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「Progmat 齊藤達哉×JPYC 岡部典孝」本誌独占特別対談 ステーブルコイン社会実装元年に2人は何を語るのか——

2024/03/28Iolite 編集部
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「Progmat 齊藤達哉×JPYC 岡部典孝」本誌独占特別対談 ステーブルコイン社会実装元年に2人は何を語るのか——

来たる「ステーブルコイン社会実装元年」

2023年6月にステーブルコインに関する法改正が行われたことで、国内のWeb3.0領域は大きな転換点を迎えようとしている。

法改正以降、さまざまな企業や金融機関がステーブルコイン関連で動きを強め、2024年はいよいよ本格的に利用が始まる見込みだ。

国内に数多の企業があるなか、ステーブルコイン領域で特に注目を集めるのがプログマ(Progmat)社とJPYC社だ。

両社はまさに日本のステーブルコインを牽引する存在である。今回、そんな2社を率いる齊藤達哉氏と岡部典孝氏の対談の場を設け、両社の今後や日本のステーブルコインの未来、そして2024年のWeb3.0をどのようにみているのかについて語ってもらった。

トップランナーが語るステーブルコインの今後

——日本のステーブルコイン領域でその動向が最も注目されている2社といっても過言ではないプログマ(Progmat)社とJPYC社ですが、両者が協業に至った背景、また発表に至るまでの過程で印象に残っていることなどを教えてください。

齊藤達哉(以下、齊藤):まず岡部さんと最初に出会ったのは、昨年5月に札幌で開催された『B Dash Camp』でした。

私や岡部さんたちでステーブルコインに関するセッションを行ったのですが、そこから一緒に登壇する機会が連続したんですね。

特に関係が深まったのは、夏に開催された『WebX』の前夜祭で一緒に食事をした時でした。「一緒にやることできますよね?」と提案し、意気投合したんです。そこで『信託型JPYC』の話も出ました。

我々は発行体そのものではなく、発行希望者を信託と基盤で支えるユニークな立場だったため、協業できるんじゃないかと考えていました。

もし渋い反応だったら……仕方ないか、という思いもありましたが(笑)。札幌で初めて出会った頃から思っていましたが、岡部さんは非常にオープンマインドな方で、非常に前向きに捉えていただけました。

岡部典孝(以下、岡部):札幌で出会った時から、齊藤さんはWeb3.0側の人だなという印象でした。当時、齊藤さんはまだ三菱UFJ信託銀行の所属でしたので、私個人としては正直早く飛び出して起業してくれないかなと思っていました(笑)。

飛び出してくれたら、一緒に組むこともできそうだよな、と。

ただ、信託型のステーブルコインというのはパブリックチェーンで発行することがなかなか大変ですし、場合によっては譲渡制限等もかかるのではないかなどの懸念も抱いていました。

当時の私はまだそこまで信託型での発行に関して詳しくなくて、勝手にハードルを感じていたんですね。そんな時に齊藤さんと話していて、柔軟に発行できそうだということがわかると、「じゃあやらない理由はないな」と思ったんです。

我々は現在、ステーブルコインの国内シェアで99%を持っています。もし我々が信託型を発行せず、代わりに他社が発行した場合、その分シェアが損なわれてしまいます。

そう考えるとやらないという選択肢はありませんでした。

ちなみに、我々はパブリックチェーンの未来を信じています。ですので、仮にプログマさんがパブリックチェーンに対応しないという形だったら協業は実現しなかったと思います。

齊藤:そう考えると、あの時一緒に食事をしながら話をしたのがやっぱり1番印象的ですね。話を始めて動き出したのが夏過ぎくらいでしたから、協業の発表までもかなりスピーディだったと思います。

岡部:特段障害になることもなく、発表の日程調整くらいまでスムーズに進みましたよね。

齊藤:それとこれは個人的な話になるのですが、私自身プログマを独立させてから本格的にSNSでの発信を始めました。

銀行員時代は触れないようにしていたので、それこそ自由の翼を得たともいうべきでしょうか(笑)。随時プレスリリースを出してきましたが、背景が複雑化しており、リリース内容だけだと真意が伝わらないこともあります。

ですので、SNSを通じて自分の言葉で解説を出すようにしています。

JPYCさんとの協業に関してもそうです。みる人からしたら、ハテナが浮かびかねない協業だよなと。

既存の金融の人からすると、「そこと組むんだ」という感覚になるかもしれませんし、逆に岡部さんのファンの方々からしたら「あの中央集権のプログマと組むの?」と感じたのではないかと思うんですよ。(笑)

岡部:「ついに中央集権の軍門に降ったか」みたいに思った人もいたでしょうね(笑)。

齊藤:直感的に、この協業についてはしっかり解説しないとポジティブよりもネガティブな反応の方が多くなってしまうなと。だからこそ、前提となる背景情報を含めて、わかりやすく正確に伝えたいという思いがありました。


トップランナーが対峙する課題

——ステーブルコイン領域でビジネスを進めるうえで、お二人が大変だと思うこと、また、やりがいに感じていることはなんでしょうか?

