——昨年8月に協業を発表されましたが、具体的にはどのような領域・事業において連携を進めていくのでしょうか?
舘林俊平氏(以下、舘林):主に2つがあります。DEAさんはもともとブロックチェーンゲーム(BCG)の開発に注力してきました。BCGは、Web3.0の普及において重要な役割を果たしています。私たちはこのBCGを一般層に広めるための支援をしたいと考えています。
KDDIとしては、すでにマーケットとウォレットの開発も行っていますので、私たちの「αU market」との連携が可能だと思います。もう1点は、私自身がDEAさんに興味を持ったきっかけになったものでもあるのですが、ブロックチェーンを活用した社会課題解決の可能性を探求する活動のサポートです。
DEAさんはこの分野での取り組みをすでに始めており、この革新的なアプローチに魅力を感じています。共同で取り組めないかと考えていたこともあって、このプロジェクトから生まれるNFTをαU marketで扱うなど、パートナーシップの構築や共同でのスケールアップを目指す点で、協力できればと思います。
山田耕三氏(以下、山田):舘林さんからは、解像度が非常に高い反応を得ています。
たとえば、東京電力パワーグリッド、GGGとの電柱撮影ゲームなど、ゲームを通じた課題解決の話をすると、多くの方が驚かれますが、舘林さんは自ら積極的にこれらに取り組んでおり、私たちの活動を深く分析し、貴重なフィードバックをくださっています。
彼の理解とサポートによって、私たちの取り組みが広く認知されるようになり、非常に心強いです。
Web3.0分野で実際に事業を展開し、社会問題への取り組みも行っている成熟したスタートアップは確かな着地点を持ちながらブロックチェーンの可能性を広げる
舘林:DEAさんに対する最初の印象は、すでにBCGを開発しトークンを発行済であるなど、Web3.0分野で実際に事業を展開し、社会問題への取り組みも行っている成熟したスタートアップでした。しかし、山田さんとの対話を通じて、この「成熟したスタートアップ」には、ブロックチェーンの無限の可能性を真に信じる、良い意味での遊び心があることがわかり、非常に興味深く感じました。
毎週のようにミーティングを実施していますが、その会話からは、さまざまなアイデアが生まれ、解決策へとつながる点が魅力的です。成熟しつつもあらたな可能性に目を輝かせるこのバランスがすばらしいと思います。
この確かな着地点を持ちながらブロックチェーンの可能性を広げるDEA社は、新規事業の機会に多角的にアプローチできるすばらしいパートナーだと考えています。我々は150社以上に投資していますが、経営者として常に新鮮な視点を保つことの重要性をDEAさんは体現していると思います。
山田:舘林さんと話していると、逆にあたらしいアイデアを提案していただけることも多いです。
たとえば、ロボット掃除機が段差で詰まった際に、少し押して助けるという作業をゲームで展開しても面白いといったアイデアです。このように縛りのない柔軟な考えを持っている方だと感じています。
舘林:KDDIでの新規事業開発に関しては、自らが企画することよりも、協力者でありサポーターであるというスタンスです。Web3.0に関する事業を自発的に始めるというよりは、特定分野に全力を注いでいる経営者の方々の深い思考に敬意を払って一緒にスケールするお手伝いをしていきたいという考えです。
フルタイムで取り組んでいるスタートアップの経営者の考えや知識は、兼業のサラリーマンよりもずっと深い。そのため、そういった方々のアイデアを共に育てていくべきだと考えています。これは私たちにとってあらたな事業機会になり、彼らにとっては必要なサポートを提供することになります。
私が思いつくアイデアも、山田さんにとってはすでに何ヵ月も前のものかもしれません。市場に精通した経営者と共に歩んでいきたいと思っています。
山田:多くの人が、弊社の遠隔でゴミを分別するゲームに関して、「そのうちテクノロジーの進化で改善されるでしょ」といった反応を示すことが多いですが、実はその本質は異なります。
この取り組みは、将来的にゴミだけでなくさまざまな物を遠隔操作で扱うことを可能にし、Web3.0を通じてなめらかに報酬を還元することにあります。KDDIにはこの真の目的を深く理解し、ほかの企業にもその意義を伝え広めていただいていることに、大変感謝しています。