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全国で広がる「ふるさと納税NFT」活用事例 スタバやバルセロナなどの海外発「NFTインセンティブ」も紹介

2024/02/06Iolite 編集部
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全国で広がる「ふるさと納税NFT」活用事例 スタバやバルセロナなどの海外発「NFTインセンティブ」も紹介

NFTを活用したふるさと納税返礼品と海外のインセンティブ事例

現在、地方自治体においてNFTの活用が広がっている。特にふるさと納税と掛け合わせた取り組みは注目を集めており、今後もますます事例は増えていきそうだ。また、海外においてもNFTにインセンティブを有した取り組みがいくつか見受けられる。

そこで今回、こうしたNFTの活用事例や今後の展望等についてまとめた。

急速に広がる地方自治体によるNFT活用

新潟県長岡市の山古志地域におけるNFTプロジェクト「Nishikigoi NFT」を皮切りに、地方自治体によるNFT活用が加速している。

「Nishikigoi NFT」は山古志の“デジタル村民”であることを示すNFTとして機能し、今やWeb3.0要素を活用した地方創生事例として著名な「山古志 DAO」を通じてさまざまな取り組みが進められている。

地方創生というと、近年注目度が高まり利用者も増加し続けている“ふるさと納税”を想起する人も少なくないだろう。ふるさと納税は生まれ故郷や自らが応援したい自治体への寄付を行える制度で、2008年より開始された。

寄付を行うことで自治体から返礼品として特産物を受け取ることができ、さらには寄付金のうち自己負担額の2,000円を超える金額については全額が控除の対象となるため、非常にお得な制度として活用されている。

そんなふるさと納税の返礼品として、現在NFTを用意する自治体が増えている。各自治体の名産品や観光地等とコラボしたデジタルアート、ゆかりのあるイラストレーターらによるオリジナルデザインのNFTなど、さまざまなものがある。

新潟県ふるさと納税NFT

特に、「Nishikigoi NFT」発祥の地でもある新潟県は、自治体によるNFT活用が非常に活発だ。新潟県三条市では、燕市との共通返礼品としてふるさと納税にNFTトレーディングカード「燕三条NFT 匠の守護者」を採用した。複数自治体が採用するNFTの共通返礼品は、この取り組みが全国初となった。

「燕三条NFT 匠の守護者」は燕三条にある工場を中心としたものづくり関連企業や団体を擬人化したもので、所有者には同地域で使用可能なイベント参加券や飲食店クーポンなどの特典を用意する。発表では、地方活性化に向け「燕三条DAO」とも連携すると表明していた。

また、新潟県粟島の粟島浦村ではふるさと納税を通じて「デジタル島民」になることができる「島民証明証NFT」を発行した。デジタル島民に対するインセンティブとしては、粟島におけるイベントの参加権や名産品である魚類及び酒、そして同地での取り組みを決めるための投票権などが付与される。

従来のように名産品を受け取れるだけでなく、自らが応援する自治体の未来を近い距離感で考えることができるというのは、ふるさと納税を利用する意味をさらに高める取り組みになるといえそうだ。なお、こうしたデジタル上の住民として権利を付与する取り組みは新潟県以外でも見受けられる。

●新潟市三条市「燕三条NFT 匠の守護者」

三条市と燕市で“ものづくり企業”を擬人化したNFTが誕生

地元企業を擬人化したキャラクターNFTでカードバトルできる、地元活性化プロジェクトが誕生。

新潟県燕市と三条市の地域活性化を目的とした取り組みとして、全国初となる複数自治体が採用する共通返礼品NFT。日本アニメ・マンガ専門学校の学生デザイナーが企画・デザインし、地元のものづくりに関わる企業や団体を擬人化したキャラクターをNFTトレーディングカードとして制作した。

所有者は同地域で使用可能なイベント参加券や飲食店クーポンなどの特典を取得できる。第1弾「建国のプレリュード」に続き、第2弾「黎明のスケルツォ」が販売され、キャラクターを聖地巡礼できる新機能が追加された。