岡部:このビジネスは銀行のシステムに侵食するポテンシャルを秘めています。そして我々はイノベーションを起こす立場にいますので、それに対する抵抗力みたいなものも日々感じています。

具体的には、「従来は銀行でしかできなかったビジネスをスタートアップがやるのはいかがなものか」という力もあるし、反社会的勢力や思いがけないところからの反発が飛び道具のように飛んでくるんです。

直接面と向かって話ができないような人たちから抵抗を受けることが今後も十分にあり得るわけで、そこにどう立ち向かっていくかというのがすごく大変だし、逆にやりがいも感じて面白いです。

やりがいのもう1つのポイントは、ステーブルコインというものが最先端の領域ですので、法改正に関する議論等に携わることができることです。

信託型ステーブルコインが認められたのはプログマさんががんばったからだと思いますし、当社が尽力しなかったら資金移動型でのステーブルコイン発行が認められなかった可能性もあるでしょう。

民間の立場から国を良くしていく、貢献できるのはやりがいを感じますね。

齊藤:大変なことは大きく2つあります。1つは、ステーブルコインを世の中でどういう位置付けにしたいのかということ。

2つ目は、日本発のステーブルコインビジネス市場をどこまでのスコープで見据えるのかという点です。

まず既存の海外ステーブルコインは、ドルを直接使えない方が、ドルを回避してドルベースの取引を行うために使用しているというのが実態だと思います。

もう1つは、利益を生み出すための投資商品として使われているといったところでしょう。正直、実体経済における支払手段としての利用はまだ限定的だと思います。

日本発のステーブルコインでは既存の限定的ユースケースに留まらず、より革新的なペイメントソリューションとして機能させていきたいですし、それにはあらたな決済市場を取りにいかないとビジネスとして広がらないと考えています。

決済ビジネスである以上「ネットワーク効果」が強く働くため、課題になるのは「いかにたくさん使われるか」です。少数しか利用していない決済手段を受け入れてくれる受け取り手もいないでしょう。

特に法人決済の場合では、たとえば商社Aがステーブルコインを使いたいといってもB社がそれを拒否したら話は終わってしまいます。

1度軌道に乗れば広まるのですが、そのための第1段階、第2段階を動かしていくのが非常に大変です。

一気に盤面を変えるのではなく、橋頭堡となるいくつかのニッチマーケットを作っていき、それらをつないでいくことで規模が大きくなります。

先日発表した新興国取引を中心に貿易決済でステーブルコインを利用するという話も、その一環です。そこで「ステーブルコインを使えば現金を使うよりも楽だよね」という認識が広がれば、周辺マーケットへも広がるでしょう。

こうした雰囲気や橋頭堡作りを進めていくのは大変ですが、やりがいでもあります。

2つ目の市場のスコープについては、国内で完結させず、海外でも使えないと意義が薄れると考えています。

ただ、海外の相手からすると日本産のステーブルコインを受け取るというのはハードルが高いですよね。

日本で発行されたドル建てのステーブルコインを受け取ったところで、どうやってドルに戻すのかがわかりにくい。となると、海外における換金環境を整えておく必要があります。

現状、暗号資産交換業者を中心にそうした法定通貨と交換できる場所がありますが、同じような環境を最低限作らないといけません。

現在、日本を先駆けに、各国で規制の枠組みに沿って発行されたステーブルコインについては、各国内での流通が認められる方向で、規制整備が進められています。

日本産のステーブルコインを各国で自由に流通/換金させるためには、このような潮流に合わせてやっていく必要があります。それには各国の規制当局との連携も不可欠です。

これを5年、10年かけてやれという話であればさほど難しくないのでしょうが、実際にはここ2年でやりきらないと海外プロジェクトとの間で勝負にならないでしょう。

短期間でやれなければ、「ネットワーク効果」が重要な決済市場において、日本のガラパゴス的なステーブルコインをわざわざ使いますかという話になります。

岡部:各国すでにステーブルコイン関連の規制整備を行う点で合意はしていますが、まさに日本がガラパゴスにならないということは重要ですよね。

我々はUSDCを発行するサークル社から出資を受けていて、JPYCもUSDCと基本的には同規格の設計になっています。

バラバラな規格でやっていてもコストが上がるばかりで何も良いことはありません。各ステーブルコインにおいても、基本設計は統一されるべきだろうと考えています。

既存サービスの裏側にブロックチェーンが使われる世界に——

——ステーブルコイン、ひいては未来の金融や決済の未来はどうなると思いますか? 具体的に「○年後にこうなっているだろう」というビジョンなどはありますか?

