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メルカリを世界で1番暗号資産が実際に使われる場所に—— メルコイン 中村奎太

2024/03/31Iolite 編集部
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メルカリを世界で1番暗号資産が実際に使われる場所に—— メルコイン 中村奎太

メルカリとして次なるステージ「見つかる」に挑戦

2023年3月に満を持してビットコイン取引サービスを開始したメルカリは、わずか7ヵ月で利用者が100万人を超えるなど、国内暗号資産業界において一躍注目の存在となっている。

躍進の中心にいるのは2023年4月にCEOに就任した中村奎太氏。就任から1年を迎えるなか、ついに提供が開始されたビットコイン決済に秘めた想いや、メルカリの今後の戦略、展望に迫る。

2023年の躍進を導いた若きCEOが語る今後

――昨年4月にCEOに就任されてからまもなく1年ですが、ここまでのサービス展開や事業を振り返りどのような1年でしたか?

中村奎太(以下、中村):NFTや暗号資産は結構波があったので、ちょうど僕が就任する前やメルコインのサービスをリリースする前のタイミングが1番ダウンしている状況で、かなり苦しい状況だったと思います。

けれども、そのなかで僕らがスタートしてから徐々に勢いを増していき、現物ETFが去年の終わりぐらいから盛り上がり始めるなかで、国内においてはマスアダプションという立ち位置を明確に示すことができた。そんな1年だったかなと思っています。

――この1年を振り返ってみて大変だったこととかありましたでしょうか?

中村:大変だったというよりは、想定していたよりも業界のスピード感も上がってきたし、僕ら自身もいいスピード感でお客様に受け入れられてもらったというところがあるので、どちらかというと次の一手のスピード感を早めるというところが僕らにとっては逆にプレッシャーでしたね。

なおかつ、それをしっかり意味のあるものにしたいというのが考えるべき内容ですし、そこにかなり時間を割きました。

――顧客調査からもユーザー支持が高いことがうかがえるのですが、その要因としてはどのようなことがあげられますか?

中村:これまでオンボードされてないお客様に対して、どこがハードルで、どうしたら超えられるのかということにとにかく向き合いました。

たとえば口座開設は大変そうだ、やってみたいけどなんか怖い、そのように考えている人たちに向けて、そういった課題を取り払うというところを中心にサービスを設計しましたし、コミュニケーションしてきたというのが1番大きいかなと思っています。

たとえば、口座開設が最短30秒で終わるとか、これはほかの交換業者を見渡してもみたことない体験だったと思うんです。そういう意味では革新的かなと思いますね。

わずか7ヵ月で利用者数100万人突破
ビットコイン決済開始でさらなる躍進か

――実際にビットコインを使うというところで決済サービスを発表されましたが、このサービスで求める成果とビットコインを使う意義を改めてお聞かせください。

中村:やはり「ビットコインって何?」というところが大事なポイントだと思っていて、僕らもサービスのなかで暗号資産としての持ち方、使い方みたいなところをしっかりみせたいというのがバックグラウンドとしてはあります。

ですから「何のために持つの?これで何がきるの?」というお客様に対して用途を示すのが先決かなというところで、まず決済を導入したという形です。この決済サービスを通じて、お客様に用途や暗号資産の概念を理解していただくことで、あたらしく参入してもらうきっかけになれば良いなと思いますね。

――メルカリにおいてこの決済サービスが使われる割合がどの程度いけばいいなという目標みたいなものはありますか?

中村:そこに関してははまだ全然みえていなくて、きっかけとしてお買い物で使っていただき、暗号資産の概念自体を楽しんでもらえればいいかなと思ってはいるので、決済比率みたいなところを指標には置きたくはないと考えています。

それよりは促進というか、ビットコインを活用できるという概念自体が広まることが、すごく重要かなと思っています。

 

――昨年のインタビューでは「次の対応銘柄はイーサリアムかな」といったお話をされていたと思いますが、その辺りは加速度的に増やしていきたいイメージでしょうか?

中村:僕らもチャレンジはしていきたいな考えています。しかし、ほかの交換業者さんがやられてるような、毎年5~6銘柄増やしていきますといったことにはならないと思いますね。

 

――そこはユーザーのユーティリティの部分で厳選、選定していくイメージでしょうか?

中村:そうですね。やっぱりユーザーは多ければ多いほど迷うし、よくわからないと思うんです。

僕らのコンセプトはやっぱりずらしたくないですし、初めて暗号資産に触れる方々に対してのサービスであるべきだなと思っているので、どういう概念なのかを理解できるような、持つことで意味があるというのをちゃんと理解できるような、そういう構造にしていきたいなという想いはあります。

――メルコインでは今後「見つかる」に注力していくとのことですが、改めてこの「見つかる」という部分についてお聞かせください。

中村:今僕らがやっていることは、Web3.0やブロックチェーンなどのテクノロジーの入口のさらに入口を作っている感じで、この第一歩をまず踏み出してもらうというのが役割であると思っています。

ただ、ここを階段として、次のステップ、Web3.0の世界に徐々に踏み込んでほしいなというようにも思っていて、暗号資産として「見つかる」というのも非常に重要かなと考えています。あともう1つは、やっぱり僕らも暗号資産以外の領域にも明確にチャレンジしていきたいなという想いです。

