——「GMO AI & Web3株式会社」は、AIに注力していく観点から2023年5月24日付で「GMO Web3株式会社」より社名を変更する形で現在に至りますが、あらためてGMOインターネットグループとしてAIに注目する理由についてお聞かせください。
内田朋宏(以下、内田):GMO Web3株式会社を立ち上げたのは2022年6月30日で、その年はWeb3.0の年といっても過言ではありませんでした。多くの若手起業家もWeb3.0で企業を行うなどすごく盛り上がっていた時期です。GMO Web3株式会社は、まさにその波に乗るべく設立しました。
しかし、2023年に入るとWeb3.0よりもAIに対する熱の方が強まりました。そこで現状を踏まえ我々は「これからは生成AIの時代だな」と考え、AIに注力することとなったのです。現在の状況というのは、いわゆる『インターネット革命』の前半戦が終わった段階です。
ではインターネット革命の後半戦は何かというと、『AI革命』だと考えています。インターネット革命が始まった年はWindows95が登場した年、1995年です。一方で、AIブームの火付け役となったChatGPTは2022年11月30日に登場しました。
産業革命は55年続くといわれていますが、これに当てはめると、2022年11月というのはちょうど27.5年、折り返しの年なんです。つまり、後半戦に差し掛かったタイミングでChatGPTは登場したわけですが、我々はこれを運命的なものだと感じました。
GMOインターネットグループはこれまでIT企業として戦ってきましたが、今後は『AI企業』にならないと勝てないと考えています。
AIの普及で変わる世の中
——AIの普及に伴い、どのようなことが身の回りで変化すると思いますか?
内田:生成AIで何が変わるのかというと、人々の働き方なんです。それは突き詰めるとビジネスの戦い方が変わるということなんですね。直近のGAFAMの決算をみると、共通しているのはレイオフ、つまり従業員削減を行っている点です。そして浮いた資金でGPUに投資を行うという傾向が強まっています。
つまり人件費に費やすよりも、GPUに資金を投じた方が儲かる可能性が高いという考え方ですね。
変化という点では、今後はGoogle検索を利用するのではなく、ChatGPTやAIに尋ねる時代に移り変わっていくでしょう。Googleで検索するよりも、たとえばGoogleが提供するGeminiに聞いた方が早いという時代が来たとしたら、それは我々にも影響してきます。
我々GMOインターネットグループではドメインやインターネット広告等、インターネット検索に関連したビジネスを行っています。極論ですが、検索がなくなってしまうと我々が“岩盤ストック収益”と呼んできた基盤が大きく崩れ去ることになります。
少なからず、AIの登場でそうした可能性が出てきたということで、我々は非常に危機感を感じています。ですので、我々は仕事のスタイルもガラリと変える必要があると考えています。
GMOインターネットグループでは昨年から『AI活用No.1企業グループ』を掲げ、2024年からは『AIで未来を創るNo.1企業グループへ』のスローガンのもと、AIを従業員全員で活用しようとしています。実際、大半の従業員が現在AIをツールとして日常的に活用していて、ChatGPTはもちろん皆が使っています。
先ほどのGAFAMの話に関連すると、米国のハイテク企業ではレイオフのラッシュとなっています。一方、日本は労働基準法により簡単に解雇することはできませんし、GMOインターネットグループの代表である熊谷の言葉を借りれば、我々は雇用責任を強く感じていますので、簡単に従業員を解雇することはしません。
では今後どうしていくかというと、全パートナーがAIを活用できる人材、つまり『AI戦士』に生まれ変わっていかないといけないのです。我々がAIに注目する理由は、我々自身のビジネスが脆くなってしまうという危機感、そして従業員の雇用を守る意味で活用しなければならないという使命感があるからです。
——AI領域でこれがあったら便利だなと思う機能、またGMOインターネットグループとして注力していく部分はありますか?
内田:便利なところといったら、やはり生成AIで画像や動画も作れるところでしょうか。現時点の技術では長時間の動画は難しいかもしれませんが、長時間の動画が生成AIで作成できるようになるとさらに世界が変わってくると思います。
だからこそ、昨年エヌビディアの最新GPUを1時間単位で利用できる「ConoHa VPS GPUサーバー」をリリースし、今年2月13日にGPUサーバに100億円の投資を行うというリリースを出しました。
結局、AIは計算力が大事で、そこには高性能なインフラが必要です。我々が培ってきた能力を活かしてビジネスを展開することができる領域であると思います。
GMOとしてまずインフラ領域に注力し、その次にセキュリティに着手すべきだろうと考えています。AIの世界になってもセキュリティは極めて重要で、こちらも需要増に期待が持てる領域だと思います。
——内田様は昨年11月に設立された「GMO教えてAI株式会社」の代表取締役にも就任されましたが、これまで同社にてサービスを展開してきてどうでしたか?
内田:社会全体に目をあてると、AIを使う人というのはイノベーター理論でいうところのアーリーアダプターに分類されます。次のアーリーマジョリティやさらにその後の人たちに「AIってこう使うと楽しいんだよ」「便利だよ」と伝えたいんですよね。そういう思いで現在事業を進めています。