日本初のフェンシング銀メダリスト
アイデアとテクノロジーでアスリートとファンをつなぐ
——改めて、太田さんのご経歴をお聞かせください。
太田雄貴氏(以下、太田):2016年までフェンシングの競技者として活動し、現役を退いた後は、日本フェンシング協会の会長を経て、現在は国際オリンピック委員会(IOC)の委員や上場企業で社外取締役の役割を担っていたり、ドリコム社と共同で「Sports3」というNFTプロジェクトにも取り組んでいます。
活動は多岐にわたりますが、軸となっているのはスポーツと人材開発です。常にあたらしい技術や事業に目を向け、あたらしい挑戦を探求することに注力しています。
——アスリートの引退後のキャリアについてどのような課題があるのでしょうか?
太田: 多くの人が知るアスリートたちは、競技の世界で最高峰に立つ一握りの存在です。
僕はラッキーで、2008年にフェンシングで日本初のオリンピックメダルを獲得したというのがきっかけとなって、多くのメディアに出演する機会に恵まれました。
しかし現在は、日本のスポーツ界全体が強くなっていることもあって、メダルを獲得しただけで名前が知られるようになることはあまり多くありません。
加えて、オリンピック以外の競技で活躍するアスリートも多いこともあって、アスリート全員がテレビに出ているようなアスリートと同じように認知されるわけではありません。
引退後に苦労するだけではなく、現役期間中も活動を続けるために苦労しているアスリートも少なくないのが実情です。
——現役の活動を続ける上でも大変な面があるのでしょうか?
太田:そうですね。活動を続けるためには活動資金が必要です。そんな課題を鑑みて、アスリートとファンがもっと身近に交流できる場を提供することが重要だと考えました。
ファンがアスリートを直接サポートできる環境、企業がスポンサーとして参加できる機会を作ることで、アスリートとのあらたな接点を生み出せればと思っています。
人が何かを応援したくなる瞬間には、どのような形であれ、接点が必要です。たとえば、箱根駅伝や高校野球のように、自分の所属や出身地に関連する団体という要素は応援に繋がることがあると思います。
こうした個人の繋がりを深める1つの選択肢として、NFTを活用したいと考えています。同じNFTを所有することで、ファン同士が一緒に応援するコミュニティを形成できるのではないかと。
このようなアイデアを元に、スポーツ専用のNFTプロジェクト「Sports3」を立ち上げることにしました。
—— ドリコム社と共同で開始した「Sports3」は、どのようなきっかけで始まったのでしょうか?