2023年3月に満を持してビットコイン取引サービスを開始したメルカリは、わずか7ヵ月で利用者が100万人を超えるなど、国内暗号資産業界において一躍注目の存在となっている。
躍進の中心にいるのは2023年4月にCEOに就任した中村奎太氏。就任から1年を迎えるなか、ついに提供が開始されたビットコイン決済に秘めた想いや、メルカリの今後の戦略、展望に迫る。
2023年の躍進を導いた若きCEOが語る今後
――昨年4月にCEOに就任されてからまもなく1年ですが、ここまでのサービス展開や事業を振り返りどのような1年でしたか?

中村奎太(以下、中村):NFTや暗号資産は結構波があったので、ちょうど僕が就任する前やメルコインのサービスをリリースする前のタイミングが1番ダウンしている状況で、かなり苦しい状況だったと思います。
けれども、そのなかで僕らがスタートしてから徐々に勢いを増していき、現物ETFが去年の終わりぐらいから盛り上がり始めるなかで、国内においてはマスアダプションという立ち位置を明確に示すことができた。そんな1年だったかなと思っています。
――この1年を振り返ってみて大変だったこととかありましたでしょうか?
中村:大変だったというよりは、想定していたよりも業界のスピード感も上がってきたし、僕ら自身もいいスピード感でお客様に受け入れられてもらったというところがあるので、どちらかというと次の一手のスピード感を早めるというところが僕らにとっては逆にプレッシャーでしたね。
なおかつ、それをしっかり意味のあるものにしたいというのが考えるべき内容ですし、そこにかなり時間を割きました。
――顧客調査からもユーザー支持が高いことがうかがえるのですが、その要因としてはどのようなことがあげられますか?
中村:これまでオンボードされてないお客様に対して、どこがハードルで、どうしたら超えられるのかということにとにかく向き合いました。
たとえば口座開設は大変そうだ、やってみたいけどなんか怖い、そのように考えている人たちに向けて、そういった課題を取り払うというところを中心にサービスを設計しましたし、コミュニケーションしてきたというのが1番大きいかなと思っています。
たとえば、口座開設が最短30秒で終わるとか、これはほかの交換業者を見渡してもみたことない体験だったと思うんです。そういう意味では革新的かなと思いますね。