自治体や教育機関の協力のもと、地方創生の施策としてWeb3.0に取り組む——
岐阜県といえば、日本のほぼ中心に位置し、飛騨山脈に囲まれ、木曽三川が流れる自然豊かで風向明媚な土地であることが特徴だ。
日本の伝統を感じられる古き良き町並みや日本三大名泉「下呂温泉」など、魅力的な観光スポットが多く、毎年多くの観光客が訪れている。そして最近では、Web3.0関連の取り組みも積極的に行っている。
現在、地方自治体によるWeb3.0関連の取り組みが各地で盛んになってきているが、そのなかでも岐阜県は他県の取り組みと比べて、よりユニークな取り組みを行っている。
GIFU NAKASENDO WEB3.0 PROJECT
まず岐阜県の一般社団法人岐阜県観光連盟が岐阜県内を横断する中山道を県の魅力の1つとして世界に発信すべく取り組んでいるのが
「GIFU NAKASENDO WEB3.0 PROJECT」だ。このプロジェクトは岐阜県観光連盟とクリエティブコラボを軸に企画立案運営を行う株式会社ワールド・コラボ・ジャパンとWeb3.0事業を展開する株式会社THE FIVE が共同で2023年9月15日より開始したものだ。
実際に中山道の妻籠宿から御嶽宿までの指定された8つの宿場にてスマートフォンアプリをかざすことで、歌川広重や渓斎英泉による浮世絵のデジタルアートNFTを期間限定で獲得できるというものだ。
また、世界中の人たちが「中山道」の魅力を語り合えるオンラインのファンコミュニティをDiscord(ディスコード)内に開設し、ファン同士の交流の場を提供している。
そのほかにも、同年11月には中山道周辺のグルメをテーマに「ぎふ中山道グルメマスター」なる企画を開催するなど、同プロジェクトを通してさまざまな取り組みを行っている。
岐阜女子大学メタバース
日本三大名泉の1つ「下呂温泉」で著名な岐阜県下呂市では岐阜女子大学と共同で2022年7月より岐阜女子大学メタバース利活用プロジェクト「メタバースに学びの世界を」を運営している。
このプロジェクトは市町村と連携したメタバースの研究と利活用、学生のためのDXなどデジタル分野における学びの場の創設、個人に応じた遠隔協働学習教育やクリエイティブな学びのための環境構築を目的とする。
メタバース内に岐阜女子大学と下呂市を設置し、岐阜県地域資料コンテンツとe-Learningシステムを接続して、教育利用と観光DXを図っている。実際にメタバース上では下呂温泉の観光名所を紹介する観光案内所や自動車組立工場を再現。そのほか、今後は多言語への対応やモーションキャプチャーの精度を高め、実用を目指すとしている。
岐阜商業高校クレカ×NFTクーポン
県立岐阜商業高校では同国の生徒が運営する株式会社GIFUSHOより高校生が運営する日本初のクレジットカード「GIFUSHOカード」の発行を2024年2月より開始したことで話題となった。
このプロジェクトは地元の店舗や企業と協力して地域経済の振興を目指すとし、今後は岐阜市周辺地域の店舗で「GIFUSHOカード決済キャンペーン」を実施する予定。
NFTウォレットを備えたナッジカードアプリを活用して、卒業生や保護者がQRコードを読み込むと限定NFTやクーポンが入手できる施策を計画中だ。
また、GIFUSHOカードの利用データ(利用店舗、金額、年齢層、日時など)を今後の金融教育に活用しつつ、GIFUSHOのあらたな施策にも活かしていく予定であるとしている。
Web3.0×お菓子
このように岐阜県では地元教育機関と自治体が協力して積極的にWeb3.0事業に取り組んでいる。その一方で、地元を代表する企業などもWeb3.0事業に積極的だ。
岐阜県中津川市の老舗和菓子屋「新杵堂」は同社グループの企業理念「お菓子で人々を幸せにする」を邁進すべく、2022年8月にWeb3.0及びメタバース上でのEC事業・NFT事業への参入を発表。
同年9月にメタバース上に新杵堂SHOP『SHINKINEDO Metaverse Shop』をグランドオープンさせた。すでにNFTの発行・販売をOpenSea上で行っており、今後はバーチャルとリアルのECショップなどを展開し、NFT及びスイーツの販売とデリバリー対応サービスを開始するしている。
ロイヤル劇場思いやるプロジェクト
岐阜市柳ヶ瀬商店街には全国唯一の35mmフィルム専門映画館「ロイヤル劇場」がある。
コロナ禍による興行収入の減退や施設老朽化による改修費用の増加により存続の危機に扮していたが、2023年12月よりFintertech株式会社が運営するクラウド型応援金サービス「KASSAI」のNFTプロジェクト第1弾としてロイヤル劇場存続に向けたプロジェクト「ロイヤル劇場思いやるプロジェクト」が開始されている。
このプロジェクトは岐阜新聞映画部が中心となり進められ、フィルム映写機の修復やスクリーンの張り替えといった設備費と映画に関わる企画運営費をクラウドファンディングで募っている。
クラウドファンディングの返礼品として、35mmフィルムで上映する作品を選定できる権利などをNFTで発行するとしている。
支援者はウォレットを保有していなくても、メールアドレス認証のみで気軽にNFTを受け取れるといったあらたな試みも行っており、クラウドファンディングとNFTを利用した画期的な企画として注目されている。
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