションの候補者が人生を賭けていたことです。
卒業後に退職金を支給するとか、現役時でも卒業後のセカンドキャリアについて考えながらアイドル活動を続けていくなど、アイドルたちが常に不安を抱えていることは話も聞いていますし理屈ではわかっていました。
しかし、彼女たちが人生を賭けてアイドルを目指していくというのを身をもって実感すると、非常に鮮烈な思いを感じました。
ファイナルステージ進出者114名を初めて公の場でお披露目した8月以降、数々の公開オーディションを経て、10月7日に最終合格者を発表するイベントを開催しました。それまでの過程で、名前を呼ばれて嬉し泣きした候補者もいましたし、逆に名前が呼ばれず悔しそうな候補者もいました。
ファイナルステージに進出した候補者は29名。私たちはそこに残った全員に合格してもらいたいという想いがありましたが、現実はそういうわけにもいかず結果的に11名まで絞り込むことになりました。そこでも名前を呼ばれた人、呼ばれなかった人にわかれ、現実の非情さを大きく感じたところです。
これが本当の生身のアイドルオーディションだと実感し、改めてこれからのメンバーサポートの重要性を痛感するとともに身の引き締まる思いがしましたね。
——メンバーのケアについてはどのような対策をしていますか?
佐藤:何よりも体調管理ですね。WHITE SCORPION(ホワイトスコーピオン)のメンバーはほぼ毎週土日にレッスンや取材、イベントなど活動をしています。遠方から参加しているメンバーもいます。そういった生活になっていますので、体調面や精神面でのケアは重要です。今後はパーソナルドクターが付いてメンバーのフォローを行う予定です。
——プロジェクトの構想は5年ほど前からあったとお聞きしましたが、それからしばらくしてちょうど新型コロナウイルスのパンデミックと重なりました。その時はどう思いましたか?
佐藤:コロナ禍ではいろいろなライブやイベントが中止となり、それによりアイドル活動がかなり制限されましたよね。ファンも夢とか喜びや楽しみ、共感など、これまで得ていたものが1度すべてなくなってしまった。その後のアイドル活動や推し活もコロナにより大幅に制限がかかってしまいました。
その時に思ったのは、物理的に移動や接触がなくても済むようなライブやイベントがWeb3.0の技術を使えば可能になるのではないかということです。ですので、コロナ禍ではネガティブに捉えるのではなく、Web3.0の活用という点では逆にチャンスだと感じていました。