岡部:1年後でいうと、全銀ネットが資金移動業者に開放されるということがすでに決まっています。

そのため、資金移動型のステーブルコインが全銀ネットにつながり、ステーブルコインを持っていればどこの銀行でも振り込みができるという世界は2年ほどで実現できるのではないでしょうか。

そうすると、既存の銀行決済に加わることができるので、ステーブルコインの普及も進むと思います。

規制の変更が必要ですが、出資金の払い込みにも使えるようになると思っています。現在は海外ファンドから資金を入れる場合でも両替手数料が高い状態です。

これをステーブルコインに置き換えられれば、手数料が大幅にカットされます。また、ステーブルコインで給与の支払いができるようになる世界も2〜3年で訪れるかもしれません。

実際、資金移動業者が数社申請を行なっていると聞いています。

以上が数年後に予想されることですが、最終的には既存のサービスの裏側にブロックチェーンが使われる世界に変わっているでしょう。

たとえばFXなども今は中央集権取引所で取引をしているわけですが、より自由度の高い取引所で取引ができるようになるとさらに効率的になると思います。

さらにインターバンク、銀行間取引も民主化されていくと思いますね。

齊藤:決済を考えた場合、対象取引側がどうなっているのかという視点は欠かせません。特に商取引の動向は注視すべきです。

では商取引の未来はどうなるかというと、基本的にはオンチェーン化が進んでいくと考えています。

日本経済の潮流を踏まえれば、国内で完結する取引というのは縮小し、むしろグローバルな取引が増えていくでしょう。

その典型的な例が貿易だと思うのですが、現在は非常に非効率ですよね。貨物を送るのに時間がかかり、取引安定化のために船荷証券を作るにも関わらず、むしろ船荷証券の方が遅れて届くという謎の状態になっています。

券面のデジタル化を進めれば良いじゃないかいう声もあるでしょうが、これまで数十年うまくいかなかったのには理由があります。

それは1つの集権的なデータベースでやろうとしても、取引参加者の賛同が得られないということです。噛み砕いていえば、1つの会社が牛耳るのであれば、少なくとも競合会社は参加しないというイメージです。

では皆が参加し得るインフラは何かというと、候補の1つがパブリックチェーンだと思います。集権的な運営者に依存せず、世界中の誰でもアクセスでき、シームレスに動く商取引が実現できるでしょう。

商取引がそうなっていく以上は、決済も必然的に同じネットワーク上の手段を使うのが最適であり、それがステーブルコインです。

それから法定通貨とステーブルコインとの関係で、法定通貨から完全に切り離されることはありません。

ステーブルコインは法定通貨の価値の上に成り立っていますから。法定通貨という価値を札や硬貨に表章させていたら現金ですし、それを銀行預金の勘定データに表章させていたら銀行預金型マネー、ブロックチェーン上のトークンデータに表章させていたらステーブルコインという話です。

つまり、どの器に法定通貨の価値を表章させているのかというだけの違いなんですね。法定通貨という価値の源泉自体は不変です。

いわゆるCBDCもあらたな器の1つだと考えています。民間のオンチェーンで発行されているのであればステーブルコイン、中央銀行が関与したあらたな仕組み(但しブロックチェーンを利用するとは限らない)で発行される可能性があるものがCBDCという現時点での認識です。

特に銀行間決済やクロスボーダー決済は改良余地がまだ大きいため、そこにあらたなインフラとしてのCBDCが使われるようになると、ステーブルコインを含めた決済システム全体として効率的になるでしょう。

CBDCとステーブルコイン

——よく「CBDCとステーブルコインは共存するのか?」といった話題も出てきますが、お二人はともに共存すると思いますか?

