「ミスビットコイン」の愛称で知られる藤本真衣氏。イーサリアムの分散性や安全性をそのままに、手数料を安くするということをミッションにした「INTMAX(イントマックス)」を通して、世界の人々に財産権を与えることをミッションとした、彼女のあたらしい挑戦に独占取材を通して迫った——
社会課題の解決を目指したきっかけ
——藤本真衣さんの現在の活動をお訊かせください。
藤本真衣(以下、藤本):現在「INTMAX(イントマックス)」というイーサリアムのレイヤー2プロジェクトに注力しています。
イーサリアムは、多くのユーザーが利用する際に限られたリソースを共有するため、手数料(ガス代)が高騰するという問題があります。これはイーサリアムの経済圏の拡大(スケーラビリティ)にも影響しています。
なかにはブロックチェーンは分散性を犠牲にして手数料を安くする戦略を取っているチェーンもあります。しかし、本来のブロックチェーンの良さを維持する為に分散性を維持しつつ、手数料を低く抑えるべきだと思っています。
イーサリアムの分散性や安全性をそのままに、手数料を安くするということをミッションにしたのが「INTMAX(イントマックス)」です。

——現在に至るまでの経歴についてお聞かせください。
藤本:大学時代には教育関連の仕事をしていました。学校に行けないお子さんや勉強が苦手な子供達を対象とする家庭教師の会社でしたので、さまざまな悩みを持つ方々と接しました。
この仕事を通じて、勉強ができるようになり学校に行くきっかけになったという方々を間近でみて、非常にやりがいを感じました。
その経験がきっかけで、19歳の時に大学を中退し、その後約7年間家庭教師の仕事に従事することになります。
ありがたいことに家庭教師のお仕事は、自分のなかでも納得のいく結果を出せました。26歳になった頃、もっと大きな社会の課題を解決する仕事につきたいと思いました。
もちろんそれまで関わってきた勉強で悩んでいる子供達の悩みが小さいとはいいません。
しかし、毎日生きていくということ自体に問題を抱えている子供達が世界にたくさんいることを知り、「自分が何かできないかな?」と思い始めたのです。
そこで「キッズ時計」を運営するアイキッズ株式会社にお世話になることになりました。
その会社では子供の笑顔を軸に世界をつなぐウェブコンテンツを提供していたのですが、ちょうどその頃に東日本大震災が起こった事がきっかけで、支援を求めている世界中の子供達を支援する寄付プラットフォームを立ち上げていたのです。
プロジェクトを進めるなかで、寄付を集めたり送ったりする際に、団体のみに寄付するのではなく個々人への支援を目指しましたが、送金手数料の高さが課題となっていました。
海外の送金手数料は1回送るのに約7,000円。時間も手間もかかります。そんな時にビットコインと出会い、圧倒的に低い手数料(10円前後)と手軽さに感動しました。
この出会いがきっかけで、起業の準備を進め、株式会社グラコネを設立し、東京に拠点を移しました。その後、暗号資産寄付プラットフォーム「KIZUNA」を設立することになります。