▶今後の見通し
日本初の事例として誕生したNFTを通じて地域のポテンシャルを最大限引き出すとともに、地元企業とのつながりを生み出す取り組みとして注目。

●新潟県粟島浦村「島民証明証NFT」

「デジタル島民」となり島の未来を一緒に考える取り組み

デジタル島民を証明する「証明NFT」を手にすることで名産品を得られるだけでなく、島の未来を決めるための投票権も取得。

新潟県粟島裏村は、伝統行事や自然、名物料理「わっぱ煮」で知られる一方、人口減少問題に直面している。そこでNFTを活用して「デジタル島民証明証」と「島の壁画アート共同所有権」を発行した。粟島浦村の関係人口の創出と持続可能な未来を構築する狙いがある。

ふるさと納税の寄附者には、デジタル島民証明証として、壁画家のKensuke Takahashi氏と岩切章悟氏によって描かれ、実際の壁画アートをデザインに採用したNFTアートが提供される。また粟島アプリ「しりあい」を通じて島の未来を決める投票に参加できる。

▶今後の見通し
寄付金は主に粟島浦村の教育と子育てに活用されるなど、他都道府県からの子育て世代の移住等を通じた地域活性化にも期待。

佐賀県、鹿児島県ふるさと納税NFT

佐賀県鹿島市では、ふるさと納税における「鹿島デジタル住⺠NFT」の採用を開始した。このNFTを所有することで、鹿島市のイベント参加券、まちづくりの提案、投票権などを取得することができる。この取り組みを通じて、鹿島市は観光誘致や関係人口の創出を図り、最大のゴールとしては同市への移住を掲げる。

少子高齢化に伴い、鹿島市では特産品に関する承継などが困難になりつつある。そこで、デジタル住民NFTを通じて鹿島市に興味を持ってもらい、Web3.0などのデジタル技術を活用したあらたな形でのまちおこしで地域活性化を図る狙いがある。

同じ九州では鹿児島県薩摩川内市でもNFTを通じて誘致を図る取り組みが行われている。鹿児島県におけるふるさと納税品NFTとして初めて発行されたNFTアート「薩摩川内×カバードピープル」は、薩摩川内のお土産専門店で川内駅にある「駅市」で提示することで来訪記念NFTを取得可能だ。

同時に、駅市にてオリジナルグッズも受け取ることができる。コラボしたカバードピープルは“くだらないことにこそ価値がある”をモットーとし、個性的なタッチで描かれたキャラクターと独特な世界観が特徴なNFTコミュニティだ。

●佐賀県鹿島市「鹿島デジタル住民NFT」

デジタル住民NFTを通じて特産品の承継者問題を解決へ

イベント参加券、まちづくりの提案など、積極的に町と関われるような権利を付与し、最大のゴールとして鹿島市への移住を掲げる。

地域活性化プロジェクトとして、佐賀県鹿嶋市が「鹿島デジタル住民NFT」を発行した。人口減少を押し留め、高齢化などの課題に立ち向かい、地元の魅力、文化、歴史、食などを全国に広めると同時に、観光誘致や関係人口の創出を図る。

寄付したNFT保有者に“鹿島の応援団”として参加してもらい、イベント参加券、まちづくりの提案など、一緒に未来を考える取り組みを進める。最大のゴールとしては鹿島市への移住を掲げており、そのためにもWeb3.0などを活用したまちおこしに注力していく方針だ。

▶今後の見通し
NFT購入者がイベントに参加することで、鹿嶋市の魅力に気が付き、より接点を増やして関係人口を創出するための工夫を行っていく。

長野県ふるさと納税NFT

また、キャラクターとコラボしたふるさと納税の返礼品NFTとして、長野県飯綱町が採用した「飯綱町ふるさとCNP2023」も地域の魅力が詰まったインセンティブを用意している。

農業が盛んで、美しい田園風景やスキー・ゴルフ・キャンプなどのアクティビティフィールドを有する飯綱町を楽しんでもらうべく、「飯綱町ふるさとCNP2023」の保有者に対して、ペンションひまわり宿泊券「手作りピザ1枚付き、おとな1名・1泊2食付き」を特典として用意している。