齊藤:共存すると思います。オンチェーンまたはクロスボーダーな商取引決済はステーブルコイン、金融機関間や中央銀行間決済はCBDCになり、決済の上流から下流までシームレスに流れるのが理想的です。

岡部:CBDCがパブリックチェーンで発行されるのであれば話は変わりますが、そうはなりそうでもないので、そこにステーブルコインの需要が発生して共存する形になると思いますね。

——2024年はお二人にとってどのような年であると位置付けていますか?

岡部:昨年、法改正が施行されましたが、実際にライセンスがおりるのは2024年の中頃以降ですので、今年は「ステーブルコインの社会実装元年」になると考えています。

全体的なところではAIの進化が目覚ましく、それに関連してあらゆる価値移転のオンチェーン化が進んでいくでしょう。

そうなった時にステーブルコインが決済手段として間違いなく使われていきます。進化するAI同士が取引をする際に、現金が使われることはまずあり得なくて、その時に使われる手段がステーブルコインになるということは確信しています。

その部分で社会実装の事例がどんどん出てくると思います。

齊藤:2024年は金融サービスとブロックチェーン関連サービスの融合が進む年になるのかなと。これまでのいわゆる“Web3.0”はエンタメやコンテンツ領域などがメインだったと思うのですが、今年は金融と本格的に交わる年になるでしょう。

金融でいうと、よりコアな部分である証券のトークン化、いわゆるセキュリティトークンの存在は大きく、2024年だけで間違いなく3,500億円規模にまで成長します。

この規模はグローバルでみても大きいと思っていて、日本が世界に先駆けている分野だといってもいいでしょう。決済においてもステーブルコインの拡大によりブロックチェーン技術が浸透し、統合が進んでいきます。

ブロックチェーン関連ビジネスの典型とされる暗号資産も米国でビットコイン現物ETFが承認されたことで、見方によっては「金融に取り込まれた」と考える人もいるかもしれません。

ビットコインは元々P2Pの支払手段として設計されつつも、現時点の暗号資産の実態として、保有目的はキャピタルゲイン狙いでしょう。

P2Pの世界と併存する世界線として、暗号資産からキャピタルゲインを得たい人向けにより堅確な仕組みができたこと自体は進化の1つであり、日本でも暗号資産現物ETFが誕生するのかどうかは皆さんが注目するところでしょう。

私個人としては、国内信託銀行での暗号資産取り扱いが解禁されたなか、このままでは海外金融機関に富が流出してしまうことから、「できる」し「やるべき」と考えています。

ステーブルコインの流通で金融業界に起こる変化

——ステーブルコインの流通・利用が国内で本格的に始まることで、日本のWeb3.0業界、また金融業界にどのような変化が訪れると思いますか?

岡部:既存の金融ではない世界が膨張していくと思います。銀行口座を使わなくても、DAOでステーブルコインを使うようになっていくでしょうね。

既存の金融業だけでは把握が難しくなっていくと思います。今は規模が小さいので当局も静観していますが、規模が大きくなり、それこそ数千億円、数兆円規模まで大きくなると、銀行と同じ規制が間違いなくかかってくるでしょう。

数十兆になれば既存の金融に取り込まざるを得なくなり、ステーブルコイン発行銀行とかが生まれるかもしれませんよね。

齊藤:『金融の未来×ブロックチェーン』で、個人的に期待したいのはP2P金融の実現です。現状の暗号資産でもこれを実現できている例はほとんどないと思っていて、その煩雑性から、一部の専門的な人たちの間で不正流出リスクと隣り合わせで利用されている状況です。

現在の金融商品は仲介業者を介して取引をする人が多いと思いますが、将来的には各個人間のウォレットで金融取引が実現される未来に期待したいです。

岡部:ウォレットについては普及に向けた課題等がよく議論されていますが、そもそもどれだけの金額を入れているのかというリスクベースで話をしなければいけないと思っています。

当たり前ですが、少額をわざわざ金庫に入れて厳重に保管する人はいないでしょうし、逆に1,000万円、1億円といった大金を適当に管理する人もいないでしょう。

要は、一概に「ウォレットは危ない」といい続けるのではなく、用途を明確にし、その上で目的に見合ったセキュリティ等を講じて使われていくべきで、先入観みたいなものを取り払うことが重要だと思います。

齊藤:ウォレットのチャネル(UI/画面)と、提供機能の話は、レイヤーが異なるので議論をわけなければいけませんよね。

セキュリティを担保しているのは機能の方で、使いやすい、使いづらいの話は主にチャネル側の話だと思います。

私はスマートフォンのなかでどこに滞在している時間が多いのかで考えるべきだと思っていて、たとえば1日中LINEを開いている人であればLINEのアプリケーション内にウォレット機能があった方がいいでしょうし、X(旧Twitter)を使っている人であればそのなかに搭載されたウォレットを使うのが良いはずです。

チャネルは選択肢がたくさんあった方がいいと思います。それぞれ生活様式が異なるなかで、ウォレットが機能の1つとしてあらゆるチャネルに組み込まれていると便利ですし、それが個人への普及において大事なことだと思います。

ステーブルコインを皮切りに挑戦するあらたな領域

——ステーブルコイン領域とあわせて、お二人がチャレンジしたいと考えている領域、または事業などはありますか?

