「Progmat 齊藤達哉×JPYC 岡部典孝」本誌独占特別対談 ステーブルコイン社会実装元年に2人は何を語るのか——

2024/07/28 12:08 (2025/10/20 11:09 更新)
Iolite 編集部
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「Progmat 齊藤達哉×JPYC 岡部典孝」本誌独占特別対談 ステーブルコイン社会実装元年に2人は何を語るのか——

ステーブルコイン利活用の波が加速する2025年

米国でステーブルコインの規制整備が進められていることに関連し、2025年は世界各国でステーブルコインに対する興味関心、そして利活用に向けた動きが加速している。

日本も例外ではなく、日本円ステーブルコインのパイオニア的存在であるJPYCが資金移動業のライセンスを取得したことをきっかけとして、企業などによるステーブルコインの採用に向けた検討が急速に進められている。

その一例として、現在メガバンクらが日本円ステーブルコインの共同発行に向け準備を進めており、その基盤技術としてデジタルアセット発行・管理基盤である「プログマ(Progmat)」を使用することがわかっている。すでにプログマはST(セキュリティトークン)の発行などで国内有数の実績を持つ企業であり、今後もデジタル資産領域で存在感を放っていくことが期待されている。

Ioliteでは、まさに日本におけるステーブルコイン領域のトップランナーであるJPYC社代表の岡部典孝氏とプログマ社の齊藤達哉氏による特別対談を、2024年に独占的に行った。

今後ますますステーブルコインが世の中で台頭していくにあたり、両者が当時、どのような考えのもと事業に取り組み、そしてステーブルコインの未来をどのように捉えていたのか、改めて振り返ってみてほしい。

来たる「ステーブルコイン社会実装元年」

2023年6月にステーブルコインに関する法改正が行われたことで、国内のWeb3.0領域は大きな転換点を迎えようとしている。

法改正以降、さまざまな企業や金融機関がステーブルコイン関連で動きを強め、2024年はいよいよ本格的に利用が始まる見込みだ。

国内に数多の企業があるなか、ステーブルコイン領域で特に注目を集めるのがプログマ(Progmat)社とJPYC社だ。

両社はまさに日本のステーブルコインを牽引する存在である。今回、そんな2社を率いる齊藤達哉氏と岡部典孝氏の対談の場を設け、両社の今後や日本のステーブルコインの未来、そして2024年のWeb3.0をどのようにみているのかについて語ってもらった。

トップランナーが語るステーブルコインの今後

──日本のステーブルコイン領域でその動向が最も注目されている2社といっても過言ではないプログマ(Progmat)社とJPYC社ですが、両者が協業に至った背景、また発表に至るまでの過程で印象に残っていることなどを教えてください。

齊藤達哉(以下、齊藤):まず岡部さんと最初に出会ったのは、昨年5月に札幌で開催された『B Dash Camp』でした。

私や岡部さんたちでステーブルコインに関するセッションを行ったのですが、そこから一緒に登壇する機会が連続したんですね。

特に関係が深まったのは、夏に開催された『WebX』の前夜祭で一緒に食事をした時でした。「一緒にやることできますよね?」と提案し、意気投合したんです。そこで『信託型JPYC』の話も出ました。

我々は発行体そのものではなく、発行希望者を信託と基盤で支えるユニークな立場だったため、協業できるんじゃないかと考えていました。

もし渋い反応だったら……仕方ないか、という思いもありましたが(笑)。札幌で初めて出会った頃から思っていましたが、岡部さんは非常にオープンマインドな方で、非常に前向きに捉えていただけました。

岡部典孝(以下、岡部):札幌で出会った時から、齊藤さんはWeb3.0側の人だなという印象でした。当時、齊藤さんはまだ三菱UFJ信託銀行の所属でしたので、私個人としては正直早く飛び出して起業してくれないかなと思っていました(笑)。

飛び出してくれたら、一緒に組むこともできそうだよな、と。

ただ、信託型のステーブルコインというのはパブリックチェーンで発行することがなかなか大変ですし、場合によっては譲渡制限等もかかるのではないかなどの懸念も抱いていました。

当時の私はまだそこまで信託型での発行に関して詳しくなくて、勝手にハードルを感じていたんですね。そんな時に齊藤さんと話していて、柔軟に発行できそうだということがわかると、「じゃあやらない理由はないな」と思ったんです。

我々は現在、ステーブルコインの国内シェアで99%を持っています。もし我々が信託型を発行せず、代わりに他社が発行した場合、その分シェアが損なわれてしまいます。

そう考えるとやらないという選択肢はありませんでした。

ちなみに、我々はパブリックチェーンの未来を信じています。ですので、仮にプログマさんがパブリックチェーンに対応しないという形だったら協業は実現しなかったと思います。

齊藤:そう考えると、あの時一緒に食事をしながら話をしたのがやっぱり1番印象的ですね。話を始めて動き出したのが夏過ぎくらいでしたから、協業の発表までもかなりスピーディだったと思います。

岡部:特段障害になることもなく、発表の日程調整くらいまでスムーズに進みましたよね。

齊藤:それとこれは個人的な話になるのですが、私自身プログマを独立させてから本格的にSNSでの発信を始めました。

銀行員時代は触れないようにしていたので、それこそ自由の翼を得たともいうべきでしょうか(笑)。随時プレスリリースを出してきましたが、背景が複雑化しており、リリース内容だけだと真意が伝わらないこともあります。

ですので、SNSを通じて自分の言葉で解説を出すようにしています。

JPYCさんとの協業に関してもそうです。みる人からしたら、ハテナが浮かびかねない協業だよなと。

既存の金融の人からすると、「そこと組むんだ」という感覚になるかもしれませんし、逆に岡部さんのファンの方々からしたら「あの中央集権のプログマと組むの?」と感じたのではないかと思うんですよ(笑)。

岡部:「ついに中央集権の軍門に降ったか」みたいに思った人もいたでしょうね(笑)。

齊藤:直感的に、この協業についてはしっかり解説しないとポジティブよりもネガティブな反応の方が多くなってしまうなと。だからこそ、前提となる背景情報を含めて、わかりやすく正確に伝えたいという思いがありました。

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