このNFTは国内最大級のNFTプロジェクト「CryptoNinja Partners(CNP)」とコラボしたデザインがあしらわれ、CNPキャラクターのヤーマが採用されている。

飯綱町の特定の場所を訪れることでNFTの絵柄が変化する機能も有しており、寄付を行うことで自治体での楽しさとWeb3.0的な体験を同時に味わうことが可能だ。また、このNFTにはCryptoNinjaのコミュニティである「NinjaDAO」内のCNP保有者のみ参加可能なDiscordチャンネルの1ヵ月体験権利も付与される。

飯綱町の返礼品NFTはCNPのほか、NFTを活用した地方創生に注力する「あるやうむ」が全面協力して発行されている。あるやうむはNFTに特化した寄付受付サイト「ふるさと納税NFT」の運営も行っており、まさに返礼品NFTを手がける代表的な存在であるといえる。

北海道ふるさと納税NFT

そんな、あるやうむを代表する事例としては、ふるさと納税の返礼品NFTの火付け役ともいえる北海道余市町との取り組みだろう。

このNFTは「余市町ミニコレクティブルNFT」と称され、イラストレーターのPoki氏が手がけた。NFTのデザインは54種類が用意され、余市町の特産品であるワインを軸としたイラストが描かれている。その後、CNPとコラボした「余市町ふるさとCNP2022」は、返礼品NFTの発行数222個がわずか3分ほどで完売するなど、高い注目を集めた。

今後もあるやうむはNFTを活用した積極的な施策を展開するものとみられ、動向を注視すべきだろう。

●北海道余市町「余市町ミニコレクティブルNFT」

ふるさと納税返礼品NFTのブームを生み出したパイオニア的存在

ニッカウイスキー蒸溜所がある余市町があるやうむ、トラストバンクと提携して発行したふるさと納税NFT。

北海道余市町では、2022年5月7日から「余市町ミニコレクティブルNFT」をふるさと納税の返礼品として提供を開始した。この事例がふるさと納税NFTのブームに火を付けるきっかけになったことから、まさにパイオニア的存在であるといえる。

NFTを活用した地方創生に注力する「あるやうむ」の全面協力のもと実現し、同社における代表的な事例にもなった。余市町の特産品であるワインをテーマとして描かれたデザインは全54種類。NFT保有者には希少なワインの優先購入権が付与された。

▶今後の見通し
1つ12枚のNFTは即完売。その後発行した別のNFTも222個がわずか3分で完売しており、引き続きNFT活用で注目が集まることが想定される。

海外のNFT活用事例

NFTを活用する動きは海外でも活発に見受けられる。ここでは大企業が行うNFTを活用した取り組みについていくつかピックアップしていく。

まず、スポーツブランド大手のNIKEが買収したRTFKT(アーティファクト)では、特定のNFTの保有者に対して実物のスニーカーと交換できる権利を付与した。ナイキはほかにも「.Swoosh(ドット・スウォッシュ)」などWeb3.0に関する取り組みを強化しており、今後も自社ブランドとNFTを有効に活用したサービスを展開していく可能性がある。

また、Starbucksでは「Starbucks Odyssey(スターバックス・オデッセイ)」というNFTを活用したサービスを発表し話題となった。

このサービスは既存の「Starbucks Rewards(スターバックス・リワード)」と連携したもので、NFT化されたデジタルスタンプを集めることで限定イベントへの参加やコーヒー農園への旅行など、さまざまな特典が付与される。なお、現時点ではβ版が展開されており、さらに日本人は参加対象外となっている。

このほか、ファッションブランドのLOUIS VU ITTONやサッカー名門クラブのFCバルセロナなどもNFTを活用したユニークな施策を行っており、さまざまなインセンティブを持ちあわせている。世界的にインセンティブを有するNFTの活用が広まり、今後もこうした動きはますます加速していくものとみられる。

