写真を撮って稼ぐ「Snap to Earn」というあらたな概念を持ったブロックチェーンゲーム『SNPIT』。早くも注目を集める同タイトルを巡り、どのような経緯から生まれたのか、また今後の展開、目指すビジョンについて座談会という形で各々に思いの丈をぶつけてもらった。
ギグワークス傘下のガルシスとチューリンガムが共同開発して2023年にリリースされたあらたなブロックチェーンゲーム『SNPIT』。スマートフォンのカメラ機能を使用し、より良い写真を撮った方が勝利できる「Snap to Earn」という発想は、そのわかりやすさから今後ますます広がりをみせる可能性を秘めている。
今回の企画では、そんなSNPITを手がけるガルシスとその親会社であるギグワークス、そしてチューリンガムのトップたちに集まってもらい、プロジェクトの今後の展望やWeb3.0領域において重要となる「マーケティング論」などについて、本誌に本音を語ってもらった。
参加人口10万人、20万人という規模ではなく1,000万人、1億人をグローバルから呼び込んでいく
――まずはSNPITを開発、さらにはSnap to Earnというジャンルを発想するに至った背景・経緯についてお聞かせください。こちらは大塚さんと三瀬さんが主軸となって作られたとのことですが、いかがでしょうか?
大塚敏之(以下、大塚):SNPITに関していうと、我々はもともとpictier(ピクティア)という別のカメラアプリを作っていて、当初は「世の中にあるまだデジタル化していない広告を撮ることで報酬を得る」といったような、今とは全然違う形のSnap to Earnのモデルを作ろうとしていたんですよ。
ですが、その構想が出始めた頃にSTEPN(ステップン)が流行りだして、それに私がハマって結構やっていたんです(笑)。そんな時に、村田から「これはカメラ版STEPNにした方がいいんじゃないか」と意見をもらい、そこからスタートしました。
そこでブロックチェーンゲームにしようとなった時に、トークノミクスなどで専門的な知見を持っているチューリンガムさんに相談して進めた方がいいだろうということで現在の形でプロジェクトをスタートさせました。
三瀬修平(以下、三瀬):最初お話を聞いた時、非常に面白い取り組みだなと思いました。
大塚さんの考えをお聞きしていると、STEPNに広告をうまく絡ませて、長く社会のインフラ的に使われるようなものを目指しているということでしたので、それを持続的に支えていけるような仕組みを作れないかなと思い、ぜひ一緒にやらせてくださいという形で今に至ります。企画から開発までも比較的スムーズに進んだのではないかと思います。
大塚:たしかにそうですね。最初にご相談をさせていただいてから動き出したのは去年の5月ぐらいで、プロジェクトとして表に出して8月から少人数でのクローズドベータ版を開始したという流れでしたので、そこまではトントン拍子だったかなと思いますね。
――SNPITの開発やトークノミクスなどを設計するにあたり、こだわった点や苦労した点、ほかの「X to Earn」と違う点などについてはどのように考えていますか?
大塚:過去のブロックチェーンゲームの課題を踏まえた上で、もともと我々はトークンの発行上限は設けない形を考えていたんですが、三瀬さんから「発行量を定めた方がいいよね」というアドバイスをいただき改めました。
事業を持続的、かつインフレやデフレの影響を受けず長期的にできるようにするというところはずっと議論しながら進めているところです。
三瀬:STEPNが出たタイミングではさまざまなプロジェクトがデュアルトークンモデルを採用していたのですが、これはデメリットも大きいので、最初にお話させていただいた時に特に議論をさせていただきました。
結果的にシングルトークンの方がより価値を残しやすいですし、大塚さんの目指す未来に合致しているなというところで、このような形となりましたね。
――三瀬さんから「大塚さんの目指す未来」というお話が出てきたのですが、少し詳しくお聞かせください。
大塚:Web3.0はデータを各々が保有することによって、そのプロダクトに貢献したらちゃんと恩恵を受けられるという世界なのでそこがいいなと思っています。しかし、ずっとユーザーが広がり続けないと持続性がないのも事実です。
結果的にその離隔は起こっていくことになると思うので、その離隔以上にユーザーの入りがないとなった時、プロダクトの恩恵をユーザーが受けられるのかということをずっと考えています。
インターネットの大きな転換期で捉えたら、Web2.0からWeb3.0に変わったことによってその恩恵を受けられる世界にしないといけないと思うんです。そうなると、今の10万人とか20万人が最大の規模になるブロックチェーンゲームで止まってしまうと意味がないですよね。
これを1,000万人とか1億人ぐらいの規模にまで持っていく必要があります。そう考えた時に、1,000万人、1億人というユーザーがSNPITのなかに入ってきてくれて、その貢献度合いでトークンがもらえ、かつ生活が潤うような手助けになったらいいなと思います。
それぐらいの規模を目指しているのですが、逆にそれぐらいの規模にならないとインパクトがあまりないと考えています。
三瀬:SNPITのすごくいいところって、写真そのものの価値と向き合うところなんですよ。
たとえば、SNSだとフォロワー数であったり、インフルエンサーの発信力というところに依存してしまうんですが、SNPITは1枚の写真をみて、その写真に価値があるかどうかを判断していくので、そこにどれだけの価値があるかを測ることができるモデルなんです。
現時点で影響力がなくても、本当に良い写真を撮ればバトルで勝ち上がって有名になったりだとか、1つテーマを決めてさまざまな人たちが同じような写真を撮って価値のあるものを競い合ったりできるので、SNPITはそこに無限の可能性を秘めていると思います。
いわゆるブロックチェーンとか暗号資産というのは価値の流動性を担保しているものなので、その価値がどこにあるのかという問題が重要だと私は思っていて、SNPITはそこにちゃんと向き合っているプロジェクトだと思っています。