――デジタルアセットの保有と利用に目を向けていきたいという話をもされていましたね。

中村:デジタルアセットに目を向ける時にコアとなるのはNFTだとは思ってはいるのですが、これもまだコレクタブルの領域から進化の途中ですので、何ができるのかを模索しているところです。

ただ、Web3.0ゲーム、ブロックチェーンゲームが出てきたりだとか、NOT A HOTELさんのように権利を実際トークンに付与するといったように、ユーティリティが明確なものが今年から徐々に出てくると予想しているので、そういったものをメルカリのなかで扱えるようにしていくというのがやるべき部分だと思います。

その展開を広げていくというのが構想としてありますし、ここで掲げている「見つかる」「使える」といったストーリーにもつながっていくと考えています。

「見つかる」から「見つかっていく」に広げ、見定めながら対応銘柄の取り扱いや投資的ニーズ等に応えていきたい

――「見つかる」の次に描いているビジョンなのでしょうか?

中村:僕らとしては「見つかっていく」というところで幅を広げていきつつ、ユーティリティを実感していただくという部分を実現していくことだと思います。

それはビットコイン以外の暗号資産を増やしていくのもそうですし、お客様にとって投資的な領域に用途があるというのも事実なので、そういったニーズに応えられるようなものも徐々に考えていきたいと思います。

――XJPYやXUSDの共同検討に参画されていますが、どのような意図、目的から参画を決めたのでしょうか?

中村:1番大きなところは、国内でステーブルコインが法整備されたことですね。

僕らもステーブルコインはまだお客様にとって直接的にメリットのあるソリューションではないと思っているのですが、その一方で中長期的にどういうタイミングでどのように導入していくべきなのかを考えていく必要があると思っています。

そのためには自分たちも活用して、それをワーキンググループも含めていろいろな人たちとコミュニケーションをとって一緒に考えていくことも重要です。ある種その目的のために参画したというのが1番大きいかなと思います。

この取り組みにはProgmatさんや三菱UFJ信託銀行さんといった豊富な知見を有するプレイヤーがいますので、彼らと組むことでよりこの深いところでステーブルコインについて検討していけるんじゃないかというのが背景としてはあります。

日本だけじゃなく、
グローバルからも注目されるような会社にしていきたい

――中村さんが捉えている現在のWeb3.0領域の状況をお聞かせください。

中村:個人的にはいわゆるNFTやデジタルアセットといった領域と暗号資産というところで大きく2つにわけられると考えています。デジタルアセットに関してはユーティリティが明確で、活用することで価値があるNFTなどがこれから一気に増えていく、というか増えないと流行らないと思うんです。

業界としてもそれに気付いたこれまでの2,3年なのかなと感じているので、みんながここに対して向き合ってくれることをすごく期待しているし、向き合い始めてもらっているっていう状況にあるかなと捉えています。

だからこそ、NOT A HOTELさんたちがやっているような取り組みは共感できる部分がありますし、僕らのサービスとの相性もおそらくいいだろうと思います。

また、ブロックチェーンゲームもお金稼ぎとしてのゲームのような時代から、ゲームとしてまず面白いというところに目を向けていく時代に少しずつ変化してきたと思っていて、実際に大手のゲーム会社さんたちがグローバルで動き始めているので、今年から来年にかけて大きく変わるんじゃないかなとみています。

僕はそういったことはテクノロジーが牽引すると思っているのですが、その時に重要なのがインフラであり、なおかつ、いかにライト層のお客様が入りやすいようにハードルを下げるのかが重要で、僕らはそこを担っていきたいと考えています。

それと、今年はそこに対して日本だけじゃなく、グローバルからも注目されるような会社にしていきたいという想いがあります。

――最後に今後の展望、2024年に成し遂げなければならないと考えるミッション・目標をお聞かせください。

中村:明確に目指したいと思っているのは、『グローバルで1番暗号資産が実際に使われる場所にする』ことですね。

国内の暗号資産の盛り上がりだけを牽引するというだけじゃなく、世界からみた時もWeb3.0のなかですごいなと思ってもらえるような成果と、この国におけるパーセプションを変えることにチャレンジしたいという気持ちが多くを占めています。

それともう1つはデジタルの領域ですね。暗号資産というところからデジタルアセットに進み出すところは今年の大きなチャレンジの1つだと思っているので、暗号資産とデジタルアセットという両軸をやっていきたいと考えています。


Profile

中村奎太|Keita Nakamura
株式会社メルコイン CEO
大学在学中にインターン生としてサイバーエージェントでプログラミング教育サービスの立ち上げや、DeNAで動画サービスでの感情分析基盤導入などを行う。その後、メルカリの研究機関「R4D」にインターン生として参加。2018年に新卒入社後はブロックチェーンエンジニアとして、R4D内で進められていた「mercariX」プロジェクトに携わる。その後、グループ会社であるメルペイへ異動し、分散台帳開発やAML SYSTEMチーム、金融新規事業(Credit Design)にてPMを担当。2021年4月よりメルコインに所属し、Product部門のDirector、CPOを経て、2023年4月より現職。現在30歳。


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