●NIKE「RTFKT(アーティファクト)」

NIKE傘下でデジタルファッション業界の中心的存在

デジタルスニーカーは発売されるや即完売。NFTマーケットプレイスでは常に高値で取引されるなど、デジタルファッション業界で存在感示す。

RTFKT(アーティファクト)はデジタルファッションに特化したNFTプロジェクト。ハイクオリティなデジタルスニーカーで人気となり、現在はデジタルファッションアイテム全般、アバター、トイも手がけている。

RTFKTが2021年3月に開催したバーチャルスニーカーのオークションでは、開始から7分間で310万ドルを売り上げた。同年12月にはNIKEがRTFKTを買収。NFT保有者に対し実物のスニーカーと交換できる権利を付与するなど、デジタルファッション業界で存在感を放っている。

▶今後の見通し
NIKE傘下に入ったことで注目度はさらに上昇。持続的な人気の末、RTFKTのブランド化が進む。

●スタバ「Starbucks Odyssey(スターバックス・オデッセイ)」

ユーティリティに重点を置いたスタバのNFTプロジェクト

Starbucks Rewards(スターバックス・リワード)と連携し注目度とインセンティブの魅力は今後ますます向上へ。

StarbucksのNFTプロジェクトとして大きな注目を集めた「Starbucks Odyssey(スターバックスオデッセイ)」。これは同社のNFTプロジェクト全体を指しており、ユーティリティに重点を置いている。

この取り組みでは、条件を達成すると無料で手に入れることができる「Journey Stamp」と、販売している「The Siren Collection」がある。

NFT化されたデジタルスタンプを集めることで限定イベントへの参加やコーヒー農園への旅行など、さまざまな特典が付与される。なお、現時点ではβ版が展開されており、さらに日本人は参加対象外だ。

▶今後の見通し
今後もユニークな特典が付けられることが想定され、世界的に注目を集めるNFTプロジェクトになる可能性を秘めている。

●ヴィトン「VIA トレジャー・トランク」

メゾン初となるデジタルトランクをもってWeb3.0領域に本格参入

LOUIS VUITTONの象徴的な商品であるトランクケースがモチーフとなったNFTは、日本円にして500万円以上の高値にも関わらず人気NFTとなった。

LOUIS VUITTONが2023年6月、メゾン初となる「VIAトレジャー・トランク」を通じてデジタルコレクティブルNFTを発表し、Web3.0領域に本格参入を果たした。

ブランドの高級感と伝統を象徴するプロダクトとして、現代のラグジュアリーと機能性を融合させたデザインが特徴だ。このNFTは譲渡不可能なSBTとして発行され、約586万円と高額でありながらも、LOUIS VUITTONが提供する限定商品や特別な体験へのアクセスを可能にするとして大きな注目を集めた。

なお、同年11月には同NFTの保有者を対象として、譲渡可能なデジタルコレクションを200個限定で販売している。

▶今後の見通し
トランクのみならず、今後も絶大なブランド力を活かしてさまざまなアイテムをデジタルコレクティブル化し人気を呼ぶ可能性。

●FCバルセロナ「Empowerment」

記念NFTは162ETHで落札され大きな話題を呼んだ

Web3.0領域での活動を積極的に展開する世界的名門クラブが、NFT等を通じてあらたなファン体験を創出する。

世界的名門サッカークラブのFCバルセロナはWeb3.0プロジェクト「Barça Vision(バルサ・ヴィジョン)」を展開している。

過去にこのプロジェクトでは名選手ヨハン・クライフ氏をモチーフとした「Masterpies-#1」や、プラスティック削減をテーマとした環境保護プロジェクト「Unleash Your Passion」などをリリースしてきた。

EmpowermentはMasterpieceシリーズの第2弾として登場し、女性の活躍をエンパワーメント(支援)することをテーマとしている。モチーフとなっているのは女性サッカー選手アレクシア・プテラス選手で、同選手と会ったり、着用したシューズをもらえる権利が付与された。

▶今後の見通し
今後もFCバルセロナはWeb3.0領域で積極的に活動していくことが見込まれ、新規NFTなどは注目を集める存在に。


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