岡部:会社としては将来的にIPO、そしてその後には銀行化という方向性に進むだろうと考えています。それから日本は海の国だと思っていて、『ブルーエコノミー』という領域では勝てる見込みがあります。

そこでお金の流通のお手伝いをしていきたいと考えています。短期的にはDAOに注目していて、ステーブルコインを利用することによりイノベーションが起こればいいなと考えています。

JPYCは『社会のジレンマを突破する』をミッションに掲げていますので、ステーブルコインに限らずイノベーションを起こしていきたいと思います。

齊藤:あえてProgmatや私自身のイメージとギャップが強いケースでいうと、『個人×エンタメ×グローバル決済』の実現にチャレンジしたいですね。

IP系の分野でNFTをうまく使ってファンコミュニティを形成する動きはどんどん広まっています。ファンのユーザーというのは日本人だけではありません。

アジアだけでなく米国や欧州でも日本のコンテンツのファンという人は結構います。となると、このコンテンツの権利を個人間でグローバルにやり取りしようとすると、「お金ってどうやって払う?」という話が必ず出ます。

信託型のステーブルコインの面白いところは、誰でも発行体になれるところです。

たとえば『エンタメコイン』みたいなさまざまなIPコンテンツで共通して使えるステーブルコインを作ることもできるので、それを日本発でできれば、海外の人が利用する1つのナラティブになると思うんです。

実は、ステーブルコインの貿易以外における有力ユースケースの1つだと思っていますし、P2Pの実現という意味でも面白い分野でもあります。

——最後に今後の意気込みを教えてください。

岡部:一刻でも早く日本の皆様に真の意味でのステーブルコインをお届けしたいですね。それが私の最優先事項となっています。皆様の応援が後押しとなっていますので、SNSでの投稿のシェアなどしていただけたら嬉しいですね。

齊藤:エンタメ話をつなぐと実は私、『ワンピース』と『キングダム』が大好きなんですね。特にワンピースは数十年にわたる伏線が今、怒涛の勢いで回収されていますが、これと同じことがより短期間で、ステーブルコインでも起きようとしています。

ワンピースの最初の方ではまさかここまで壮大な物語になると考えた人はそう多くないでしょう。ステーブルコインでも、今後5年くらいで数多の伏線が回収されることになります。

我々もプログマを独立した船にしたばかりで、初期のワンピースに近い状態です。ですので、今参画していただければ、『ゾロ』や『ナミ』のような唯一無二の存在になれる機会が溢れています。

もしこの領域や私たちに興味があったら、気軽に声をかけてほしいです。


Profile

齊藤達哉 | Tatsuya Saito
株式会社Progmat 代表取締役 Founder and CEO
2010年、三菱UFJ信託銀行に入社。法人営業、業務企画、IT企画を経て、2016年にFinTech推進室設立、1人目の専任担当として三菱UFJ信託銀行のデジタル戦略を企画・推進。“シリアルイントレプレナー(連続社内起業家)”として、情報銀行基盤「Dprime」、デジタル証券基盤「Progmat」、ステーブルコイン基盤「Progmat Coin」、機能型NFT基盤「Progmat UT」、数多くの組織が入会する「デジタルアセット共創コンソーシアム」等を立ち上げる。2022年、複数の金融機関や取引所、ソフトウェア企業の出資による、デジタルアセット基盤事業の独立会社化を発表し、2023年10月創業より代表就任。特許登録8件。

岡部典孝 | Noritaka Okabe
JPYC株式会社 代表取締役
日本を代表するステーブルコイン企業JPYC株式会社の代表取締役。CTOやCFOの経験を活かした、技術やファイナンス、イノべーション法務の境界領域が得意。「社会のジレンマを突破する」というミッションのもと、日本円ステーブルコインJPYCでWeb3と現実世界をシームレスにつなぎ、安全かつ自由な経済活動を推進できる社会実現を目指している。


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